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お墓参り

翌日、早朝から俺はマークのお墓参りに来ていた。

黒のスーツを見に纏い、その手には白いカーネーションの花束を携えて。

膝をついて、両手を合わせて故人であるマークを偲ぶ。


「マークよ…お前を亡き者にした首謀者は、捕まえたぜ、少しは…無念を晴らせたかな? まあ、相変わらず、お前がいない日々は寂しいけどな…」


アイツがいた頃は、賑やかだったな…試合中も声が聞こえるぐらい、応援の声が聞こえてたしな…さて…これから、どうするか…事後処理だってあるしな…マークの墓前に花を添えたし…やることやるか…。

墓前の前で、膝をつきながら次の事を考えてたら、知っている声が俺を呼んだ。


「スカー!!」


「ダマトのおっさん!」


丁度、俺と同じ黒のスーツで白いカーネーションの花束を抱えていた。


「スカー、お前さんなら来るはずだな……どうだ、復讐は遂げれて気は済んだか? 」


おっさんは、そう言うと俺と同じく墓前に花を添えて、祈りを捧げている。

思えば、この人にも色々迷惑かけたな。


「スカーよ、復讐も済んだし…事後処理だってあるだろうが、ボクシングに専念してもいいんじゃないか? 」


「そうしたいのは、山々だが…今の俺にも、立場があってな…そう簡単によ、ボクシングだけに専念って言うのも…」


「だそうだよ…お嬢さん…スカーは意地っ張りなんだ、お嬢さんからも言ってやってくれ」


向かい側から、もう一人、黒い喪服で鮮やかな金髪に見るもの魅了しかねない碧眼の…彼女が現れたのだ。

両手には白いユリの花束を持っている



「アムール!? どうして君が! 」


「ダマトさんに頼んでね、貴方の大切な人のお墓でしょ…」


彼女も膝をついて、墓前に花を添えて祈ってくれた。


「よっと、なんか故人を訪問する感覚って、不思議だね、私、あったこともないのに、なんか懐かしい感じがするなぁ」


「ありがとう、マークも喜んでいるよ…」


「あら、不思議…私が孤児院で別れた兄の名前もマークて言うの! 」


それは、偶然だな…ダマトのおっさんに写真持ってきてないかと尋ねると、以前、ジムのみんなで集合写真なら持ち歩いていると、言ったので、それを見せてもらった。


「この中央から左に俺に寄りかかってVサインしてるのが、マークだ」


それを見ると、アムールの目から一筋の涙が零れた。


「この金髪で碧眼、笑顔が素敵な人…面影があるわ、それに確か、兄は、ベスティ家って所に引き取られたって」


「そう、マーク・ベスティ、アイツの名前だ」


そう言うと彼女は、墓前で泣いた。

まさか、自分の兄とこんな形で再開するとは、運命の神様がいたら…神様は残酷だ。

泣きじゃくる彼女を俺とダマトのおっさんは、ただ見守るしかなかった。

ひときしり泣くと、彼女は、泣き腫れた顔で

「兄は…兄は…どんな風に生きていました? 」

「あいつは…俺の誇る親友であったし、頼れるパートナーだったよ、そして、皆に愛されてきた男だったよ」


彼女は、墓前から立ち上がると言った。

それは、感謝の言葉で「ありがとう…兄の友人でいてくれて、多分、兄も感謝していると思います」

「だと、いいな…俺は…試合の段取りとか、任せきっりで、頼ってばかりいた」


早朝から、時間が経ち鳥が囀る《さえず》声が、まるで、マークが俺達を迎える声にも聞こえた。

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