スカーフェイスの行方
会場周りは、騒然としていた…
アイデアル・スタジアムが崩れ、瓦礫の山と化としていた。
最後に会場を脱出した、コーベット警部とその仲間の警官達が、俺やエルナンデス一家、リカルド、ダマトさん、ブレンダンさん、ヤンさん、そしてミーノットさんに頭を下げた。
「スカーフェイスは…どうしたんですか? 何で、ここにいないの!」
「奴は、スカーフェイスはロジャー・セラノと共にあの中に残った…」
そして…コーベット警部はミーノットさんに、グローブを手渡した。
「彼が試合で使ったグローブです、それが、唯一の彼からの送り物です」
ミーノットさんはグローブを受け取り…それは嗚咽に近かった、涙を堪えきれないのか、グローブを抱え、その場に膝から崩れた。
ローラ夫人が見ていられなかったのか、背中をさすり、寄り添っている。
スカーフェイス……お前をこんなにも想っている人がいるんだぜ…それを…お前は大馬鹿野郎だよ。
※※※
1週間後…
この世界の魔法技術は凄いな…あの瓦礫の山だった、スタジアムが、再び再建されたのを、ニュースで見て驚かせられた。
だが、それよりも…
ダマトジムの寄宿舎にいる、アザレアちゃんにベゴニア君に何て言ったらいいのか、分からなかった。
この場にいる、ミーノットさんもスカーフェイスが試合で使ったグローブを携え、何とも言えない空気がその場に漂う。
その空気の中、ミーノットさんのマネージャー、ローレルさんが「ねえ、ベゴニア君、君が付けてるネックレス…チューニングストーンよね、確か…遠目だったけれど、スカーフェイスさんが同じのを付けてたの、君のそれは…もしかして、スカーフェイスさんから貰った物じゃない?」
「うん、そうだよ、お兄ちゃんから貰った」
「やっぱり!! ねぇ、みんな!スカーフェイスさんはきっと生きてるよ!」
「ローレル…それは、どうしてなの?」
ミーノットさんが希望にすがるように、聞いて、ローレルさんは「あのネックレスの宝石は長く付けてた人が亡くなると割れるの! でも、それを譲り受けて間もない、ベゴニア君には作用しない…割れるとすれば、長期間付けてた、スカーフェイスさんが亡くなる時に、割れる筈、でも割れてない!」
ローレルさんが、そう話してると、部屋の扉をノックされて、どうぞと言って入室したのは、ダマトさんとコーベット警部だった。
「どうしたんですか、何か、あったんですか?」と俺が聞くと、ダマトさんが「この警部さんがな、あのあとの事後報告で来たんじゃ」
「手短に報告する、あのあと地元の建設現場の人と地元の警察で現場の検証が行われたら…結果、死体が1人、ロジャー・セラノのみが見つかった」
「コーベット警部! 他に被害は無かったの!!」
俺が詰め寄ると、「ああ、他の観客も避難勧告で全員無事だった……あとスカーフェイスだが…ロジャーの死体の近くに死体があると思ったが、見つからなった…」
「じゃあ…スカーフェイスは…何処かで!」
「分からない、それは…無駄に希望を持たすのも、アレだが…死体が見つからない以上…それもあり得るかも知れない」
そうか!! スカーフェイスの奴…何処かで、生きてるんだよな。
俺はグッと拳を握り、スカーフェイス生存説に希望を見出した!いや、俺だけじゃない、この場にいる、誰もがスカーフェイス、お前が生きている事を信じてるぞ。
あと…
「コーベット警部!」
「何だ、白野武」
「スカーフェイスと再戦したいですか!」
「……奴には勝ち逃げされた気分だ、叶うなら、また戦いたい」
「そうですか!!きっと、その望み叶いますよ」
コーベット警部は、言葉にしなかったが、フッと一瞬だが、笑った。
「スカーフェイス…いえ、ガーベラ…彼はきっと生きてるんですね…」
ミーノットさんはグローブをアザレアちゃんに手渡し、「彼が戻った時、貴方が渡して…きっと妹さんから渡された方が…」
それをアザレアちゃんは、拒否した。
「それは、貴女が渡して下さい、恋人からの方が、喜ぶに決まってます!」
本当は、自分が預かりたいのに…アザレアちゃんも成長したもんだ。
ベゴニア君がベットから立ち上がり、俺に言った。
「タケシさん、僕のマネージャーになって貰えませんか!」
※※※
皆様、久しくお会い出来なくて、申し訳ありません、フィクサーです。
スカーフェイスが表舞台から退場して、彼に関わりある人物達は、動揺を隠せていませんが、それも、希望ともに回復しつつありますね。
これを、見ている貴方も少しは安心したのではないですか?
さて…現場からスカーフェイスは消えたのですが、一体、何処にいるのでしょうか。
フフ、勘の鋭いあなた方なら、きっと気付くでしょうね。
「ミュスクル…彼の容態は?」
「依然と悪いですが、驚異的な回復力で全身の傷も治癒しつつあります」
「そうですか、彼が表の世界で活躍するのは、まだ先…いや、彼にはやってもらなければ、いけない事、例えば…裏の世界の事とか…」
「ご主人様、それ以上は…」
いけない、いけない、私は少々、口が軽すぎでしたね…では、皆様また、また会える日を。
ここまで、カクヨムで書いた作品です。
読んで面白かった人、そうでない人といますでしょうが、感想とか書いて貰えると嬉しいです。




