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プロローグ2

ドガーーーーーンッ!!


「ぐぎゃあああああーーーーーーっ!!」


派手なエフェクトとともに視界を真っ赤な閃光が過り、目の前の『敵』が倒れ伏す。


今日は俺たち『ラグナロクよりグングニル派な野郎ども』による定期ボス狩りイベントだった。

え?説明が足りないって??

一から説明するのめんどいからコレで悟って?

え?無理??

まぁ、なんだ。

これは流行りのVRMMOのワンシーンってことで納得されたし。


そしてその狩りが終わった俺は思い出した。

もう三日三晩、寝ておらず飯も食ってなかったことにっ!

いや、皆まで言うな友よ。

もちろん分かっているさ。

自分がとんでもない廃人だってことは、な。


まず第一に、三日三晩ゲームが出来る環境。

そうだよ。俺がニートだよ。


そして飯も食っていない点。

そうです。現実世界よりヴァーチャルが現実っ!

リアル?ナニソレオイシイノ??


もちろん三日も飯抜きで何故やっていけるのか。

分かってるくせにそこまで言わせちゃう??

そうだよっ!俺はデブなんだよっ!!

飯なんて抜いてちょうどいいくらいなんだよっ!!


はぁ・・・

こんな誰にも聞いてもらえない、いや、聞かれたら恥ずか死ぬけども・・・、独り言を脳内でブツブツ呟いているこの俺は三千院さんぜんいん 太郎たろう。45歳。独身だ。

え?彼女いない歴は当然年齢だろうって??

けっ!!

彼女ならこれまでクリアしてきたギャルゲーの数だけおるわっ!!

あとは察しろっ!!


さて、流石に腹が減っては戦が出来ない、もちろんゲーム内の狩りのこと、俺はコンビニに向かった。

え?よくニートのくせにコンビニで買い物する金あるなって??

だれが買い物しに行ったと言ったかね?

ゴミ箱に入ってる賞味期限切れ弁当やカラアゲ様なんかの揚げ物類売れ残りを漁りにいってるに決まってるっしょ??


しかし、あれだな。

久しぶりに出歩くと、外気に触れただけでも体力奪われるな。

この暑さが原因か??

それともこの体形のせいか・・・


そんなこんなでヘロヘロになりながら進む俺。

目の前で点滅し始める横断歩道を走ってわたる気力もなく。

よろよろと崩れ落ちそうになりながらも辛うじて道路の前までやってきた。


溜まらず座り込む俺。


突然天下の往来で、座り込むデブに驚く周りの人々。

軽く首をひねって見回すと、俺と同じようなニート童貞確定っぽそうなおっさん、俺よりは若い、それに、車いすを押されているクソババアが居た。車いすを押している人は介護施設の職員っぽい兄ちゃん。


車いすの兄ちゃんが何やら童貞おっさんに話しかけて車いすをちょっと持ってもらうよう頼んだっぽい。

俺はへたり込んでるためか、話しかけられることは無かった。


快く車いすを持つおっさん。

童貞のくせに優しいやつだ。

それともこの婆さん狙いか??


介護兄ちゃんは小走りに建物脇にある自販機に走っていった。


分かるで。

この暑さやもんな。

兄ちゃん、俺の分も頼むわ。


なんてこと、コミュ障の俺に言えるわけもなくその一連の行動を見るだけの俺。


そんなときのことだった。

突然、俺たち3人を謎の光が包み込んだのは・・・


そして、次の瞬間には俺、童貞おっさん、車いす婆さんの3人は真っ白な空間に飛ばされていた。



◇◇



「ここは・・・?」


3人に中で童貞おっさんがまず口を開いた。


「とうとうお迎えがきおったか・・・」


そう言って合掌し、念仏を唱え始める婆さん。


「あっ・・・あぶ・・ぶ・・・」


なんか言おうとしたがあまりにも口を開いてなかったもんで口の中が乾ききり、声帯がちゃんと仕事をしなかったがために文字だけを追えば赤ん坊の声のような、しかし野太いおっさん声でこの音を出したもんだからもはや、『ヤバい』以外何物でもない声を発したのはもちろん僕チン。


「皆さん、突然すみません。」


まだ混乱の最中であった俺たちに、鈴を転がすような美しいお姉ちゃんの声が聞こえた。


「皆さんは、世界を救う『勇者』に選ばれました。」


いや、もちろん分かるで?

この展開、もうアレしかないってことはね??


でも俺と、童貞のおっさんはともかく婆さんには通じないんじゃないかな?


「承知した。」


しかし、そのお姉ちゃんの言葉に対し何故か二つ返事でOKを出す婆さん。


え?マジで??

普通突然こんなこと言われたら断るか、最低限質問してからじゃない??


「それでは田中たなか ミサさん。

世界をよろしくお願いします。」


姉ちゃんがそう言うと、婆さんを光が包む。


え??

マジでいきなり引き受けていきなりどっかに飛ばされそうになってる婆さん。

婆さんよ。ほんまにそれでええのんか??


光と共に消える瞬間、婆さんは俺たちに向かってサムズアップして消えていった。


「・・・・・・・・・・」


「えと。僕は一応説明を聞かせて貰ってからにしたいんですけど・・・」


「え?ああ、そうですね。田中さんがあまりにも快く引き受けてくださったもんであなた達もこのままでいいかと思ってしまいました。」


いや、良いわけないやろっ!!


童貞おっさんのおかげで助かった。

わしゃあ声帯いかれてもうたんでなっ。


「それでは加藤かとう 清正きよまささん。ご質問とは??」


加藤清正だぁっ!?

完全に名前負けやんけっ!!


そんなツッコミを心の中でする俺であったが、加藤はキチンと考えられた質問を投げかけた。

実は大した奴なのかもしれない。


そして姉ちゃんから得られた情報はこうだ。


まず、

一、姉ちゃんは女神。

二、要求は世界を救って欲しい。

三、救って欲しい世界は複数ある。

四、なぜ救う必要があるかというと、どうも世界を破壊せしめんとする『虚無』なる存在が原因らしい。

五、『虚無』の実態は様々、ある時は恐怖の大魔王、ある時は邪神、またある時は人間、はたまた自然災害まで。共通項としては、とにかくその世界を破壊せしめんとする存在とのこと。

六、世界を救うための『勇者』として俺たちが選ばれた。

七、選ばれた理由は、まず召喚魔法陣は俺たち3人程度を一度に飛ばす規模が限界だったこと、その中で身寄りが居らず、突然存在が消えた、所謂神隠し的なものに遭遇した、として、誰も悲しむ者が居ない3人が奇跡的に揃ったのがあの場であったらしい。

八、そして、この世界、地球の特に日本、に住まう者ならば最近ではアニメやゲームなんかで世界を救う力をイメージとして定着させられる人物が豊富であること。これだけではよく分からんわけだが、要するにVRMMOのキャラをそのまま転生させたりしたら強いでしょってことみたい。


というわけで俺は直前まで鍛えていたVRMMO『ファンタジークエスト24』で廃プレイをしてまで育てたキャラ、TAROU、ヒューマン族の時空魔導士レベル315(カンスト値)で転生させてもらうことになった。


なお、加藤はショッピングセンターのゲームコーナーにある魔法少女系の着せ替え型ゲーム『魔導少女ミクルちゃん』のミクル、着せ替えレベル27(最高レベル99)をご所望だった。なおアニメが元の作品であり、アニメでは魔導を使いこなす設定らしいが着せ替えゲームを元にするためアニメ同様の魔導が使えるかは不明らしい。女神様である姉ちゃんもどうなるか分からないって言ってた。


そして先に意気揚々と転生していった田中婆さんは、大の時代劇好きらしく、『暴れ奉行3匹の狼』シリーズから徳田 時三郎 千石(とくだ ときさぶろう せんごく)の姿で旅立ったらしい。


一通りの説明を受けた後、俺たちは光に包まれた。


その直後、転生までの僅かな間のことだった。


「あっ!三千院さん!貴方のキャラはスキルが強力すぎますね・・・コレこのまま転生させるのは無理がありますんで、貴方だけにはまず現地の人として転生してもらいますね。」


「あっ・・・うう・・・・うごっ・・・」


それはどういうこと??


って聞きたかったが声帯がした仕事は上記のとおり。

しかし流石は女神の姉ちゃん、さっきもそうだったが俺が言わんとしていることはしっかりと伝わる。

そう言えば、俺たちの名前も名乗らずとも分かっていたみたいだ。

これが神の力か・・・


しかし、その流石の神でもこの一瞬で説明は無理だったのだろう。

たった一言、『神託で説明します・・・』

とだけ聞こえたかと思えば、俺の意識は闇に落ちた。

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