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この世界について

「パトリオット・アセンブリか…」


俺は出身が、デーモスクラトスだから、ズィクタトリアの内情までは知らなかったが、ユースティティアの他にそんな面倒な団体がいるなんて知らなかった。

俺が自分の無知さに、項垂れてるとサミエルがそんな俺を見越したのか「知らないのは無理もない、彼等の団体が設立されたのは、20年も前だ、当時の君は生まれるか、生まれてないのかの時ぐらいだ、寧ろ、私が恥ずかしいくらいだよ」


サミエルは横の夫人に「君と出会って私は変われたんだったな」夫人は「そうでしたっけ? 」とおとぼけてみせた。


「2人はいつ出会ったんですか? 」


タケシが仲の良さそうな夫婦に質問すると、「10年前さ、そのパトリオットって団体に入会して3ヶ月で辞めてから、ブレンダンジムでボクシングを初めて習ったとき、彼女と出会ったのさ、彼女は趣味でやってたらしいけれど」


「そうなの、この人たっら、鉢巻きをして、ブレンダンジムに乗り込んで、1番強い人とやらせてほしいって言って…確か…《《あの》》ラリー・フィールドって人とスパーリングしたんだっけ」


ラリー・フィールドだって!? 確か、ブレンダンジムとダマトジムは親交があって互いに、交流会をしてるって聞いてたけれど、まさか、ラリーがサミエルとスパーリングをしてたとは…何か運命を感じる。


「そのラリー・フィールドって人、俺の兄貴分なんだ、よかったらもう少し話を聞きたい」


俺の頼みにサミエルはいいよと答え、喋りだす。


「当時24歳の俺は、手合わせを、まだ若かった、当時18歳のラリー君にお願いしたんだ、無謀にもね、彼は強かったね…初心者ながら、こんなにも強い男が世の中にいたとは、思い知らせられたよ」


へぇー、そうなんだ…ていうか、ジムに入って早々、知らなかったとはいえ、ラリーに挑んでるのは、サミエルも無謀というか、何というか…。


「他に、ラリーとは親交は、あったの? 」


「うん、スパーリングでも、他の練習でも、色々アドバイスくれたりねぇ、あとよく、この国の行く末に私が…一方的だったが、話をしたよ、彼は最初は渋い顔で聞いてたけど、あのユースティティアとパトリオット・アセンブリの関係を話したら、打って変わって神妙な顔をして聞いてくれたな」


「それは、俺も知りたい! 」


俺が解体した組織とズィクタトリアで裏で暗躍してる組織の関係…俺は聞きずにはいられなかった。


「そうだね、私が知っているのは、10年前に、ユースティティアのボスがパトリオット・アセンブリの集会に参加したことかな…何でも…代表者どうしで、会談したとか…」


「サミエル…そのユースティティアのボスって、俺の父親の事だと思うんだ…他に知っている事があったら聞かせてくれないか! 」


俺の父親が…デーモスクラトスの裏社会のボスがズィクタトリアで暗躍してる組織とどう関係してるか、興味が尽きない。

サミエルがふぅと溜息をつきながら、語ってくれた。


「彼等、組織に共通してる事は、如何に国家に忠義を尽くす人間を増やすか、愛国心を植え付けるかが肝になっている、元々、デーモスクラトスもズィクタトリアも同じ国家だったのは、知っているね、その頃の教育…に戻そうと躍起になっている、国が《《共通の愛国心》》を国民に抱かせれば、世界平和へと近づくに違いないと、両団体はそういう方向で、思想が一致し、手を組んでいた」


「ちょっと待ってくれ!」


タケシが手を挙げ、サミエルに質問をした。


「何で、サミエルさんはそんなに詳しいんだ、貴方は何者なんだ…ボクサー以外にも何かしているのか? 」


タケシの質問に「実はね…私はジャーナリストでもあるんだ、この【この世界の裏側】って本も出しているんだけど…知らないか…」


タケシは、この世界に来たばかりで、知らないのは無理もないが…俺も知らなかった。

サミエルは、溜息を、また吐きながら「そうだよな、君等、若い人は特に関心を抱かないと私も思ってる、だけど…70年前に合った、リムンドゥス内部戦争の悲劇もそういった教育を受けた国民が東西に別れ、殺し合った歴史がどちらにもあったんだよ、その頃、あった奴隷制度や人権を巡って、東側、西側と別れて、最終的には国は2つに別れた…ここまでは、学校の授業で習わなかったかい? 」


「俺は学校行ってなかったから…知らなかった…タケシも色々事情があって知らない」


俺は、孤児院育ちで、授業にもまともに出てなかったからなぁ…タケシはそもそも、この世界に来たのは、1年になるか、ならないかぐらいだし…2人とも歴史は疎いんだよな。


「そうか…それは、学習マウントを取ったみたいで悪かった、まあ、そんな国の黒歴史の前の時代を懐かしみ、復興させようとしてるのが、パトリオット・アセンブリという宗教団体なのさ、それにシンパシーを抱いたのが、ユースティティアという反社会的組織なのさ」


サミエルが一連の流れを説明してると、ラファエル君が「パパ、ママ、眠ーい、一緒に寝よ」と2階から降りて来た。


「はーい、甘えん坊なんだから…あなた、ラファエルを寝かすから、お客様を頼むわよ」


ローラ夫人がラファエル君と2階の寝室へ行った。

「さて、2人にも寝室を案内するから、こちらへ」


サミエルがリビングの奥の部屋へと案内し、ベッドが用意されている。


「もっと、話したいが…時間も時間だ、2人共、不満な点はあるかな? 」


「いやないです、サミエルさん、今日は貴重な話しありがとう」


タケシはペコリとお辞儀する、俺もつられてお辞儀し、その日はこれで終わった。





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