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異世界の飛鳥1

ぼくが・・・いや、私が異世界に飛ばされた事件の数日後、向こうの世界で言う「ウラル」での物語。

私が居候している家の主である鈴さんが、私飛鳥に話を切り出してきた所から始まる。



「ね・・・ねえ飛鳥、家族が恋しくなることってない?」


「と、唐突にどうしたんですか?」



朝十時ごろ、私と鈴さんがリビングでくつろいでいた時に唐突にそんなことを言われたのが始まりだ。



「いやぁ、飛鳥が孤児って聞いてあんまり親の事知らないらしいから寂しくないのかな・・・って。」


「大丈夫ですよ。私には骸亞さんがいましたし。それに今は鈴さんや皆がいるじゃないですか。」



鈴さんは嬉しそうにしていたが、その様子は寂しそうにも見えた。

だけど鈴さんは話を続ける。



「ならさ、私が今あなたに妹になってほしいって言ったらどうする?」



・・・は?

この人は何を言っているんだろう?と思ってしまう。

いや、そのままの意味で私が鈴さんを「お姉ちゃん」と呼ぶことになるということだろう。

そして、この人のことだから単に年下に「お姉ちゃん」と呼ばせるような変態的行動ではなくて、多分私の境遇を思って自分の家の子として養子にしたいということなのだろう。

けど、万が一・・・



「・・・えっと、鈴さん、それはどういう意味ですか?」



確証が持てなかった私は鈴さんに聞いてみた。



「あのね、骸亞がいなくなってからしばらくは飛鳥はひどく落ち込んでたよね。その時はとりあえずで私があなたを家に置いておくことになったのよね。」



私は頷く。



「それから私と一緒に暮らすようになって、段々と私や竜達と話せるようになってきたけど、飛鳥はまだ私達に心までは開いてないでしょ?」


「いえ、そんなことは・・・・鈴さんと虎ちゃんにはちゃんと心開いてます。」


「じゃあ、男性陣には心開いてないんだ。」


「はい。雷牙君とは虎ちゃんとほど話していないからまだあまりよく知らないというだけなのですが、他の二人は骸亞さんとまた会えたとはいえ元々あの二人と骸亞さんは敵対関係なので・・・。」


「好きになれないと?」


「はい。特に竜さんは私にイタズラしてくるし・・・。」


「うん、わかった。とりあえず今度あいつにあったらシメておくね。まったく、あいつは飛鳥になんてことしてるのよ。だいたい・・・・」



鈴さんはブツブツ竜さんの愚痴をしばらく言いながら、どうやってシメるか考えた後、また話を元に戻す。



「ああ、話が逸れちゃったね。それで、この前異世界に飛鳥が飛ばされたときに気付いたの。私にとって飛鳥は大切な存在の一人になっているって。」



私も、異世界に飛ばされてまず思ったのは鈴さんのことだ。

私も鈴さんと一緒に過ごしているうちに骸亞さんほどではないが私にとって頼れる人となっていることにその時気づいた。



「それで、私を妹にする。ということですか?」


「うん。それに飛鳥をこのまま一人にさせておけないって思ったんだけど・・・。」


「・・・少し、考える時間をください。」



鈴さんの気持ちはよくわかる。

私も実際両親がいなくなり、骸亞さんも生きていたとはいえ今は向こうから会いに来てくれないと会えないところにいるため家族と呼べる人間がいなくて一人だ。

けど、だからといって鈴さんの家に養子に行くというのは違う。

やっぱり私はこの姓、骸亞さんからもらったこの姓を失いたくない。

それを無くせば今ある私と骸亞さんとの繋がりが無くなってしまいそうだからだ。

私は席を立ち、自室に戻った。

そして学習机の上にあった携帯電話を手に取り、ある人物に電話する。



「プルルルル、ガチャ」


「もしもし飛鳥?どうしたの?」


「あ、虎ちゃん・・・。ちょっと、相談したいことがあるんだけどいい?」



私は虎ちゃんに相談する。

虎ちゃんは今現在私が敬語を使わずに話せる唯一の人である。

とは言っても、話せるようになれたのは最近の話で、異世界の私である飛鳥がいなかったら今でも敬語だっただろう。

まあ、他にも虎ちゃんから堅苦しいからやめてほしいと言われたからでもあるけど。



「いいわよ。何?」


「えっと・・・電話じゃなくて直接会って相談したいから、今から虎ちゃんのお家に行ってもいいかな?」


「私の家に?なんだったら、私が行くよ?」


「鈴さんに聞かれたくないことなの。だから虎ちゃんの家にしたいの。」


「まあそれなら別に構わないけど、今竜にぃいるよ?」


「う・・・」



さっき、鈴さんにも言ったが、私は竜さんが苦手だ。

私から一方的に敵対心を持っているものあるけど、あの人はよく私にイタズラをしてくる。

虎ちゃんがそれを何度も注意しているのだが聞く気がないみたいなのだ。



「そ、それでも行く。」


「わかった。それじゃあお菓子とか準備て待ってるね。」


「ブツン。プー、プー、プー」


電話が切れた。

私はすぐに家を出て虎ちゃんの家に向かう。

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