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コンサート

俺達は、6日後ズィクタトリアからデーモスクラトス首都イデアルへ日帰りで7時間かけて訪れていた。


丁度、開場時間に間に合い、コンサートが行われるMSGスタジアムの周りには、大勢のファンが列をなしてスタジアムへ入ろうとしている、俺たちもその列に加わりスタジアムへと入っていく。


並びながら、ここは、嘗て…ラリーが闘った場所だったなと思いを馳せる。

あれから、3年も経ったんだよな…こうしてコンサートに行ったりしてさ、あの当時の俺からじゃ想像出来なかった。

並んで会場に入ると、何処に座ればいいのかと思ってると、タケシが、「こっちだよ~」と席まで誘導してくれた。


「アリーナ席だな、俺達は、えーっとね…A4、A5席がそうだな、こっちだ」


行くと、ステージが近く、ここからなら、アムールを近くに観れると内心ウキウキしていた。


「おい、スカーフェイス…顔がニヤけてるぜ」


「そ、そんな事ない、ただ彼女の歌を間近に見れるからとか、そ、そんなんじゃない」


「お前って分かりやすいよな…でも、まぁ、気持ちは分かるよ」


タケシと談笑してると、横から、男性が「スカーフェイス選手ですよね…サイン貰ってもいいですか? 」と尋ねてきた。

サングラスにマスクして変装してきたつもりだったが、分かる人には分かるらしい。


「はい、どうぞ」


サインを書き上げると、男性は喜んでいる。


「まさか、歌姫のコンサートに来て、今、イケイケのボクサー、スカーフェイスさんに出会えるなんて、いい日になりました」


「この間は負けたけどな」


「それでも、嬉しいです…今度、再戦されるんですよね、期待してます!」


思わぬ所で熱心なファンに出くわして、期待までされて、なんか悪くないな。


そして…コンサートの時間になり、アムール、いや、今はフォゲット・ミーノットが登壇し、挨拶をする。


「本日、この場を借りてお礼を申し上げます、会場のお客様、今日来てくれてありがとう!!!!! 」


後ろを振り返ると会場は満杯で、「ミーノット!」「ミーノット!」「ミーノット! 」と会場中が彼女の名前をコールしている。


「それでは、歌います…【あの街へ】」


それは、情緒溢れる歌だ。

彼女の小さな体から想像も出来ないような、歌唱力が会場を包む。

ビブラートを効かせた音程が、それぞれの街、故郷を思いだすかのように…彼女の歌には、人間が持っている、現在、忘れかかった、《《情》》というものを思い出させてくれる。

終盤に入ると、より一層、力が入り、俺を含めた観客の心を掴んでいた。

歌い終わりかけると、観客から『アンコール!』『アンコール!』と注文が入り、彼女はそれに応えるかのように、再び歌いだしていった。

今度こそ、歌い終わると次の曲の準備に入る。

「次、曲は…」


彼女が次の曲を歌おうと、したときに後ろから、肩をポンポンと触られ振り返ると…


「お前はダニエル・J・コーベット…じゃないか…何でここに…」


「話は後だ、ちょっとこっちに来い」


警官姿のコーベットが俺をアリーナ席から、人気ひとけのない場所へと、連れ出した。

「何だよ…お前、俺との試合だってあるだろう! 練習はいいのかよ」


っと、自分の事を棚上げにコーベットに言った。


「それは、貴様だって同じだろう…大方、あのマネージャーの口入れだろうが…」


「うっ…日帰りで寄って行ったんだ、それより、こんな場所まで連れ込んで何のようだよ」


コーベットは言うには、ユースティティアの残党が会場にいるらしく、厄介な事に、そいつは熱烈な彼女のファンらしく、SMS、ソーシャル・マジックワーキング・サービス…に爆弾を仕掛けたと、ついさっき投稿したらしいのだ。


「そりゃ、大変だ!警察は何してるんだ!コンサート中止じゃないか、それじゃあ」


「原因は…貴様にもあるぞ…SMSを覗いてみろ、彼女の熱愛疑惑なんて噂が立っている、そのお相手は…お前…そうだろ」


「……まあ、そうだけど…まさか!」


「察しはついたか、その熱愛疑惑に発狂したファンが、いや今はガチ恋というのか…ヤケになったのか…このような凶行に走ろうとしている」


「さっきも聞いたが、コンサートは中止出来ないのか? 」


「無理らしい、何せ彼女のこの国での初ライブだ、事務所も今更、中止とは言えないらしい」


「ひえー、人の命がかかってるのに悠長だな…それで俺は何をしたらいいんだ? 」


「お前の勘が欲しい、犯人は元ユースティティアの残党だ、それらしい人物に心当たりはないかっと思ってだな、それらしい人物を絞ってきた、SMSのアカウントから特定してな」


コーベットは紙を俺に手渡すと、紙にはその絞った容疑者のプロファイリングされた情報が乗っていた。


「どうだ、元マフィアの勘のお手並み拝見だ」


「嫌味を言うな、こいつも違う気がするし、こいつも…うーん、あっ!?」


「何か分かったか!」


「この、アーロン・ウィンプマンてのが、確か熱烈なファンだって噂を聞いた事がある、確かマイクからだったが…」


「よし、的は絞れたな、確かこの会場は、幸い、全部指定席だったな、そいつの席まで直行だ」




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