サミエルとマックスとの練習
翌日、7時、俺とタケシはブレンダンジムの寄宿舎に戻り、ジムでの練習を再開した。
サミエルも8時にはジムに顔を出して、練習を再開してる。
共に、1ヶ月、3ヶ月後に試合を控えてる身として、練習に精を出す。
共に練習メニューの内のバトルロープのウェーブ、ウェーブ&サイドステップ、スラムとこなし、これを20秒やり20秒休み、10セット行い、練習に励んだ。
次はハンマートレーニングだ。
オーバヘッドスラムというやり方で、やる。
地面に叩く対象物であるタイヤを置き、ハンマーを両手で持ち、肩幅に足を広げて直立し
ハンマーを頭上に高く持ち上げ、思い切り強く対象物に振り下ろす。
振り下ろす際は、腹に力を入れて全身の筋肉を稼働させてやる。
その後、再度ハンマーを振り上げ、上記の動作を繰り返し、肉体を徹底的にいじめる。
結構、キツイがこれが肉体強化にいい。
パンチ力強化は勿論、体幹も鍛えられて、全身にくる。
「おーい、サミエル、俺とスパーリングしないかい? 」
そう言って来てのは、マックス・シュミット、ジムの中ではマックスと同じスーパーミドル級の選手、戦績18戦10勝10KO8敗、身長はサミエルと同じ182センチで普段の体重は90キロ超えてるという、試合が決まると減量が大変そうだと、白人で金髪が輝いている、これまた、サミエルと同じくらいナイスガイだ。
「いいよ、やろうか! マックス、今、体重は何キロだ? 」
「92キロさ、体重だけならヘビー級だぜ」
「いいさ、やりがいがある」
2人がヘッドギアを着け、グローブをはめて、リングに上がり、タケシがスポーツタイマーに、スイッチを入れ、二人のスパーリングは始まった。
二人共にオードソックススタイルで、ジャブで牽制しあっている。
サミエルのジャブを見極めたのか、マックスはジャブにクロスさせ、カウンターを取っている。
サミエルも負けじと、ジャブでボディに当てに行き、サークリングしながら、今度はマックスのストレートに合わせクロスカウンターを決める。
しかし、マックスもただでは、やられんとばかりに、左フックを返し、2人共、接近し過ぎたのか、クリンチの状態になり、それをサミエルが押し返し、ロープ際へと追い詰める。
しかし、マックスは、ロープ際に追い詰められた様に、見せかけ、追い詰めてきたサミエルに、左ボディを見舞うと、ロープ際から脱出すると、今度も接近戦でクリンチ状態から、左アッパーを繰り出し、サミエルに当ててくる。
リング上での調子は、マックスの方が良いというか、サミエルは本来の調子でスパーに挑めてないように見える。
それから、暫くして、タイマーが鳴り、一旦、スパーリングは終わった。
「サミエル…調子悪い? 俺が体重がヘビー級だけれど、普段はこんなに押されないよな ?、スカーフェイス」
見物してる俺に、マックスは自身の感想を述べる。
確かに、普段ならもっと足を使い、マックス相手にも、ズバズバとヒットさせている、イメージがあるのだが…。
それに、サミエルが言及する。
「ちょっとね…調子が悪いのは事実なんだ、もうちょっと、食事は取るべきだったかな」
そう言えば、昨日は、サミエルはカボチャのスープしか食事で、摂ってなかったな。
減量の為とはいえ、もう少しとってはと…思ったが、サミエルも10年続けてるベテランだ、余計な口出しはよそう。
ちなみに、俺は普段からリミットの72.575キロから3キロ増えたの維持してて、減量にはあまり困らない。
そうして、スパーリングは3ラウンドやり、ランニングをサミエルとマックスで走ることにした。
走る前にストレッチを行うが、俺は「なあ、サミエルってどうしてボクシング続けてるの? さっきのスパーリングもしんどそうだったじゃん」と俺が聞くと
「それは、しんどいが…それに勝る楽しい事があるからだよ、スカーフェイスだってそうだろ? 」
「まあ、そうだけどさ…」
俺には目標がある、現在も王者に君臨してるジェームス・ロビンソンに勝ち王者になることだ。
だけど、俺にはボクシングだけだ。
それに対しボクシングだけでなく、ジャーナリストもやっているサミエルは、2つの仕事を両立させてやってるんだから、立派なもんだ。
俺には到底出来ない。
ストレッチをこなし、3人で行ったランニングは、競争心も煽り、充実したものだった。
※※※
皆様、大変お久しぶりでございます。
私、フィクサーです。
皆様と久し振りなもんで、存在を忘れたという人もいたのではないでしょうか?
何々!?忘れていた!それは、ショックでございます。
オホン…あれから、スカーフェイスはボクシングに集中する為、ユースティティアの事後処理をマイク・ジョーンズや妹、アザレア・ガルベアに頼り、舞台では出ておりませんが、マイケル・ヨルダン検事も助力しておるみたいですよ。
さて、数話前に出てきた、サミエル・エルナンデス…彼がスカーフェイス達に、どう関わって来るのか…噂ですと、サミエルは、以前出てきたジャーナリスト、アレクサンダー・ガッティとも親交があるみたいで…おっと、私とした事が、つい、口ずさんでしまいました。
とにかくも、ユースティティアの問題は完全には決着をつけてないのです…あのアーロン・ウィプマンの件しかり…組織は壊すより、後始末のほうが厄介だと、賢明な読者の皆様ならお分かりでしょう。
波乱と混乱に満ちた、スカーフェイスの人生という旅路もまだまだなのです。
そして…1ヶ月後に控えたサミエル・エルナンデスにも何か…あるやも知れません。
それらは、賢明な読者の皆様がこの物語を見続ければ、明らかになるでしょう。
さて…時間も押して参りました、また拝読してもらえれば、会えるでしょう…それでは、今回はここまで、さようなら。




