妹と弟
タケシが見せてくれたのは、ポスターだった。
「今度の試合のさ、コーベット警部とのさ、良い出来だろう、キャッチコピーは、【リベンジか!!それとも返り討ちか!】って、場所はサミエルがやったアイデアル・スタジアム、そして、スカーフェイス…この試合、観客で大物ボクサーが観にくるぞ」
「誰だよ」
「ネルソン・フレジャー、そして…ジェームス・ロビンソン」
「本当か!!」
「ああ、主催者のドン・フレジャーが言ってたんだ、間違いない」
ミドル級のトップのあの2人が、わざわざ、観に来る意味、それは……。
「対決も近いんだろう、フレジャー、ロビンソンも!」
あの2人が戦う……それは、ミドル級最強を決める戦いになるのは、素人でも分かる。
俺は…拳をギュっと握った。
「ねぇ、お兄ちゃん、僕にボクシングを教えてよ」
ベゴニアが頬っぺたを膨らませてる。
話に置き去りにして拗ねてるようだ。
「悪かったな、ベゴニア!なあ、アザレアもするだろう、2人見てやるから着替えて着替えて!!」
アザレアとベゴニアがジャージに着替えたので、俺はアザレアに昨日の復習を、ベゴニアには、基本を教える。
「こうかな、お兄ちゃん」
ジャブを出す、ベゴニア…次はストレートを出させる。
「どう、お兄ちゃん」
「いいんじゃないかな、体の中心に軸があると、思って…体を独楽のようにイメージしてみて…そこから、ワン・ツーを出してごらん」
「こうだね」
鏡に写っている自分を見ながら、素早くワン・ツーを出す、いい下半身も上手く連動してきれいなワン・ツーだ。
「お兄ちゃんのも見せてよ」
「俺のかい?」
「うん、見てみたい」
俺は構え、脇を絞り半身になってから、ワン・ツーを出した。
「わー、僕のより力強いね、僕も出来るようになれるかな」
「勿論さ、俺より強くなれるだろうぜ」
「うん、お兄ちゃんより、強くなってみせるよ」
はは、将来が楽しみだ…いや、本当に、あれぐらいの年頃の子は1年、1年が成長の塊みたいなもんだし、俺もあれぐらいの頃は…っと!アザレアがこっちを見てる。
「お兄様、ベゴニアもいいですけど、私も見てもらいたいですわ」
「悪いな、アザレア、次はロープワークをしようか」
アザレアに縄跳びを教えようと、俺は縄跳び用のロープを取りにいった。




