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異世界の飛鳥3

※前回のことはきっちり本人にばれて鈴はみっちり怒られました

「飛鳥ー、そろそろ起きなさい。」


「・・・うぅ。」



鈴さん・・・いや、お姉ちゃんの妹になってから2週間が経とうとしていた頃。

私はすっかり「お姉ちゃん」と呼ぶことにも慣れてしまい、多少わがままも言えるようになった。

そしてこれがその状態である。



「・・・あと五分・・。」


「ダメ。」


「じゃあ十分・・。」


「なんで増えてるのよ。」


「お姉ちゃん、今日土曜日だよ?ゆっくり休ませてくれても・・・。」


「今日は実家の方に行くって言ったじゃない。自分で言い出したんだからちゃんとしなさいよ。」


「そうだった!」



私はすぐに布団から飛び起きた。

お姉ちゃんに言われた通り、今日はお姉ちゃんの本当の家に行くことになった。

理由はわからないけど、お姉ちゃんは今家を追い出されている状況みたい。

追い出されたと言っても、きちんと家から生活の補助を受けているみたいだし、時々家に戻ると言っていた。

そのお姉ちゃんは私の今の状態に頭を抱えているらしく、



「まったく・・・、妹になる前はきちんと早寝早起きを心掛けていたいい子だったのに・・・。どうしてこうなった。」


「お姉ちゃんが『もっと甘えていい』って言ったからだよ。朝は弱いけど前は頑張って起きてたんだよ?そこを評価してほしいな。それに、平日はいつも通り私が先に起きてるじゃない。お姉ちゃんも朝弱いのに人のこと言えないよ。」


「今出来ていないことを評価しろって何言ってるのよ。・・ああ、なんか敵だった頃は強敵だったのに仲間になったとたん使えないキャラクターみたいね。」



例えが少しよくわからなかったけど、とりあえず私が馬鹿にされていることはわかった。



「失礼な。私だってやればできるよ。」


「やれば、ね。それを少しは実行しなさいよ。・・・ まあこれ以上言い争っても仕方ないから、早く着替えて準備しなさい。朝ごはんはもうできてるから。」


「はーい。」






着替えも終えて、朝食を食べ終えた私たちは家を出る準備をしていた。



「飛鳥、別にうかれるのはいいけど後で後悔するかもしれないわよ?」


「え?どうして?」


「・・あなたの期待通りのところじゃないからよ。絶対『思ってたのと違う』って言うことになるわよ。」



その事はお姉ちゃんの実家に行くことになってからさんざんお姉ちゃんから言われていることだ。

多分、お姉ちゃんが家を出た理由なんだろうけど、聞かないことにする。



「それと、向こうでは許可ないときは常に私のそばにいること、そして何も言わないこと。」


「それってつまり、しゃべらないってこと?」


「ええ。うちって礼儀や言葉遣いに厳しくて、ちゃんとしてないと使用人からでもきついものがくるからね。でもだからってあなたが礼儀がなってないってことじゃないのよ?けど、やっぱりちゃんとした言葉遣いとかを習っていないからどこで揚足をとられるかわからなくて・・・。」



お姉ちゃんからの言動からするに何かあると思った私はおとなしくそれを承諾する。

やっぱりお姉ちゃんからしてみればあまり行きたくないのかな?



「わかった。でもお姉ちゃん、お姉ちゃんが行きたくないなら私行かなくてもいいよ。どういうところかは気になるけど、嫌なお姉ちゃんを無理やり連れて行くことのほうが私は嫌だから。」


「ううん、別に嫌じゃないの。ただ、絡まれたらちょっと面倒な人がいるっていうか・・・。それに、行く用事もあるから。」


「そう?それならいいんだけど・・・。」



苦笑したお姉ちゃんは荷物を持って玄関へ向かう。



「あ!待って、話に夢中で私まだ準備できてない。」


「こういうものは話しながらでもできるようにするものよ。早くしないと置いていくからね。」


「待ってよ~。」


「ふふふ、冗談よ。」



あまり冗談に聞こえない。

だが私は冗談でもそうでなくても、急いで支度して玄関へ向かった。

もし遅くしたらお姉ちゃんに悪いしね。





家を出て三十分ほど歩いたところ、そこにお姉ちゃんの実家があった。

そこは近辺に住んでいる人なら知らない人はいないと言われている豪邸だった。

・・・お姉ちゃんがお金持ちのお嬢様だっていうことは聞いてたけど、まさかここまで大きな家とは思わなかった。

もっとこう、ちょっと豪華な家に住める程度だと思ってたんだけど・・・。



「どうしたの?もしかして家の大きさに怖気づいちゃった?」


「う・・・うん。想像以上。」


「その反応久しぶりに見たわ。初めて来る人はみんなそんな反応するのよ。けど、飛鳥はこれからここの家の子なんだからね。」



そんなこと言われると本当に私なんかが養子になっていいのか不安になってくる。

しかしお姉ちゃんはそんな私の不安の事なんて構わずに門のそばにあるインターホンを押した。



「私です。門を開けてください。」



お姉ちゃんがそう言うと家の門が自動的に開き始める。

それをお姉ちゃんは当然のように中へと歩いていく。



「さ、行きましょうか。」



私もお姉ちゃんに付いて敷地内へ入っていった。

庭はとても広く、門から肝心の建物が見えないほどだった。

正直、ここまでの土地がいる必要あるのかな?

それをお姉ちゃんに言うと、



「私もよくわからないわ。土地売って資金にしてもいいかもね。それかそこに建物を作って経営とかね。」


「駐車場?」


「それはちょっとこの辺りには需要ないかもね。アミューズメント施設とか楽しそうじゃない?」



そんな会話をしながら私たちはまたしばらく歩き続けた。

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