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ジーンと小さな生き物 後編

ジーンが逃げ出した後に焦点を当てて書いた章です。彼のその後はどうなったのか?そして小さな奴はどうするのか?それでは始まります!

その瞬間公園にいた鳥達はギャーギャーと一斉に騒ぎ出し朝靄の中一心不乱に飛び立っていった。それから数秒経っただろうか?


小さな生き物は瞑っていた目を恐る恐る開いて周りを見渡した。しかしさっきまで小さな生き物に攻撃を仕掛けていた彼の姿は何処にもいない。


小さな生き物は「えっ?あれ?」と更に周りを見回す。


「誰もいない・・・」


小さな生き物は一体何が起きたのだろう?と唖然としていると大きな木の影から「いいね!いいね!ロドリゲス」と拍手をしながら男が出てきた。


小さな生き物は「あっ!」叫ぶと仰天した。


「パズズさん!」


「やぁやぁこの間はどうも」

小さな生き物は何故ここにパズズがいるのか?と疑問に思いながらも昨日の事を思い出しパズズに怯え始めた。


「ロドリゲス、なぁーロドリゲス。昨日の事ー。憶えているよなぁー?憶えているって言うしか無いよなぁー。ロドリゲス」


パズズは言いながらダンダンと土を蹴り出した。小さな生き物は(怖い!本当怖い!関わりたくない!本当関わりたくない!)と思いながら


「昨日?ごめんなさい。私は1人でいましたけど、申し訳ないですが、何言ってるかわからないですし、それに僕はフォルテ・フェリーチェと言う立派な名前があるんです!人違いなんじゃないでしょうか?」と小さな生き物はパズズにわかりやすい嘘を言った。


「いやー。おかしいな?おかしいよなー?ロドリゲス。フォルテシモかスーモなのかわからんけどお前さんはこの地球上でいや、この宇宙でたった1匹の地球外生命体なんぜ?わかるだろー?いやーわかるよなー。見間違いなんてあるわけねーんだからよ。なぁー?」


パズズは今度は蹴った土をパンパンと元に戻した。


「それに今俺の名前呼んでたもんなー?そんな超簡単なわかりやすい嘘を言ってもこの魔法使い様にはお見通しなんだよー。なぁ?わかるだろ?ロドリゴリちゃんよー」


小さな生き物は(名前変わっとるがな)とツッコミたい気持ちでいたが「はい!申し訳ございませんでした」と言った。


「わかれば良いんだよー。ロドリスーモちゃん。わかれば良いんだよー」


「まぁ。なんと言うかさー。昨日あれだよなー?財布憶えてんだろ?なぁー」


「はい。憶えおります」


「そっかぁ、そっかぁー。ならわかるよなー?俺がここに来た事。なぁー?」


「はい。昨日は警察官の方とか大変な目にあいまして、パズズさんを呼んだのですが、来ていただけなかったのでつい焦ってしまってそのまま逃げてしまったので、返すつもりではあったのですが、どうにもこうにもパズズさんを見つけられなかったので、なんとか探がしていたのですが、まさか、パズズさんがわざわざこちらまでお越し下さって、お手数おかけします」


小さな生き物は御託を並べると財布を自分のお腹の袋から取り出してパズズに渡した。


「この中には20万ほどお金が入っているのであなた様の物です!」


「そうかそうか。よくやった。よくやった。それともう一つだー。ロドリゲスなぁー?」


「もう一つ・・・?」


「あーあ。そうだ。わかるだろう?その手に持ってんのはなんだ?お前のもんか?」


「これですか?」


「そうだー。その拳銃って言うやつだ」


パズズは今度は拳銃に目を向けて手を差し出す。


「はい。わかりました」小さな生き物は拳銃をパズズに渡そうとしたが、一瞬気持ちが揺らいだ。


(もし、もしだ。パズズに向けて引き金を引いたらさっきみたいに男は消えるのか?もしかしたらイチかバチかでやってみるか?)


「あー。ロドゴリス。変な事は考えるなよー。ロドリリス。わかってるんだぞ?お前のー、その、なんだ?あれだ。あれ、考えている事は。全て魔法使いの俺はわかってるんだ」


パズズは言うと真剣な眼差しで小さな生き物を見た。


(チッ!お見通しだったか!)小さな生き物はそう思いながらも

「あはは・・・お見通しでしたか冗談ですよ冗談!僕は本当に冗談が好きな人間なんですよ!」


と言って拳銃をパズズに渡した。


「ああ。それとなロドリゲス。さっき男いたただろ?あれな、お前は拳銃で消したと思っているんだろうが、あれは俺が消してやったんだよ。なぁ?わかるな?ロドリゲス」


パズズは拳銃をマジマジと見ながら話す。


「実はなぁー。ロドリゲス俺は魔法使いってわけではないんだ?わかるなー?」


「はい。ちょっとわかりそうでわからないのですが、男が消えたので多分なんとなく察しておりました」


「だろうな?そうだろう。でなー。ロドリゲス俺は実は魔法使いじゃなくて本当は神様なんだー。わかるか?」


(さっきからこいつは本当に大丈夫なのか?何かやってるんじゃないか?)


小さな生き物はそう思いながらも


「はい。やはりそうでしたか神様。神様なんじゃないか?と思っておりました」

と適当な言葉を言ってやり過ごそうとした。


「どこらへんが?ロドリゲス。どこらへんが神様だと思ったんだー?」


パズズは容赦無いツッコミを入れ、小さな生き物は少し言葉を詰まらせると

(なんなの?こいつは!めんどくさい!本当めんどくさい!)


と思いながも「神様じゃなきゃ男は消せないんじゃないか?と思っておりました」と答えた。


「だろうなー。そうだよなー。人間にはそんな芸当出来っこ無いよなー?」


「そうですとも!パズズさんじゃなきゃ出来っこないですよ!」小さな生き物は言う。


「でもなぁーロドリゲス。人間だって1人の人間を消す事だって出来るんだー。本当はー。マジックみたいなトリックでさー。なぁーロドリゲス」


(うわー。本当めんどくさい。この人なんなん?もう財布渡したんだから構わないでほしいし、男はどうなったん?)


「ああ。そうなんですね。僕はまだマジックって言うものを見たこと無いんでよくわかりませんが、それでもやっぱりパズズさんの事は神様だって思ってますよ!じゃなきゃ男はその場で倒れていないとおかしいですしね。それじゃぁそんな訳でちょっと僕は急いで行かなきゃママに怒られちゃうので・・・」


「まぁー待てよ。ロドリゲス。そんなに焦る必要は無いだろう?わかってるんだ。お前のママはいないって事を。俺は知ってるんだ。」


「いや、本当です!絶対います!ママが僕の帰りを待ってるんです!」小さな生き物は良い加減この男は怖いがうんざりしてきていた。


「いいや、ロドリゲス。ダメだ。お前は。知らないんだー。ロドリゲス。お前はママを探すと言うがお前は両親の顔すら知っちゃいないんだー。わかるか?」


「はい!そうですね!記憶損失ですもんね。自分は」小さな生き物は良い加減にしてくれと言いたい気持ちだった。


「いいや、ロドリゲス。真剣に言ってるんだー。俺はー。いつだって真剣なんだが、今回ばかりはもっと真剣な話なんだよー。」


「はい。わかりました。でもじゃぁ5分だけ!急いでいるので5分だけ聞きますね」


「まぁ。そうだなー。どこから話したらいいのかー。なぁロドリゲス?」


「どこから話したらいいのかわからないなら僕、本当急いでいるのでここらでおいたまさせていただきますね」


小さな生き物はやれやれと踵を返すと歩きだそうとした。

するとパズズは銃口を小さな生き物に向け


「まぁまぁそう焦るなってー。お前はこの俺の話を聞かなきゃならねぇーんだからなぁー?ロドリゲス」と言った。


小さな生き物は(ああ・・・もうどうにでもなれ)と思いながら「わかりました」と答えた。


「まずなぁー。お前の出生の話なんだがなー。さっきも言ったが俺は神様なんだー。わかるだろう?でなぁー。お前は俺か作った人工生命体なんだー。」


「はぁ・・・」小さな生き物は小さく頷く。


「いや、寧ろ俺が作ったから正確には神工生命体って奴か?」

パズズはヒッヒッと笑った。

小さな生き物は(めんどくさいなー)と思いながらまた「はぁ」と答えた。


「でな、お前を作ったのにはわけがあるんだ。それはな、俺は天上からこの星を見渡していたんだが、どうも天上から見るこの星は毎日の様に争いが絶えなくてな。よく爆風や叫び声などを見たり聞いたりするんだよ。とてもこの星からしてみたら人間がいる事で良い影響はないとな。だからな、自分は地上に降りてこの目で真実とやらを確かめたかったんだ」


パズズはそう語り出すと今までだらしない口調で喋っていたが、普通の語り口調で喋りだした。小さな生き物はそれを察して少しだけ耳を傾けた。


「だがな自分だけじゃ自分の世界の中だけでしか真実とやらを見つけられんだろ?そこで俺は自分とは真逆の奴を作ってそいつにも世界を見てもらおうと思った。それがお前だフォルテ・フェリーチェ」


パズズは真剣な眼差しでフォルテ・フェリーチェを見る。


「じゃああれですか?僕はあなたに作られた存在って事なんですね?それが真実だとしたらママやパパは・・・」


フォルテ・フェリーチェは悲しそうな目をした。


「ああ。いないんだ。パパやママは君にはいないんだよ。フォルテ・フェリーチェ」


「でも僕にはパパやママの記憶が少し残ってる気がするんです」


「そうだな。その記憶は俺が少しうっすらとお前の頭の中に入れといた・・・の記憶だ。作られたお前にはパパやママは存在しないんだよ。すまないな。しかし、その記憶が少しだけあったからこそお前は人間の様な性格を形成して、人間と喋れるような生き物になった。ただどこで履き違えたかどうしてもお前は盗み癖がある性格になってしまった。」


「はぁ。そうなんですか・・・」


「そうだ。そしてお前は色々な奴と触れ合って人間の在り方をまた考えて答えを出してほしかった。」


「はぁ。」フォルテ・フェリーチェはこの人は何を言ってるのだろうか?よくわからないなと感じた。


「俺もお前と違った視点から人間を見てきた。時には金持ちの様な格好して金持ち達と夜な夜な語りあったり、時には貧しい人の格好でどう言う暮らしを送っているのか?と生活してみたり、色々な側面から人間をみて見たんだ」


パズズはズボンのポケットをガサゴソと漁るとタバコとライターを取り出し火をつけ吸った。


「フォルテ・フェリーチェ。君は人間と触れ合って何を見た」


「うーん。わかりません。そう言うの考えた事無かったし。自分が生きるので精一杯だし。」


フォルテ・フェリーチェはパズズに言うと首を捻った。


「そうか。この身体では答えは見つけられなかったか。まぁお前は確かに自分で精一杯だったもんな。しかしまぁ、自分は地上に降りてわかったが、人間と言うもんはいつまで経っても変わらんね。星から見たら害としか思えない事ばかりしている」


パズズは少し諦めたような、絶望をしたような顔で空を見上げた。


「でも少しだけ僕は優しい人間の方に触れ合ったような気がする。僕・・・でもそう言う人達にも悪いことしちゃった。盗んじゃったり、盗んじゃったり」


「ああ。その盗み癖な。まぁそれは本当にお前を作った俺のミスだから仕方ないがな。優しい人に出会ったのか?」


「うん。ミルクくれたりしてくれたよ」


「そうか・・・」


「俺は今まであまり良い人間には出会わなかった。裏切ったり傷つけて平気な奴だったり、人間の中の上になればなるほどしがらみや何かモヤモヤしたものがあったり、まぁこの星を地上から見てダメだったら破壊してやろうと考えていたんだがな」


「パズズさんダメですよ!優しい人はそれでもいっぱいいますし!それに僕、星が無くなったら怖いし!僕はそう思う!だから破壊しちゃダメですよ!」フォルテ・フェリーチェはパズズに目を見て訴えた。


「ヒッヒッ!そうだな。破壊はしないよ。お前も折角生きてるんだしな。」


「それともう一つ、お前の名前はフォルテ・フェリーチェって言うんだがなんでその名前をつけたかわかるか?」


「うーん。なんでしょう?わからないや」


「そうか。そうか。それはな・・・人の幸せを強く願えるそんな奴に育って欲しいと思ってつけた名前なんだ」


「そうなんですね。知らなかった。逆に皆んなに迷惑かけちゃってるから僕は最低ですね」

フォルテ・フェリーチェは横目で何かを見ながら言った。


「盗み癖があるもんな。ヒッヒッ」


「そしたらまぁ、これから償い行脚してお前なりに幸せを運んだらどうだい?」


「そうですね。明日からそうしてみます。パズズさんそろそろ良いですかね?僕ちょっと色々聞いて疲れちゃったので帰らせてもらいますね」


フォルテ・フェリーチェは何か気持ちが焦っているのか、はたまたパズズから逃げ出したい気持ちがあったのか急いで話しを終わらせようと「さよならパズズさん」と挨拶して歩き出した。


「ああ。サヨナラ。フォルテ・フェリーチェ」


「はい。色々教えてくれてありがとうございます!少し気が晴れました!それでは!」

フォルテ・フェリーチェは歩きながら一言言うと公園を足早に去って行く。


パズズも後ろを向き歩き出した。それから思い出したかの様に振り返り


「あっ!フォルテ・フェリーチェ!一つ言い忘れた!なんでロドリゲスってみんなはお前の名前をそう言うかわかるか?それはなお前が街の・・の生まれ・・・だからだよヒッヒッ」と笑った。


しかし彼の姿はもうすでにどこにもなかった。



それから時が経って2040年・・・


















































パズズはキラキラと光る闇の中で「この世界もダメか・・・」と呟くと掌を伸ばしてから握り締めた。

それから握り締めた手の中で丸いものが光りだし泡となった。パズズは「さてもう一度作り直すかと言うとドライヤーを取り出してブォーと息を吹いた。


夢を描くフォルテ・フェリーチェ End


夢を描くフォルテ・フェリーチェは自分が初めてしっかりと完結させる事が出来た作品です。


小説を書くのにあたって構想から書き出して完結させる事は僕にとって中々しんどく、いつも中途半端な状態でした。


完結させるにあたってはこの主人公をイラストにしたらどんなキャラクターになるんだろうか?と思い、描いた作品でもあります。


なので中途半端に小説を書くわけには行かず、いずれしっかりと完結しようと思っておりました。

それがやっと完結出来ました!長い期間でした(笑)

僕は頭が良くないので、何度も何度も見返して、あ!この文章おかしい。とか、あれ?さっき読み返したのになんかここの部分変だな。とか長期に渡ってそれを繰り返してしまいます。


正直これで完結出来たー!と喜んでいざまた読み返したらあれ?とかになってやしないか心配な部分もあります。


まぁでも何とか完結させられたから良かったと思いたいと思います(笑)


そして何より今辛くて、しんどい人が少しでも笑顔になれるように助けになればと思って作ろうと思った作品でもあり、何とか完結せねば!と自分よがりで作りました(笑)なのでこの作品で少しで救われた方がいたら本当に幸せです!


そして最後までつまんねーなと思いながら読んでくれた方も感想を是非お待ちしております!ダメだしでも何でも!それも励みにもなります!


この主人公は元々自分が大好きな動物クワッカワラビーをモデルにした主人公です。

クワッカワラビーはロットネス島に住んでいて口元の口角が上がっているので常に笑顔のような動物であり、世界一幸せな動物とも言われています。


世界一幸せな動物と常にいたらこっちまで幸せになれそうですね。


それでは!本当に読んでくれてありがとうございました!またいつかー!





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