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私の爆弾  作者: 如方りり
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1)衝撃のデビュー!

 私とアイツの出会いは、二十歳ごろ。


 最初は通勤途中のバスの中で下腹部に違和感を覚えた。違和感は徐々に生理痛にも似た鈍痛に変わり、生理痛の重い私は日頃から婦人科系の病気に怯えていたため、これはやっぱり…!と納得しながら不安に駆られ、婦人科を受診した。結果は何ともなく、痛み止めを処方されて終わった。

 身体を折り曲げる程の激痛!?と思いきやふと楽になる痛み方は下痢の時のそれに似ていた。だんだん痛みの部位が変わって来ている気がするし、自分でもどこが痛いのかわからない。とにかく初めての痛みだった。

 内科や整形外科も行ってみたけど、どうやら違う。痛みがない時は食欲もあるし、すこぶる快便。骨や筋肉の調子もこの上なく頑丈。


 ちなみに当時の勤め先は総合病院だったので、全て知っている先生によって診察され、知っている技師によって検査された。私は事務職だった為、ほかの医療スタッフに比べて免疫がない分、色々と恥ずかしかった。

 他部署の男性(医師)に聴診器でポンポンされ、いつも小言をいうお局(看護師)に立ち会われ、挨拶程度しかしない知り合い(放射線技師)の前で薄い布一枚で横になるなんて、罰ゲームでしかない。

 しかし、肝心の腹痛については原因不明。


 そんな私の様子を見て、同じ病棟の看護師さんが言った。

「まさか結石じゃないよね?」「でもまだ若いし」「おじさんに多いんだけどね」

え?脅かさないでよ…。で、でも、結石ってものすごい痛いんですよね。怖い。やだな。お腹に石があるってことでしょ。開腹手術とかするのかな。結石じゃありませんように。アーメン。


 他部署のお姉さん(臨床検査技師)に摂りたての尿を提出し、最終手段で泌尿器科を受診すると、ばっちり尿路結石だった。

「え、本当に石だったの?」「そんなに痛かったんだ、寝てなよ!」「かわいそうに」

仮病だとは思われていなかったと思うけど、ふざけた顔なのかあまり痛そうじゃなかったらしい。

「水分いっぱい摂って尿管の石を流しちゃえばすぐ出てくるよ。排石の時はね、おしっこの時にコロンと出てくるんだよ。」

 そう言われて何日も“コロン”を待ったが出てこない。いつの間にかあの激痛も起こらなくなった。ちゃんと出たのをこの目で確認したかったけど仕方ない。

 排尿に便利なあの管が欲しいと男性を羨みつつ、次第に激痛の恐怖も薄れ、私の結石デビューは幕を閉じた。


 しかし、それはこれから始まる結石ライフのはじまりだった。


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