18.ケーキ作り
幕間の人物の描写を少し追加しました。
今、私はティナ様と一緒に厨房でケーキ作りに励んでいます。
私もティナ様も料理に関しては素人なので素直に料理人さんの手ほどきを受けながら作っています。
とは言ってもまだ練習中なので中々上手く作れない。
こんな昼間から仕事で忙しいのに手伝ってくれている料理人さんや厨房の一角を貸してくれたミシェラさんには頭が上がらないな。
ミシェラさんがケーキ作りの材料を一通り揃えてくれた。
「まず、型にシートを敷きこみ、オーブンを180度くらいに温めておきます。 バターは先にお湯で溶かしておくと良いでしょう」
「ふむふむ」
「なるほど」
私とティナ様はミシェラさんの指示に従いながら慎重に作っていく。
「次に卵と砂糖をよく混ぜて、お湯をかけながら泡立てます。 白くなるまでしっかりと泡立てたら小麦粉をいれ混ぜ合わせます」
この時点では私達に差はない。
その後型に流し入れ、軽く空気を抜いた後、温めていたオーブンで三十分くらい焼きました。
その間ずっとティナ様はオーブンと睨めっこしていて、私はそんなティナ様を見つめておりました。 うふふ。
焼き上がったスポンジに生クリームやシロップ、旬の果物を乗せたら手作りケーキの完成です。 あら簡単。
私はティナ様とそれぞれトッピングしたケーキを「せーのー」で見せ合った。
するとどうだろう。 ティナ様のお皿にはとても食べ物とは思えない物体が乗っているではないか。
「ティナ様、それは一体なんです?」
「なにって、ケーキに決まってるじゃない。 エトちゃんとはちょっと違うみたいだけど」
一応おかしいとは思うんだね、でもちょっとどころじゃないよ、相当ヤバイよ。 お姉さんびっくり。
「ティ、ティナ様落ち込まないで下さい。 味……そうだ味が良ければ問題ないですよ」
「そうですよ、ウルティニア様。 誰だって最初は失敗するものですよ、私の説明も悪かったのもありますし申し訳ありません」
ミシェラさん自信持って! あなたの説明は完璧だったよ。
「そうだよね、じゃあ食べ合いっこしよ〜」
「〜〜〜ッ!……はい畏まりました」
私達は席につくと、早速自分達のケーキを食べた。
うん、美味しい! 我ながらよく作れたわ。 ティナ様の方は……ティナ様は無言でフォークの先の物体を見つめている。
そして覚悟を決めたのかなにやら頷いている。 そして私の方をみた。
……嫌な予感。
「私は王女だから毒味してもらわないといけないね。はい、エトちゃんあーん」
今、この人毒味って言ったか、自分で作ったものを毒なんて言うなよ。
ケーキ? がかわいそうだよ。 それに私はティナ様の侍女でもなんでもないんだよ。
まぁ、私はティナ様にあーんで食べさせてもらえるなら万々歳ですけど。
え、年下の子に食べさせてもらうのって恥ずかしくないのかって、私にはそんなプライド持ち合わせていませんよ。
「あ〜ん」 ぱくっ。 むしゃむしゃ、ごくん。
びた〜〜〜〜ん!!!
私は思いっきり机に倒れ伏してそのまま意識を失った。
「エトちゃーーん!」と声が聞こえて来た気がするが残念ながら答えることは出来なかった。
◇◇◇
気が付いた時は日が暮れていて、私は自室のベッドで寝かされていた。
「あ、エトちゃん起きた!! 良かった〜」
ずっとそばにいてくれていたのだろう、ティナ様が椅子にちょこんと座っていた。
その横にはカノン様も座っていた。
姉妹揃うとやっぱりよく似てるなー眼福眼福。
「大丈夫だったエト? ティナの作った料理を食べたと聞いたけど……」
ケーキを作っていたという事はカノン様の耳には届いていないらしい。ミシェラさんあたりが上手く誤魔化してくれたのだろう。
「あ、はい少し気を失っていただけです」
「ティナはね、小さい時から料理が下手で一度家族みんなで夕ご飯を作った時、この子にデザート任したのだけれど全員お腹を壊して大変だったのよ」
それは一大事だなぁ。
「他にも手作りクッキーを作って、近衛兵の皆さんに配ったら暫くの間動けなくなってた事もあったわ」
「それは近衛兵の皆様も大変でしたね」
カノン様によるとティナ様は大変料理が下手で何か作るたび事件を起こし、私のような犠牲者を出しているらしい。
「今日はゆっくり休みなさい。 夜は大変になると思うから」
「? 分かりました」
「じゃあねぇー」
ティナ様はブンブンと手を振りながらカノン様と出て行った。
カノン様の言葉通り酷い腹痛に襲われ一晩中ベッドとトイレを行ききすることになった。
経験者は語るか〜〜 ぎゅるるるるるー。
バタン!! 私は勢いよく部屋を飛び出しお花を摘みに向かった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!!
次回はシリアス回となります。
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