スカーフェイス対ダニエル・J ・コーベット 選手紹介
―――――8月4日、試合当日。
控え室で前座の試合が終わるのを待ちながら、グローブをつけ終えて、ウォーミングアップのミット打ちをスカーフェイスはやっていた。
「タケシ、試合は進んでいるか?」
「いや、判定まで、もつれ込みそうだね」
「そうか…」
ブレンダンさんがミットを華麗な手さばきで、こなし、スカーフェイスはそれを長年、培われたような、グローブさばきで打ちこむ。
刻々と迫る試合まで、2人はミット打ちを敢行していた。
そして、モニターに写された前座の試合が判定で終わり、いよいよ、スカーフェイスの出番が回ってきた。
「スカーフェイス選手、出番です」
係員の人が告げ、スカーフェイスはあの青いガウンを着て、俺達、セコンドを引き連れ、リングへと向かう。
通路を通り、会場の観客達に姿を現すと、観客から『ワーー!!』と歓声が上がる。
この中に、スカーフェイスを狙っている奴らが、いるとは思えないぐらい、歓迎的なムードだ。
『青コーナーより、スカーフェイス選手の入場です』
通路を通り、お馴染みのように、通路際の観客からカメラで写真を撮られ、リングへと歩んでいき…スカーフェイスは、リングに上がる前にリングシューズに松ヤニの粉を付け、リングインした。
リングインした後は、会場の観客に挨拶するかのように、両手を挙げ、アピールした。
―――――そして次は
『赤コーナーより、ダニエル・J ・コーベット選手の入場です』
前回と同じ赤いガウンを着て、現れた。
セコンドを引き連れ、俺達と同じにように、観客の歓声ともにカメラで写真を撮られながらも、リングインした。
コーベット警部もリングインした後、観客席に向かい四方八方に、頭を下げ挨拶をしていく。
既にリングに上がっているリングアナウンサーから選手紹介が始まる。
『会場のお客様、大変お待たせしました、只今より、ミドル級8回戦を行います、青コーナー、身長180センチ体重72.425キロ、8戦7勝7KO1敗、エディ・アラムプロモーション所属、スカーフェイス!
対して赤コーナーより、現役の警察官!、身長178センチ、体重72.426キロ、9戦9勝7KO、無敗の…Jプロモーション所属、ダニエル・J・コーベット!』
『ジャッジ…ミッキー・ガルシア、アルツロ・ルーカス、マイク・ベンジャミン、3名で行われます、レフェリーは、ミッチ・スティールで行われます』
そして、リングアナウンサーは、あのコールで会場を沸かせる。
『それでは…紳士淑女の皆様!大変お待たせしました!"戦いの準備は出来ているか“!!!』
『うおおおお!!』
リングアナウンサーのあのコールで会場が沸き、これから始まる激闘への期待が高まる。
スカーフェイスは、青のガウンを脱ぎ、臨戦モードになっていた。
俺達、セコンドもリングから降りるのだが、スカーフェイスが「タケシ、リングサイドを見ろ」って言うから見ると、ロジャー・セラノがいた。
あの男、ノコノコと…やって来たのか…どれだけ面の皮が厚いんだ。
「ダニエル警部も気づいてるようだね」
「ああ、だが、試合が終わりまでは手は出さないだろう、集中、集中!」
「頑張れ、スカーフェイス!」
「おう!!」
スカーフェイスは力強く応え、俺達はリングから降り、見守る。
そして…
――――――カーン!!
ゴングが鳴った。




