3)必殺!体外衝撃波結石破砕術
正式名称は体外衝撃波結石破砕術。私が行う、尿路にある石を砕くための術式。
全身麻酔ではないので日帰りで(これは病院によってまちまちらしい)、点滴で少しぼんやりしている間に終わらせてくれるという話だった。
大学病院だからなのか研修医が立ち会っての手術スタート。初めは輪ゴムをぺちっと当てられる程度の衝撃。
これが上司の言ってた“物差しでパチーン”か。あんまり痛くないな。やっぱり彼の言うとおり男性は痛みに弱いのか。
と、のんびり構えていたら主治医の声で衝撃波を強める旨を伝えられた。痛かったら言ってくださいね、と容赦なく強められる衝撃波。
こいつは物差しなんてもんじゃない。きっとベルトの金具の付いている側で殴られたらこんな感じか。
必死に、視界の隅にいる研修医に痛いですとアピールしたが見事に無視。
痛かったら言ってって言ったじゃん!研修医じゃダメなの!?ちょっと、主治医はどこだよ!(※機械を操作しています。)
点滴でぼんやりしている為ちゃんと喋れないのに痛みだけはハッキリわかるという最悪の状態。せめて機械から少し体を離して自分から衝撃を和らげようとすると、すかさず研修医が寄って来て位置を直された。
お前、さっき無視したくせにこういうのは見逃してくれないんか!
心の中で夜叉のごとく研修医を怨みながら地獄の時間を過ごした。
術後の私は産卵後の鮭だった。ふらつきながら点滴棒にしがみついて歩くと、研修医が手を貸してくれた。
今さら優しくしてくれたって遅いよ。
すぐに尿検査をすると、それはそれはカンパリリキュールのような真っ赤な尿が出た。衝撃波は結石だけではなく周りの細胞も少なからず傷つけてしまうので、こうなると言われた。
尿はすぐに研修医たちの手に渡り、3人くらいで寄ってたかって顔を近づけ、観察し始めた。蛍光灯の下に晒したり窓際で透かしたりして弄ばれる私のカンパリ。
やめろー。せめて見えないところでやってくれー。
この日はタクシーで帰宅し、無事に手術を終えた安心感と開放感で満たされながら、もうこんな目には遭いたくないと強く願った。
特にあの研修医、許すまじ。