都市伝説と歴史に耳を傾けるな!
キーンコーンカーンコーン
「はぁーー復習テスト終わったぁぁー」
ようやくテストを終えた俺が一息吐いて背伸びをしてるところにいつも通りの2人が絡んできた。
「そうだな、まぁあんなミジンコでも出来そうな復習テストなんて全教科90以上は取れるな。」
「あはは〜うちいつも通りにノー勉でもスラスラ解けたわ〜あれは確かに簡単だったやん、ね?こうちゃん。」
おまえら悪魔か!!うちの悪魔より悪魔か!!生徒約250人中の100位くらいの俺に気を使え!察しろ!
「....だ、だよなぁ、いやマジ超楽勝、あんなゴミ問題解けない奴いんの?例えばほら、仏教を開いた人物名を答えよってゆー問題、あんなん楽勝すぎて吹いちゃったよ全く〜 ザビエルに決まってるだろってんだ。」
俺はちょうど先ほど回収された歴史の復習問題の解答欄に答えた自信満々問題の1つを彼らに堂々と胸はって答えた、すると2人とも苦笑し、数秒の沈黙をしてから2人して、
「俺ほんと思うんだけどアキラってさ、」
「うちほんま思うんやけどアッキーってさ、」
「筋金入りのバカだな。」
「通天閣の高さほどのアホやんね。」
野郎、どっちも頭いいからって俺をバカにしやがってーー
「アホとかバカとか言わないでくれよーゆういつ友達のおまえらに真面目な顔でそんなこと言われるの流石の俺でも傷つくぜー?それに俺歴史苦手だしぃー」
と言い訳を一通り述べてから隣にいるアルルの方におまえはこの問題解けてたか?と言わんばかりの視線を送ってみたが、アルルもあいつら同様の表情をして、
「誠に申し上げにくいのですが、人間界の情報量が少ない私にでも解る問題でした、旦那様。」
….もういいよもー誰も俺の仲間じゃないもーん。
と少しばかり心の中でスネてしまった俺氏。
「今日はこれで学校終わりだそうだから昼3人でどっか食べに行こーぜ? 」
康太が急に俺らを昼飯に誘ってきた。
「それさんせーい、うちこの頃まともなご飯食べとらんからね〜〜、んーせやな〜サイザリアに行こ〜や、うちステーキ食べたいねん〜あ、ラザニアでもええかも〜どっちにしたらええか迷うなぁ〜ほなうち両方食べる〜」
流石委員長女子とは思えないほどの食欲アピールをする。
「いいぜー今日朝起きるの遅かったから妹の弁当持ってくるの忘れちゃったしな。」
そう俺が首に手をかけて言うと、
「お、ええですなぁ〜あんな可愛い妹ちゃんの愛妹弁当を毎日堪能出来るだけでも羨ましい限りですわ〜」
実は委員長は前に妹にあったことがあり、それからすっかりうちの妹のことがお気に入りの様子だ。
「ほれ、いいんちょーアキラをからかうのもいいがちょうど昼時になるから、なるべく人混みを避けたいし早目に出発するぞー」
そう言って康太は俺を委員長のからかいから助けてくれた。
「あ、そっかぁ〜、分かったよ〜早よ行こっ早よ行こっ」
と委員長は言って、せっせと文房具をカバンに詰め込んで、俺たちはサイザリアに向かうことにした。
→→→→→→→
しっかしサイザリアなんて1年ぶりくらいかなー。ここしばらくは妹とアルルが食事を用意してくれていたから外で食べる機会も少なかったしなんかちょっと新鮮だなぁ。
などと考えてちらっとアルルの方へ目をやるとアルルは俺が眺めてるメニューに対して目をキラキラさせながらまるで外国人が初めて日本の料理店に入ったかのように、
「おぉぉぉーーー私が作る料理よりも美味しそうですね!ヴァリエーション豊富すぎます!流石はジャパニーズレストランですね旦那様。」
なんか1人で盛り上がってるこの子は置いといて俺はハンバーグを頼むことにした。
康太はクリームパスタを、そして委員長は...メガステーキセットとメロンソーダそれにプラスデザートのホットケーキ3枚...カロリー取りすぎではあるまいかとこっちが心配してしまうほどの量を頼んでいた。
3人とも注文し終えるとこんな会話が始まった。
「んねっ、2人とも知っとる??ここら辺の噂っていうか都市伝説なんやけど、最近ここらで不法侵入者が多発しとって、捕まった犯人が口を合わせ、こう言うらしいんや。。何をしていたか全く覚えてない、気付いた時には警察署にいた、ってゆーねんーなんか変わった話やろー??」
まるで関西のおばさんが立ち話してるかのように委員長はその都市伝説とやらを語り出した。
「なーんだそれ?マジ草生えるっての、なぁアキラ?」
康太は俺の方を向いて質問してきたが、どうやら話からして悪魔もしくは天使が関わってるようだ。まぁこの手の話の場合、大抵は悪魔が悪さをしているパターンだが、とにかくそいつらを見つけて本体から引きづり出すのが俺らの仕事ーーというかボランティア活動だ。というかこれだけ働いて来たんだからなにか報酬を貰ってもいいと思うんだけどな.....などとついつい考えてしまうが、当然そんなうまい話などない。
「ーーぃアキラ、なぁアキラーなにぼやーっとしてんだよー久しぶりに外出して疲れたのか?おまえはどう思うよ?そんなのデタラメにきまってるよな?」
どうやら俺は考え込んでてぼーっとしていたようだ。俺が康太の質問に答えようと口を開きかけたが委員長が隣から割り込んで来て、
「ほんまこーちゃんはあかんなぁー、夢がないねん!夢が!!都市伝説なんて信じるかどーかは、本人次第やで〜まぁうちは信じとるけどぉ? アッキーはどうなん?信じるか信じないかはアッキー次第です!!」
委員長は俺に人差し指を真顔で指してきた。どこかのテレビ番組で見たことあるようなネタなので、先ほどの康太の質問と委員長にツッコミも兼ねて、
「ちょいまて、俺が引きこもりみたいなこと言うな、後その他の誰かがやってそうなセリフを口にすんな。話戻すけど、俺は都市伝説そこそこ信じてる方....かな。」
実際すぐそこには堕天使もいるんだから、都市伝説も本当の話が少なからず転がってるんだろう。
それを聞いた委員長は目を大きく開いて、
「せっやろ〜!!流石アッキー〜そこのガリ勉メガネと大違いやなぁ〜〜、アッキーも都市伝説興味あったりするんや〜」
「そうだな、、、ないこともない、かな。」
と意味ありげに発言した。この二年間あり得ない出来事が多すぎて現実離れしてるところがある。時に笑い、時に悲しみ、時に怒り、あの記憶は、はたして現実だったのかそれとも幻想だったのか今でも信じがたいものがある。俺の剣で守れなかったあの子はもう帰ってこない...もうあの日の思い出は帰ってこない....これらが本当はただの都市伝説で、全てが偽りだったらいいのに。
そんなこんなでくだらない話をしていたら、10分ほどで頼んでいた料理が手元に来た、流石はファミリーレストランってだけあって仕事が早い。
「なんですって.....!?この悪魔メイドの私ですらどの料理も15分はかかるというのに、このお店ではたったの10分で白米、サラダ、ハンバーグの盛り付け、しかもドリンクバー付き!....魔術が使えない人間如きに負けるとは....まだまだメイドとして修行しなければなりませんね。」
そんな感じで一人で何やらサイザリアの対応の早さと完璧さに驚きと新たなる熱意を抱いていている悪魔が1人隣で頭を抱えていたが、委員長らが側にいるのでソッとしてあげることにした。
「いっただっきまーす〜〜」
料理が届いてすぐに、まるでハイエナのように委員長は手にナイフとフォークを素早く握りしめ、料理にありついていた。
「と言うかいいんちょーメカニックのくせになんで都市伝説に興味あんの?」
とバカにしたような口調で康太がいいんちょーに問いかけた。
「メカニックだからってーテレビは見るしー食事も取るしー音楽も聴くしー他のものにも興味あるちゅーねん。」
「まぁ、誰にだって長所や短所、趣味は様々だしいいんじゃね?」
俺は超久しぶりに委員長の肩を持ってあげた。
「今日はやけにいいんちょーの肩持つなーアキラー。」
つれないなーこいつ、みたいな顔で康太は俺にそう言うと、
「はっはぁーん、アッキーはいつでもうちの味方やでっ、ね?アッキー。」
委員長は食事をとりながらドヤっとしていたが、そんな彼女に対し俺は、
「いや、別にそうでもないけど、俺は自分が信じるものの味方だから。」
と俺は彼女から受けている安い信頼を全力で振り払った。
「えぇーアッキーほんま〜相変わらずつれへんなー」
などと3人で時間を忘れて話していた。
ふと店の壁にかけてある時計を見ると、午後一時半を丁度回ったところだった。