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パトリオット・アセンブリ

レストランでディナーを済まし、エルナンデス一家とそのまま別れるかと、思いきや、サミエルから、今晩は家に泊まらないかと提案された。

ジムの寄宿舎とも、離れてるんで、ご厚意に甘えて泊めさせてもらうことに。


「いいのかい? サミエル、男2人泊めれるスペースなんてあるのかい」


俺はサミエルに聞くと「勿論ある、それに、君と少し話しをしたい」と言う。

これは、何かあるな…と思いながらも、俺達は、エルナンデス一家の乗せた車を追いながら、一家の住む家に向かうことに。


※※※


「さあ、ここだ!オーライ、オーライ」


エルナンデス一家の一軒家の駐車場に、タケシが運転する車を駐めた。

駐めたから、家を見せてもらうと、立派な2階建ての一軒家で、庭には、ローラ夫人の趣味の園芸である花が咲きほこっていた。


「僕が一番乗り〜」っとラファエル君が、家に入り、ローラ夫人、サミエルも入っていく。

俺達も「おじゃましまーす」と言って、家へ入ると、サミエルがリビングまで案内してくれ、リビングのソファーに俺たちが座ると、ローラ夫人がお茶を出してくれた。

タケシと俺はお茶を頂くと、サミエルに聞いた。


「それで、話ってなんだい? 」


「うん、さっきの事、何だがな…タケシさっきは済まなかったな」


いきなり謝りだした、サミエルに驚き、タケシも目が点と化してた。


「あれは…あの男が悪いんであって…何でサミエルが謝るんだい…」


「ああ、それは…だな、何処から話そうか…元々、私はパトリオットって組織に所属してたんだ」


パトリオット…愛国者達の集いって所か、確か10年前ぐらいに、ユースティティアと同じくらいの規模で、運動してた団体だったと新聞で見た所がある。

現在も規模は縮小したが、集会や何らかの活動をしていると聞いた。


「あの男も、元々、パトリオットに所属してた男で、名をアラン・エドワーズと言ってな、私達は10年前、そのパトリオットでの活動を共にしてたよ」


そうなのか、知り合い同士だったわけだ、でも…何でサミエルを見て逃走したんだ。


「疑問を抱いてるな、何であの男は、私から逃げたのか…実はだな、このパトリオットって組織は、とんでもない組織でな…当時の私は余りに無知で愚かだった」


「それはどうしてだい、サミエルさん」


「かの組織は…人種差別を増長する為に作られた組織だったんだ…例えば…黄色人が差別を訴えると、その反対に《《同じ黄色人》》に『私達は差別されてません』『差別を訴えないで!益々、風当たりが強くなるじゃない』等、差別される側とは反対の団体を作るのに、加担してたんだ…それを知った時は、当時の勧誘した、アランに問い詰めたんだ、そしたら、奴は、『知っていたぜ、アンタが愛国心を持った頭の軽そうな奴だったんでね』それからは、奴と喧嘩したのよ、散々、利用されたのが悔しくてな、痛めつけてやって…それからは奴は、私とは距離を取るようになった」


「そうだったんだ…」


「それだけじゃない、この組織を作ったのは、他ならない、この国の大統領、バーノン・ルイスとその一味だ」


意外な名前が出たので、驚くとともに、確か、以前、ユースティティアが健在の時に、ロジャー・セラノと自分の妹アザレアが会談に行ったとかの思い出した。


「10年以上前に、大統領に就任した奴は、この国を独裁者として君臨してる…今だに君臨してるのは、メディアコントロールもあるが、この国にいて生活してる一般市民の感情コントロールが奴は上手かったんだ」


「それは、どういう風に?」


「政権にヘイトが向かないよう、男女対立を煽り、黄色人への差別、そして、何より社会的弱者に国民同士が対立するように、パトリオットはもちろん、SMSでのそういった情報を発信するアカウントに積極的に関与してきた…あの時、スカーフェイス、私以外にタケシ、君に味方する者がいなかっただろう」


そう言えば…レストラン内で、客はおろかウェイターも関与してこなかったな。

客同士のいざこざで、よくある風景にしか彼等は思ってなかったのか。


こうして俺達が話あってる間に、ローラ夫人がクッキーを皿に乗せて、テーブルに置き、夫であるサミエルの隣に座り、タケシに言った。


「私からも、言わせてタケシさん、ごめんなさい、あの時、私も声を挙げるべきだったわ、夫に任せて見てただけなんて…ダメね」


ローラ夫人は頭を下げ、謝罪した。

タケシは、その様子に慌てて「そんな頭を上げて下さいよ」と言うとローラ夫人は、「いいえ、謝らせて下さい、これは私の為でもあるんです」


タケシがそれはどういう意味ですか? と聞き、「あらゆる人種への蔑視はいつか、この国を分断に追いやるわ…それを鼻で笑い、嘲り、高みの見物でいる人達がいるの、私は、この国に生きてる限りそんな事に加担したくない」


ローラ夫人は感情が昂ったのか、目から一筋の涙を流し、夫のサミエルがハンカチでそれを拭いてあげる、いい夫婦だなと俺は思った。


「ローラも言っていたが、バーノン・ルイスを影で支え、暗躍してるのがパトリオットの本体団体、パトリオット・アセンブリって団体でな、彼等は、学校教育にも介入しててな、その時は、オールガーデンていう組織を通して介入している」


「直接、介入しないのか? 」


「彼らは、表立って行動するのを控えてる節があってな、メディアコントロールしてるとはいえ、行動を誰かに監視されたくはないと思うんだ、あくまで裏からの行動でね」

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