真相1
俺は白野武、スカーフェイスのマネージャーをやっている。
只今、ある事務所の客室に招かれていた。
何故、そういった経緯になったのかを話す。
あれは、ブレンダンジムにいた俺に、黒髪で清楚なメイドさんが現れたんだ。
そして、言われたことは、「御主人様が貴方をお待ちしています、ご同伴お願いします」
と言ってきて、身に覚えのないことだったんで、断ろうとした所、そのメイドは、「貴方をこの世界に召喚された方なんで…来てもらったら貴方にも都合がいいと思います」
なんて言われたんで、ブレンダンやスカーフェイスにも一言行ってくると、声をかけて、その《《御主人様》》とやらに会いに向かったんだ。
迎えの車に乗り、寂れた事務所に着くと、メイドは事務所の応接間へ、俺を案内したんだ。
ここまでが、今の現状の説明だ。
そして、今、30分くらい、その御主人様を待っている。
中々、現れないので、貧乏ゆすりしていると、メイドが現れ、「御主人様です」と紹介共に現れたのだ。
見た目は、80歳くらいの老人くらいでモーニングコートにシルクハットを被った出で立ちで、俺とは向かいの机を挟んで向かいのソファーに座った。
「初めまして白野武、私はフィクサーと申す者、君がいた世界から、この異世界に招いた者だ」
「あんたが俺をこの世界に？ 」
「その通り、私は物語りの語り部という奴ですな、この世界リムンデゥス、その中にあるデーモスクラトス、ズィクタトリア、いがみ合う両国、そして…マフィア、ユースティティア、この世界は、荒れている」
「それが、どうして…この世界に俺なんかを…連れてきたんだ？ 」
目の前のフィクサーは、それに失笑する。
「連れてきたのではない！《《帰還してもらたんだよ、この世界にね》》」
「！？ ッッッッッッッッッッッッッ！？ どういう事だよ、それ… 」
「君は…《《元々、この世界の住人》》何だよ、思い返してみるといい、君にはご両親はいたかい？ 」
俺は思い返す、物心つくときには、児童養護施設にいて…それから、アルバイトしながら、高校卒業後、会社員として営業をしながら…そして、この世界にいる！！
何だよ、何だよ、俺は！？
そんな混乱している俺を尻目に、フィクサーは葉巻に火を点け、一服している。
「混乱しているようだね、いいかね、君は偶然、この世界に来たのではない、必然的に私が、この世界へ戻したんだ、少々、周りくどく荒っぽいやり方だったがね」
「あの日、呑みに滅多に行かない上司を呑みに行ったのも…」
「私が操作した、君が元いた世界で言う、洗脳というのかね、何日もかけて、そう仕向けた」
「上司がトラックに轢かれそうになって、俺が庇ったのも…」
「君の性質は把握していた、ああいう状況ならば、きっと庇うだろうと」
「何で、こんな周りくどい事を…素直に拉致してしまえばよかったんじゃないか？ 」
「それがね、異世界に行くのも、そう簡単じゃないんだよ、ある程度のエネルギーのぶつかりあいが必要でね、君が轢かれそうになった時に、光の膜が体を覆っていた筈だ、あれにトラックとの衝突で得られるエネルギーが、この世界に来るのに必要だった、まあ、これは私の発明なんだがね」
「何だよ、あんた、人の人生を何だと思ってるんだ」
「君には、来てもらうだけの事情があった、それだけだよ」
「何で…俺なんだよ…他に出来る奴とかいなかったのか？」
「それはだね…君が…おおっと時間だ、君には、帰ってもらう」
「はぁ、ふざけんな、ちゃんと説明しろ」
「いや、悪いね、こちらも事情があってね」
フィクサーの身勝手な態度にこちらも腹が立って、胸ぐらを掴もうとすると…メイドが俺を取り押さえる。
あんな細腕で、何て力だ！
「その子は、特異体質でね、君にも分かりやすく説明するとミオスタチン関連筋肉肥大に似た、特異体質でね、見た目で判断すると痛い思いをするよ…いや、しているか」
「クソー、離しやがれ、聞きたいことは山程あるんだ」
「そうそう、言い忘れていたけれど、君がこの世界の言語が理解出来るのは、あの時の体を覆っていた光の膜のお陰だから…言語を理解出来るように、膜に仕掛けをしておいた…以前、パスポートを作ろうとしてたね、あれもウチが裏側から手を回してたのさ、さて、話はここまでだ、ミュスクル、大事なお客様だ、丁重にお帰りを頼むぞ」
「はい、御主人様」
そして、俺はブレンダンジムへと帰された。
※※※
さてさて、皆様、このお話にも飽きて来たと思いですが、私、フィクサーは、そうはならないと保証します。
先程、舞台に上がり、白野武と面談していたのですが、なにぶん、語ることが多くて困っていた所です、そして、私も安全とは、言い難い身の上、ご容赦下さい。
さて、自身の出生を知った白野武、親睦深め、互いに愛を確かめあった、スカーフェイスとフォゲット・ミーノットの今後の展開は！ そして、いがみ合う両国、その影でボスの座を狙うロジャー・セラノ、アザレア・ガルベアにマフィア共を法の下に逮捕を画策するダニエル・J・コーベット警部はどう今後、動くのか、皆様が拝見される限り、続きます。
それでは、皆様、またの機会を！
