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幽霊彼女と俺


学校での実技試験を終えて、家まで帰って来た俺と幽霊。

ひと休みしたいところだがそうもいかない。

この幽霊さんに話を聞かなくては。


「…あのさ、とりあえずなんでこうなったのか説明してくんない?」


「……わかりました。」


そう言って彼女はこれまでの経緯を語り始めた。


「まず私は死んだわけではありません。」


「体は病院で寝たきり状態です。」


「昨日の夕方にめまいに覆われ倒れました。

……その時に私は夢を見たんです。」




「…お前の人生はこんなものでいいのか?」


どこかわからないところから聞こえる声


「まだ生きたいか?」

私は迷わず答える。

「こんな病院生活の人生で終わっていいわけがない!

これが私の人生だったら悲しいよ!

……………ねえ?…私は死ぬの?

…………生きたいよ…。やりたいこといっぱいあるのに。」



「………お前の思いは聞き取った、しかしそれを行うにはやってもらうことがある。」


「…………それは?」


「お前の助けたいと思う人の願いを一つ叶えてくればいい。」


「………助けたい人?」


「…だったらこの前のあの人がいいな。

……私でも役に立つんだってわからせてくれた人。

……たいしたことではないんだけどね。」





「ということでここにきました。」

彼女は満足したように言った。


「……まずこの前の人って俺のことなの?」


今彼女を幽霊にしてるのは、神様なのかなんなのかは分からないが、ここにいる以上それは認めなくてはならない。


でも願いってなんだ?


そもそも俺はこの人に何をしたんだ?


「そうですあなたですよ。」

彼女は微笑んだ。


「……俺は何をしたんだ?」


少し黙ってから、答えた、


「…私はあなたの財布を拾いました。その時のあなたはとても感謝してくれて。たいしたことではないと分かってるんですが……私にとってはとても嬉しかったんです。」


ずっと病院暮らしならそんなたいしたことじゃなくても、嬉しかったんだろうな。

すごく助かったのは事実なんだけど…。


「…俺のところに来た理由はわかったよ。

………ちなみに……俺の願いって何?」


「………え!?」

彼女はびっくりした顔で俺を見た。


「…いやだって俺も自分の願いとかよくわからないし…。」


「…そ…それは私にもよくわかりません。あなたが自分の願いを見つけるまでは…。」


俺の願いってなんだろうな。

お金持ちになりたいとか?

結婚したいとか?

…そんなもんじゃないだろうな…。

まあこれは考えても仕方ないことか。すぐ分かるものじゃないし。

そして最後に俺は聞きたいことを聞いた。


「…そういえばさ。その体って触れるの?」

なぜこの質問をしたかというと、姿は俺以外には見えないとしても、触れるとなると誰かとぶつかったりした時事件になりかねないなと思ったからだ。

別に変態とかそういうのではない!

………けっして。


「…わ…わかりませんが…。…触ってみます?」


「…え!?……いいの?」


「……恥ずかしいですけど…。わたしも少し知りたかったので。」

顔を真っ赤にしながら言っている。

かくいう俺も心臓バクバクだけど。


「…そ…それじゃあ。」

俺はゆっくりと手を伸ばし二の腕をつかんだ。



『ぷにっ』

触れた!

………気持ちい…。

そういえば二の腕っておっぱいと同じ感触って聞いたことがあるな。

………やばい!クセになりそう。

…俺って変態!?


「…ん…っんん……ん。」


!?!?


彼女は顔を真っ赤にして泣きそうになっていた。


「……男の人の前でこんな声だして…。も、もう私…。」


「ご…ごめん俺も調子に乗って。」

「…で…でも触れることはわかったな。」

俺は必死に話を繋げようとした。


「……ぐすっ。……そうですね。でも…その…さっきみたいなことはもうしないでください。」


「本当にごめんもうしないから!」

俺は深く頭を下げた。


「………許します。…約束ですよ。」


あーよかった。

変態扱いされるところだった。


「…ところで神山さん?」

「下の名前で呼んでください!」

「……え?」

「……紫絵里と……紫絵里と呼んでください!」


どうしたんだ急にそれになんでこんな必死なんだ?

すると唐突に話し始めた。


「その………私はずっと病院にいたので同年代の友達はいなかったんです。」

「だから……できれば……その……

純一くんと…と…友達になってほしいなって…。だから下の名前で呼んで欲しいんです。

…………ダメですか?」


そんな上目遣いで言われたら、すごくどきどきする。

……でも彼女は必死だ。たかが友達じゃないんだ。

「分かったよ。……えと……し…紫絵里さん。」

「…それと……もう俺たちは友達だよ。…うん友達だ!」


彼女は目に涙をためて

「……ありがとう純一くん…。」



見た目は俺よりも低くて、男ならじっと見つめてしまうような美しい顔、長めの黒い髪の毛、会った時はどこか不安そうな顔をしていたが、

今この瞬間の笑顔は俺の心臓の鼓動を何倍にも早くさせた。


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