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八十四話 博麗神社の宴会Ⅰ

久々にローマ字登場! 厨二っぽい? 気にするな!!

「すごいな……これは……」


予想以上のにぎわいに、参真は驚きを隠せない。

それもそうだ。幻想郷の各所から、人や妖怪が我先にと集まり、いつの間にか博麗神社で始まった宴会は、大賑わいを見せていた。


「いつも異変が終わるとこんな感じだよ。これから慣れていってね!」

「う、うん……」


 小傘も既に大分飲んでいるらしく、顔を真っ赤にしている。とはいえ妖怪だし、これぐらいなら大丈夫の範疇だろう。そうして彼の元を離れ、小傘は別の妖怪たちと飲みに行った。

 入れ替わるように、自身の近くに楽器を宙かせた三人組が、参真の元に訪れる。


「おーいたいた! 参真だっけ? 今回の異変どうだったの!?」

「メルラン、初対面の人に失礼でしょ?」

「そういうルナサ姉さんだって、実は知りたいくせに~」


 はぁ……とため息がこぼれそうになるのを彼は堪えた。参真は異変解決に向かった人間の一人として、あちらこちらから質問攻めにあっている。この手の話も既に何人もの妖怪や人間としているのだが……


「どうと言われても……いろんな人と弾幕ゴッコしたとしか言えないよ?」


 といいつつも、ちゃんと話をしようとする辺り、この青年は律儀と言える。現にこの後しばらく話しこんでいたが、それにも細かく返答をしていた。

 そうしてすべての話を終えると、メルランと呼ばれた少女は興奮気味に言う。


「へー! じゃあ参真と小傘ってラブラブなんだ!!」

「どうしてそうなるのさ……」


 この展開もお決まりで、もう何度目かわからない。その度に彼は、こんな感じの答えを告げるのだ。


「小傘ちゃんはその……大事な妹みたいな感じだよ。そもそも、恋とかよくわからないんだ」

「恋がわからないって……もったいないなぁ」


 自身の近くにキーボードを浮かべた少女の言葉に、参真は強くデジャヴを感じる。厳密にはデジャヴではなく、同じようなことの繰り返しなのだが。


「んー……」


 恋がどういうものか……考えてもわからない。恋人がいたことなどないし、憧れたこともない。絵を描いていられる場所に居られれば、現世での彼は幸せだったからだ。

 それを奪われてからようやく、家族である兄に救われ、失い……それでようやく隣人を意識するようになった彼は、それでも人との関わりがよくわかっていない。なぜなら、彼のものさしは人と大分違うからだ。


『自然か不自然かを見分ける程度の能力』


 この能力が、否が応でもモノのあり方を見抜いてしまうのが大きい。加えて、対人関係に関しては、参真はまるで経験がない。

 丁寧な敬語での話し方は敵を作りにくい。が、敬語は同時に、『自分の世界に入ってくるな』という、自己啓発でもあった。

 故に彼には友人がいない。気の合う仲間も、頼りになる先輩も、理解してくれる指導者も……西本 参真には、『絵』に関わるモノ以外、何もなかったのだ。彼には必要なかったから。


「もったいないって言われても、わからないものはわからないよ。絵さえ描けていれば、楽しかったから。でも今は、小傘ちゃんがいないと……寂しい」


 幻想入りしても、特に意識は変わらなかった。小傘が無邪気についてくるまでは。

 そこでようやく、彼は人らしい関係を築くことが、初めて出来たのである。


「……恋なのかどうかは知らないけど、小傘ちゃんがいないと寂しい。それははっきり言えるよ。昔は本当に……絵さえ描けていれば、他に何もいらなかったのにさ――」


 昔の自分の方がよかったのか、今の自分の方がいいのかは、分からない。きっと誰にも、その区別はつかないだろう。


「絵を描くのが、大好きなのね」

「……それこそ、『愛してる』ぐらいかもしれない」


 思わず苦笑が漏れる。自分はどうしようもないほど、情けないほど絵で出来ていたと言っても過言ではない。


「似てるわね……私たちと。あなたは絵で、私たちは音楽」

「あ、やっぱりそれで演奏するんだ」


 黒で落ち着いた雰囲気の少女はヴァイオリンを、真逆の色の服装と性格を持った少女はトランペットを、赤を基調とした少女はキーボードの楽器で演奏するのだろう。


「そうよ。これから演奏するつもりだから、よければ描いてほしいな」

「いいよ。ちょっと道具をとってくるから、少しあとでいいかな?」

「問題ないわ」


 青年が立ちあがり、三人の騒霊が道を開ける。

「ありがと」と言って奥においておいた荷物をとろうと進むと……


「……なんで、ここに」

「あら、参真……だったかしら? 調子はどう?」

「頑張ったみたいじゃない、私も嬉しいわ~」


 今回の異変に向かった理由と、その原因――八雲 紫 と 西行寺 幽々子が、呑気に酒を酌み交わしていた。


 絵を描くことを楽しんでいるのだよ! 貴様は!!

 ……ってぐらい参真君は絵を描いていたいってお話。

 それが小傘の影響で、少しずつ変わってますが、その時に生じる感情が恋愛感情かどうかは別な訳でして……

 そして再びゆかりん登場! 幽々子だけも考えましたが、せっかくなので話をややこしくしようと思って(にっこり)

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