呂律と頭が回らない大将 3-2
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アリー「そうだな・・・。俺は色んなもんを見てきた。大将たちの闇も、戦い方も、何もかもだ。お前たちに言っとくぞ、彼らはあんな理想、というか理念を掲げてるが、決してそれだけに準じて生きてる訳じゃないぞ?彼らだってちょっと前までは普通に人を殺してたさ。俺も初めて大将たちと戦う前も、やけに戦場を荒らして殺戮をしまくる武装組織の存在は知ってたんだ。だから最初捕まった時、恐怖と不信感からとんでもなく暴れたな。何度も逃走しようとして、何度も歯向かったさ。まあ何度も話をしてやっと仲間になる気になったんだよな。」
男性隊員3「知ってますそれ!やけに強くて変な防具を身にまとってるって。やっぱり司令官たちだったんだ・・・。」
アリー「ああ・・・。彼らは最初からある程度の装備は与えられてたさ。でも、大規模なものではなかった・・・。個人用のものだな。まずはしっかり戦って、自分たちの価値を証明しろと言われてたらしい。」
男性隊員2「なんですかそれ、最初からちゃんとした支援しろや。」
女性隊員1「そーだそーだ!」
アリー「まあそんな怒るな。彼らのバックには巨大な組織が2つあることが知ってるだろ?」
女性隊員2「確か・・・。国とあそこですよね?」
アリー「ああそうだ。国にまず自分たちが戦場でもしっかり生きていけること、そんで理想だけに生きない事を証明する。もう1つの組織にはそこにいる多くの者に自分たちなら世界を変えられること、そしてさっきの国と同様、理想だけに生きない事を証明する必要があったんだ。なんせ金も兵器も多くのものが動く。2度と後戻りができないから、覚悟と力を示す必要があったのさ。」
男性隊員1「なるほど、確かにこの組織は今でも大きいけど、もっと大きくなると考えたら・・・。」
男性隊員3「世界も警戒して、この場所を血眼になって探してますもんね・・・。そりゃそうか・・・。」
アリー「俺は人は極力殺さないと言われた。でも傭兵だから、クライアントが殺せと言ったら殺すと言ってたな。」
女性隊員3「それで・・・。殺したことは・・・。」
アリー「ああ、あったよ。」
「え、まじかよ。」
「知らなかった。」
「そんな・・・。」
がやがや・・・
男性隊員1「ん?なんだ?」
アリー「うわ、みんな集まってんな・・・。」
いつのまにか周りに人だからが出来ていた。みんなアリーの話を聞こうとしている。
「それで!続きは!?」
「アリーさん!詳しく!」
女性隊員3「こりゃ・・・。参ったね・・・。」
アリー「いいじゃねえか、話してやろうじゃないか。この際だ、ちょうどいい。」
「おー!お願いします!」
「これ・・・上官たちにばれたらまずくないか・・・?」
アリー「ん?へーきさ、たかが過去の話くらい。」
「そりゃよかった・・・」
男性隊員2「じゃ、続きをお願いしいます。」
アリー「ああ、了解。」
しーん・・・と場が一気に静かになる
アリー「じゃ、続きをはなすぞ。ある時俺たちは作戦に連れていってもらってな。といっても後方で支援さ。荷物運びとかね。依頼はある敵テロリスト部隊の殲滅。依頼主はある国家だった・・・まあシリアだけどな。シリアでは沢山の武装組織がいるだろ?といってもその頃は虫の息でな。残存部隊を叩けとの事だった。全員殺せってな。1人でも逃がすな、と・・・。死体の映像や写真を送れって言われたよ。」
「なんて話だ・・・ひでえな・・・。」
「ああ・・・ロクな国じゃねなやっぱり。」
アリー「まあそう言うな、テロリストなんて生きてるだけでどんな火種にもなり得るからな。まあ当然っちゃ当然だね。それに組織設立当初は敵を捕まえても収容施設がなかったから、仕方なく殺してたんだ。俺とかを捕まえる頃にはその施設があったがな。まあ小さかったが・・・。証拠がなければ報酬は払わんと言われてな・・・後で加工なんてしてもすぐばれそうだったからやめたんだ。ほら、シリアってバックにロシアとかいるだろ?だから色々警戒してたのさ。勿論、捕まえたら尋問して情報を聞き出してそれを提供するか、身柄を引き渡せって言われたが断ってたな・・・。スマン、訂正する。情報も売ってたさ。ただ、聞き出したものより少なく、そこに嘘を足して渡してたんだ。まあ全部渡したらやつらが他の連中を皆殺しにする可能性があったからな。なるべく多く回収して仲間にしたかったんだ。」
男性隊員3「ってことは俺たち、回収される前から命を救われてたのか・・・。」
「マジかよ。ってことは2度も命を救われたのかもしんないのか・・・。泣けるぜ。」
「ああ・・・。なんていい人たちなんだ。」
アリー「まあどうなったかと言うと、殺したな。」
「えええ!」
「そんな・・・。」
「でも・・・仕方ないよな・・・。」
ざわざわ・・・
どよめく現場
そこにある人物がいる
「あれ、あなた方は・・・」
???「しっ!静かにしろ、別に注意しようという気はない。安心しろ。」
???「安心しな。俺たちはただあいつの話が聞きたいだけなんだ・・・。」
「は、はぁ・・・了解です・・・。」
2人の人物はまわりに気づかれないように、後ろで話を聞いていた
アリー「ま、殺したように見せただけさ。」
一同「「「「は?」」」」」
アリー「ほら、大将がたまにやるだろ?処刑動画。着弾したら疑似血液が出る弾さ。」
男性隊員1「あ~!あれか~。」
「成程・・・。」
アリー「敵を非殺傷火器で無力化。その後疑似血液弾を乱射してあたかも血まみれにするのさ。まああれちょっと痛いよね。」
「あー・・・確かに・・・。」
「でも、あれを撃つ銃って専用のやつがあったよな、初速というか威力を調整できる銃が。」
アリー「あの時はなかったのよ。少しでも装備重量を削りたいからね。それで通常の銃で弾種を変えてたのさ。初速調整なんて出来なかったよ。」
女性隊員1「あー・・・ちょっと敵が可哀想。」
アリー「まあ最初は無力化してからでも良かったのさ。でも、大将が思いついてね。あの人、時々とんでもなくドSになる時あるじゃん?それで、先に疑似血液弾を撃って敵に出血したと勘違いさせてみるかってなってね。まあそれでその作戦実行したら上手くいってさ。本人は混乱する敵を見て喜んでねえ。うわ!混乱してる!おもしれえ!ハーハッハッハ!って。」
「ぶれねえなあ、あの人・・・。」
「訓練でもそうだもんなあ。」
アリー「それで何度かそういう事を繰り返して上手くクライアントを騙しててな。まあ騙すために生まれたのがあの疑似血液弾なんだけどね。それをなーんでオモチャにしちゃうかな~うちの大将は。」
はぁ・・・とため息に対し周りは
「もうしょうがないよ、あの人はそういう人だ。しかも兵器作るの大好きだからね。」
「言えてる。もう慣れた。」
と、なんか納得の声。それでいいのかフリーダムフォース。
アリー「んまあそれで、死体はどうしたのかとクライアントに訊かれたら、自分たちで持ち帰って処理したって言ったんだ。殺してくれる上に後処理までしてくれるなんて最高だ!って言われたよ。そっからは最高さ。ほいほい依頼が舞い込んでおお儲かり。まあそれがフリーダムフォースという名前が世界に知られるきっかけになってね。あまりにも依頼をこなすもんだから死体処理が大変じゃないか?って言われた事があってさ。そんで大将なんて言ったと思う?よーく燃やして灰にして、ばれないように深く地面を掘ってそこに埋めたからへーき。確かに最近あまりに多いんでテキトーに埋めてる。もちろん、ばれないようにな。なーんて言うもんだから、例の捕まったら誰にもばれないよう殺されて埋められる、という噂が生まれたのさ。」
「「「・・・」」」
その場にいた誰もが唖然とした。