無力
1話のあらすじ
嫌われ者の主人公が、ある日数少ない友人と公園で遊んでいると、近くを通った子供が男に連れ去られて行った。
しばらく走った先。そこには一台の大きな車があった。その車には黒ずくめのゴツい男達。
そして
車の中には拘束された沢山の小さい女の子。二人ほど高校生らしき女性も捕まっていた。
「あ...ぁ.....」
言葉が出ない いや 出せない
足も動かない いや 動けない
体が震える 震えが止まらない
そして
車は行ってしまった。二人で顔を見合わせた
まだ体は震えている 怯えている
まだ小さい子供とこれから自分で未来を作って行くであろう年上の女性。
この人達をどうするかなんてすぐに予想がついた。人身売買だろう。
そう分かっていながら、俺たちは守れなかった。
動けなかった。ただ何もせずあの人達が連れ去られて行くのを眺めていただけだ。
俺は悔やんだ。なぜ守れなかった なぜ助けようとしなかった なぜ...なぜ...
心の葛藤が頭に響く。
「おい...ヤバくないか...あれ...」
友人が長い沈黙を破った。
「あ、あぁ。 なぁ、警察に連絡するか?そのくらいしかできないぞ。」
「いや、無理だ。あの車、ナンバー隠してやがった。」
「そうか。」
「今日はもう、帰ろう。残念だが、俺たちに出来ることはなにも無い.....。」
「でも!」
「無駄だ」
友人が被せるように言った。
「悔しいが...何も..出来ないんだ。」
「もう、今日は帰るか。」
「そうだな。」
暗い雰囲気のまま、俺たちは家に帰った。
この日。俺らは己の無力さを知った。
次もかなり期間があくと思いますがゆっくりまったりやっていくので気長に待っていてください。