スカーフェイスと妹アザレア
今日は、ジムにアザレアが来ていた。
何でも、普段の練習を見学したいと。
「最近、お兄様とお話とかしてないでしょ、だから、練習ぐらいは見学したいなぁ」
腹違いとはいえ、妹の頼みだ、見学を良しとしたが…ジム内は暑い、汗をかいて代謝を良くするには、いいが、この状態で見学は酷だ。
すると、アザレアはボクシングを教えて欲しいと言い出した。
まあ、軽くレッスンするぐらいなら…と思い、更衣室でジャージ姿に着替えてもらった。
そして…ジムの鏡の前で、構えをとってもらい、フォームチェックをする。
「足は肩幅ぐらいに広げて、前足はベタ足でいいけど、後ろ軽く踵を浮かせて、腰は少し落とし膝を軽く曲げ、重心を前6割に後ろ4割位にするんだ」
「こうですか?」
アザレアが実演すると、基本通りになっている。
「いいぞ!次は、アザレアはオードソックスだから…右手は顎に左手は目の高さより高く…脇は開かない様に絞るイメージで、そうそう…その状態で前後にリズムをとって、動いてみようか」
「はい、お兄様!」
アザレアは言われた通りに、リズミカルに動く、運動神経いいんだな、アザレアの意外な一面を見れた。
「パンチは…どうするのですか!お兄様!」
ちょっと楽しんでるのか…テンションが高めだな…。
まあ、楽しくやる事は大事だ。
「パンチはだな、左ジャブをやろうか…腕はリラックスした状態から脇が開かないように、腕を素早く伸ばして、素早く引く…」
「こうですか? えい!!」
「いいよ! 出来てる!次はストレートだね、打つ時は下半身を意識するんだ、腰や後ろの右足を回すようにするようにするんだ」
「こうかな? 」
キレがある右ストレートだ、彼女には才能があるんだろうか…。
「ねえ、お兄様、もっと教えて下さい! 私、興味が湧きました」
その日は、手取り足取り、教える事になった。
普段は教えられる方だが、教える側になると今まで、意識してない部分に自分が気付かされ、ハッとする事がある。
そんな風に教えてると、ジムの外から帰ってきたタケシと以前、スパーリングパートナーをしてくれたリカルド・クエバスがテンション高めに、「おーす、アザレアちゃん!」「アザレアさんいらっしゃい」と声をかけてくる。
「お前ら…俺の存在を無視するなよ」
「だって、むさ苦しいジムにこんな可愛い子❤がいれば…誰だって先に声をかけるわ」
「そうだよ、スカーフェイス! タケシの言う通りさ」
リカルドまで…タケシ達の異様なテンションの高さは何だ…だが、まあ、以前まで、殺伐として練習してたし…試合が控えているとはいえ、こんな日もあっていいかもな。




