呂律と頭が回らない大将 5-3
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「ほらよっ」
「あ、はい、ありがとうございます・・・」
みんな戸惑いながらも受け取る。数分後、全員が銃を持った。
大将「いいか?どんなモンも武器になる。これだって、環境に優しい自然分解する安全な弾を使ってるが、目に入れば失明のおそれがある、大変なものだ。だからうちの食堂の器だって、木製だ。陶器でもプラスチックでもねえ。まあプラスチック製がねえのは、単に俺の趣味だが・・・。まあなんだ、物は正しく扱えば安全で有用なものだ。だが誤った扱い方をすれば、それは凶器に変わる。どっかの国の協会の偉い奴が言ってたなあ、銃が人を殺すのではない、人が殺すのだ、だっけ?まあ詳しい事は覚えとらん。だったら銃で人を殺せねえような改造や弾を使えって話だが・・・だがまあ俺はそんな偽善じみた、権力者の欲にまみれた詭弁なんざ信じねえ。結局アホな使い方をする奴はいるからな。んで、話が逸れたが、俺たちもだ。その手に持ってんのは、撃ってもぶん殴っても人を怪我させられるやつだ。しっかりした倫理観と理性を持って遊ぼうな。そう言う俺は、たまーに一人で散々空砲をぶっ放しまくってるけどな・・・。まあそれはいいんだ!」
「いいんだ・・・」
聴衆のうちの一人が静かに小声でツッコんだ。
大将「さあ!楽しもうぜ!話すなんかよりもまず撃て!それから話そう!まあうるさくて出来ねえと思うけどなぁハハハハハ!
あ!一つ言い忘れてた!俺らも、さっきの元迷い人も言ってたが・・・国の将来を背負う、についてだ。もうこれは忘れろ。だーめだこりゃ。」
「え・・・?」
「どういうことだ・・・。」
大将「あー・・・別にお前たちにこの国の未来を背負わせるためにこうして教育してる訳じゃないって思い出してな・・・・俺が・・・いや、俺たちがこの組織を作ったのはさ~、この世界のルールというか・・・あり方というか・・・とにかくこの世界が嫌だったんだ。この話毎回お前達のような連中にするんだけどな、今度全体放送で言うわ。俺はこの世界が嫌いでさ。紛争を食い物にして、終わらせる気のない、儲かる事しか考えてねえ人の皮を被ったクズ共や、弱者は弱者、犯罪者は一生犯罪者、まあそういうもんが嫌いでな。だからここに来たんだ。そこで色んな人間集めて教育して、いつかそいつらが立派になったらいいかな~なんて思ったんだ。そういう考えがいつのまにか国を背負う、なんてもんに変わっちまった。スマンな、色々負担かけて。」
頭を下げる大将
「え・・・なんで・・・頭を下げるんですか・・・?」
「なぜ司令官が・・・」
ざわざわ・・・
みんな驚いている
大将「別に、国を背負おうなんて思わなくていいぞ?ただ、変わってくれればいい。笑顔が増えてくれればいい。家族と、幸せになってくれればいい。とんでもない偽善にちがいねえが、これを実現する為に頑張るよ、約束する。まあ約束ってのは、破られる方が多いかもしれんが・・・これは破らんよ。なにが何でも実現させるさ。
それからもう一つ!さっきの国を背負う話や、この話はもうお前たちの上官から訂正が入っていたと思う。だが改めて言わせてもらうぞ。常に笑顔じゃなくていいぞ?この2つの件は先日の幹部会議で決定した事でな。俺たちは笑顔でいるお前たちが好きだ。だが、それは悩みのない、きれいな笑顔のお前たちが好きであって、作り笑いは駄目だ。どうやら相談者の中には作り笑いをしてたやつがある程度いたらしくてな、俺たちは知らず知らずのうちに、笑うことを強制していたんだ。こりゃ完全にこっちが悪いな。だからよ、作り笑いはなるべくやめてくれ。まあそれをしなきゃいけない場面だったらしょうがねえが・・・とにかく、俺たちのために作り笑いすんのは勘弁してくれ。悩みがあるやつの為にこの制度があるからな。ほんっとに、気軽に相談してくれ。失敗してもいい、だってここは間違いを重ねて、そこから成功して成長するもんだ。間違いも成功も成長するために必要なもんだ。だから色んな経験をして欲しい。悩みも成長に必要なものだ。でも、悩みはいつまでも抱えちゃまずいだろ。まあ俺も悩みはあるが、なんとか共存してるよ。そういう手もありかな。だが、お前達にはなるべく不自由なく暮らして欲しい。俺を含めた幹部はまだちゃんとした環境で育ったが、お前たちは不安定な環境で過ごしてきた。だからこの組織にいる時ぐらいは・・・穏やかに暮らして欲しいんだ。だからよ、何度もしつこく言ってスマンが、悩みがあんなら来い。平気だといっても、無意識に苦しんでるかもしれん。だから気軽に相談してくれ。作り笑いをする力があんなら、その力を誰かに相談に行く力に変えて欲しい。一人にじゃねえ、なるべく多く、というか・・・納得するまで多くの人に聞け。俺ら幹部でも、周りの仲間でもいい。人間は一人では生きていけん、余程の力が無い限りな。だから群れる。ま、そういう訳だから、俺みてぇに堂々と周りの力を使え。俺はそれでここまで来た。おれだって一人じゃ何も出来ん。それはお前らも分かるだろ?
さ、話は以上だ!湿っぽい話はもう終わり!さあ!撃て!ストレスも悩みも弾と一緒に撃ってどっかへ飛ばせえ!ハハハハハ!」
それからしばらくして、射撃場からは銃声が聞こえた。それとともに大勢の人々の叫び声が聞こえた。大将が叫びながら撃てと言ったのである。迷い人たちは最初は戸惑いながらも、最後には楽しんでいた。その顔には心の底からの笑顔があふれており、悩みは弾と一緒に撃った。喉を枯らしながら撃った。
このようなイベントはよく開催されている。あまりの相談者の多さに、大将が自棄を起こした事から始まった。1週間に1回か2回ほど、このような事をする。
ただ、このイベントを一番楽しんでいるのはなんと主催者である大将自身だった。時にそれを部下からツッコまれるも、
大将「楽しいしみんなの悩みも吹っ飛ぶからオーケー!楽しんだモン勝ちよ!」
と、言う上に実際に成果を出しているので、ほっとかれている。後日、国を背負う事、作り笑いの件が全体放送にて話された。さっきと似た内容を大将は話した。それからというもの、この手の相談は徐々に減っていった。
お悩み相談は普通、重苦しい雰囲気で行うものと考えられがちだが、彼はそれさえも遊びに・・・おっと失礼、仕事という名のサボりにしてしまうのだ・・・。




