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【本編完結済み】普通のメイドだったけど王女を失って暗殺者になりました  作者: 水篠ナズナ
2章 絶望と惨禍の始まり

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21.それぞれの思惑 1

今回は他視点です。 長くなりそうだったので二つに分けることにしました。


今日と明日で2章の他視点は終わりです。 そこから先は主人公視点で一気に走り抜けます!

 あの日から八年、ティナ様が目覚めてから四年が経った。 『不滅』の力による後天的な影響で少しずつ王家は蝕まれている。


  魔術師の障壁により守られていたはずだが、賢者と謳われたものでも完全には防げなかったのだろう。


 初めに影響が出たのは王妃様だった。少しずつ言動がおかしくなり一時期は、一日中部屋に籠って奇声をあげている事もあった。


  今となっては、ただ笑顔で受け答えするだけの意思がない人形のような存在に成り果ててしまった。ご本人は自覚がないのかもしれないがはたから見ると明らかに口数は少なく、挙動が不自然に見えるときもある。


  おそらく、記憶改竄の影響が未だに残っていてそれが何らかの原因で再熱してしまったのだろう。


  自分の知っている記憶と他人が知っている記憶が全く違うのだ、相談できる相手もごく僅かな者だけ、王妃様は少しずつ病んでいってしまったのではないだろうか。


  王妃様の苦悩に気付けなかった私はとても悔やんだ。事情を知っている数少ない者なのになぜもっと親身に寄り添えなかったのか。 言葉の一つでもかけてあげられなかったのか、言葉一つで人は変われるものだ、王妃様も壊れることはなかったかもしれない。


 今の所、子供には影響が出ていないようだが陛下にはその予兆が少しみられる、原因は何かと、部下に探らせていると一つの共通点が見つかった。


  それは神玉を日常的に使い出してからだ、陛下も数年前から頻繁に使うようになってきている。


  近頃は私達の意見より、神玉の導きを優先することが多くなって来ていて、このままではいずれ国が神玉に乗っ取られてしまうのではないかと思う。


  私は決意した。 手遅れになる前に王族をこの国を救うためには私がこの国の頂点に立つしかない。

 

  私が神玉で出来た王家の歴史を終わらせてみせる。 第二の帝国として生まれ変わらせてみせる。


  既に私は皇帝と裏で密約を交わしてしまった。 もう後戻りは出来ない。


  全てが終わった後は、命を絶つとしよう。それが王国を裏切った私の戒めなのだから。


  必ず王国を手に入れて(救って)みせる。 失敗は許されない。


  ◇◆◇◆◇


  計画は順調に進んでいる、ジェロシー家の娘もローラがうまく抱き込んだようだ。 ユアン様からも直属の兵を預かっている。 これは私が自由に動かせる駒だ。


  私の目的はただ一つウルティニア第一王女を捕縛し、ユアン様の元へと送り届けること。 だが第一王子や第二王女がでしゃばってくることだろう。


  あいつらの護衛はそれなりに厄介だ。第二王女の専属には何人か間者がいるが王子の専属には間者がいない。


  あいつらの相手は帝国兵に任せるとしよう。


  そしてエト・カーノルド。 あの家には借りが一つある。ここでその借りを返させてもらうとするか。


 まずは周りからの信頼を徹底的に落としその上でフリーダに始末させてやる。


  娘が死ねば、あの両親はさぞかし怒り狂う事だろう。 フハハハハ。


  あぁ早くその顔を拝んでやりたいな。


  元没落貴族のアメリア。生きていると知った時は驚いたが、まさか冒険者になっていて、また貴族に成り上がるとは思わなかった。


  一度貶められたというのに、まだ理解できていないとは。


  今度はしっかり始末してやろう。 今度は裏からではなく私自身の手で。冒険者風情の夫にはあまり興味はないが、目の前で夫を殺してやるのもいいな。


  あぁ、考えるだけで楽しみだ。


  私の手で鉄槌をくだせるのだから。


 邪魔な近衛騎士団は、身体強化のポーションと偽った猛毒を飲ませれば十分だろう。


  在庫はたくさんある、本当は食べ物や飲み物に入れて大臣や使用人を全員殺しておきたいがユアン様にこの国を潰す必要はないといわれたため、特別製の毒をいくつか用意した。


  彼は自分の計画に穴がないか何度も何度も見直した。 それこそ計画書がよじれて文字が滲むまで。


 彼はユアンと密約を交わしてしまっている。だからもう引き返す事は出来ない。 何より彼も既に狂ってしまっているのだから。


  だから進むしかない、これが彼の信じる道、王国の辿るべき結末だと信じて。


「ーーーー様、お呼びでしょうか?」


  さぁ、計画を始めよう。


  ◇◆◇◆◇


 自分でも分かっている。 ここ最近おかしくなって来ている事に、だが気付けば私の手には神玉があり私の口からは私の意思とは裏腹に言葉が飛び出す。


 まだ……壊れるわけにはいかない、息子に王位を譲るまでは。


 この国には優秀な者が沢山いる、彼らがサポートしてくれればワシがいなくてもやっていけるだろう。


 加護の力をもってしても、進行を遅らせる事しか出来ない。


 今にもワシはヘレンのようになってしまうのか、ただ受け答えするだけの人形の様な存在に成り果ててしまうのか、ワシはそれが死ぬよりも恐ろしい。


 こうやって日記を書くことが出来る内はまだ正気でいられているのだろう。


 愛しているぞ、ヘレン、アレン、カノン、ウルティニア。


 必ず会談ヲ成功させ平ワをきづキあげてみせル。


ここまで読んで頂きありがとうございました!!

 次回も他視点が続きます。


 明日は更新を予定しています。


ブックマーク、評価、感想、レビュー、紹介、リンクなど、もろもろ全て歓迎致します! 


 皆様の一手間が更新の励みになります、どうぞこれからも宜しくお願いします!!

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