#2 棗 李里の人間観
【あれはいつのことだったのだろう。
忘れてしまった。
大切なことだったのに。後悔しても遅い。】
毎日人間というのはせわしなく生活している。
― 仕事して、ご飯を食べて、お風呂入って、寝て、起きて ―
毎日決まったことを繰り返しするなんてつまらないものだ。
まぁ皮肉にも自分もそのつまらない「人間」の一人なのだ。
生まれてから私は恋愛というものをしたことが一度もなかった。
といえば嘘になるかもしれない。なにせ、自分には恋愛がそもそもどんなものかわからないのだ。中学生になり周りは彼氏を作ったり、片思いのあの人に告白したい!とか騒いでるけれど、自分には関係ないだろう、と思い生活してきた。
「信頼できる人」「信頼できない人」
「論理的な話をする人」「論理的に話をしようとしない人」
「嘘をよくつく人」「嘘をあまりつかない人」
人のことはこのようにしか見てこなかったのだから恋愛がわからないのも無理は無いだろうと理解いただけただろうか?
しかし、私の親友ちかげも彼氏がいる。
名前、何だったかな…大翔だった気がする。
ちかげは付き合ってすぐに私に報告してくれた。前から好きだとか言っていたから驚きはしなかった。
ちかげと大翔が付き合ったことにより私も大翔と話す機会が増えた。そもそもちかげ以外のクラスメイトとはあまり関わりもない。
『よっす!ちかげ、棗ちゃん』
『大翔、こんにちは』
『大翔〜、今日は一緒に帰れる?』
『帰れるよ!にしても、棗ちゃん今日もクールだねぇ笑。もうちょっと俺に心開いてくれてもいいんじゃないの笑。ほら、ちかげと同じ感じでさっ』
『これでもりりは大翔に心開いてる方だってば笑!普通は名前も読んでもらえないんだから』
『大翔は嘘をあまりつかないと見えたから話す。他にもいいところを見つけたらもう少し心を開けるかと。』
『いいところって…苦笑』
このように、親友の彼氏くらいしか男子とはしっかり話さなかったのだ。
【あの日までは。】
まずは、読んでいただいてありがとうございました!
まだまだ、未熟者なので誤字や脱字、文章がおかしいところはご指摘していただけると幸いです!
さて、李里の親友、ちかげと大翔が登場しました。
李利とこの二人が物語の中心人物になって行くと思います。