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小鳥遊飛鳥は異世界人である。
元は日本人であり、フリーターであった。
今は何の因果か彼曰く異世界……と言うよりは平行世界でアスカと名乗り冒険者をやっている。
いわゆるチートは持っていない、言葉が通じるだけである意味ではチートだが。
アスカの居る世界は彼曰く、よく滅亡しないなと思う程に終わっている。
かろうじて残っていた文献や、各地の人々から聞く限り世界は幾つかの要因で実際滅亡してると思われる。
但し人類は生き延びているし、最低限の生存圏は確保されている。
曰く、天から数多の星が落ち文明は滅びた。
曰く、自然が想定の規模を越えた災害を起こし文明は滅びた。
曰く、神を名乗る存在が審判を降し文明は滅びた。
曰く、科学により生まれた存在が反乱を起こし文明は滅びた。
曰く、地獄の門は開き文明は滅びた。
文献や、話から察するにこれかまほぼ同時に起きたらしく、実質文明が滅びているにしても、滅びていないのは不思議な程だと嘯く。
人類はその環境に適応し、種族としては六つに別れた。
獣の遺伝子を取り込んだ獣人、自然環境に適応した森人、審判の火に焼かれ続ける咎人、機械に身体を置換した機人、悪魔と契約した魔人。
そしてある意味では全てに適応し、取り込んだ人間。
六の種族が少なくとも表面上は生存圏の確保の為、生き延びる為に協力しあっている。
これはそんな終わった世界の物語、終わりしかない幻想譚、故にこの物語の主人公は言う。
終わる世界の物語だと。