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八十三話 覚めた悪夢

PV100万……だと……

これも皆様のおかげでございます! 引き続き宜しくお願い致します!!

「つっ~!?」


 最悪な、夢を見た。

 兄が昔、死んだ時の夢……

 それだけではない。その隣には小傘の死体まであった。


『自分を想ってくれる他人(ひと)が、一度に死ぬ夢』――


 次男や父親の死体が転がっていなかっただけまだマシだが、それでも気分はよくない。天井が見馴れないものであったことも、彼の不安を煽る材料になっていた。


「ご主人さま?」

「ああ、よかった」


 彼女の死体を見た瞬間に目を覚ましたものだから、こうして本物を見るまでは安心できずにいた。一度何の前触れもなくはぐれている分、そのあたり神経質になっているのかもしれない。


「怪我はない? 小傘ちゃん」


 何気なく聞いたのだが、途端彼女の表情が曇る。


「ちょっとは自分のことを心配してほしいな。私は妖怪だから頑丈だけど、ご主人さまは人間なんだから……」

「……ごめん」


 彼女の言葉が、胸にしみる。どうにも、自分のことをあまり大事にしない癖はまだ残っているようだ。時間をかけて、少しずつ矯正しないといけないな。と参真は思った。


「そういえば、ここはどこ?」


 さっきから近くで騒ぎが聞こえてくる。一瞬命蓮寺かとも思ったのだが、それなら誰か小傘以外にも心配で見に来てくれていそうな気もする。

 それに、あそこの寺は比較的木材が綺麗で、いかにも新しくできた寺のような感じだったのに対し、この住居の建物の材木は、どことなく年月を重ねているような色合いをしていた。


「ここは博麗神社……ご主人さまを倒した巫女がいたよね? その人が住んでる神社だよ。今は宴会の準備で忙しいみたい」

「宴会? 祝うようなことなんてあったっけ?」

「異変が解決したら、いっつも霊夢は宴会を開いているよ? ……そっか、ご主人さまは異変を見るのは初めてだったっけ」

「そうなるね……異変はどうなった?」


 彼女の話を聞いて、異変を思いだした参真はそのことを尋ねる。西行寺 幽々子の依頼で動いた自分でも、事の顛末は気になった。


「うん。霊夢が……巫女さんが解決したよ。途中でご主人さまたちと戦った人たちも、復活したみたい」

「そっか……」


 それだけ呟くと、参真は小傘から視線を外し、ぼんやりと窓の外を眺め思いふける。

 気になるのは幽々子と、途中で退けた剣士の反応だ。最深部に辿りつきこそしたが、肝心の異変解決は達成できていない。

 どうしたものか……と沈黙し続けていると、ガラリと戸が開いた。小傘が開けたのではない。参真を倒した巫女が、この部屋に入ってきたのだ。


「ああ、アンタ起きたの」

「ええまぁ……お邪魔してます」

「そう思うなら、後でお賽銭入れといてよね」


 ドライな喋り方だが、不思議と悪い気はしない。不自然な連中よりずっとマシだ……そう思ったのだが、そこで参真は妙なことに気がつく。


(この人……自然か不自然かが、分からない)


 例えるならそれは『宙に浮いている』と言えるのだろうか……とにかく彼女の状態を認識できない。あるいはそういう能力なのかもしれないと、参真は勝手に判断した。


「アンタ動ける? 宴会の準備に人手がいるから、あんたらにも手伝って欲しいんだけど」

「ちょ、ちょっと!? ご主人さまは起きたばっかりなんだよ!?」


 小傘が青年と巫女の間に入って、参真を庇うような動作を見せたが、彼はそれを止めた。


「いや大丈夫だよ。思ったより身体はだるくないし……寝っぱなしも趣味じゃないから」


 自分を倒した相手なのだが、不思議とこの巫女と話す分には悪い気がしない。八雲紫と違い、敵対意識が湧いてこないのだ。あちらと違って彼女は素直だからだろうか……


「宴会って、誰が来るんです?」

「さぁね。いつの間にか大勢集まってるわ。とにかく作れるだけ作るわよ」


 その場でくるりと反転し、台所へと彼女は向かう


「……幽々子さんたち、来るのかな」


 胸に一抹の不安がよぎったが、参真はそれを振り払うように、巫女の後に続いた。


にしても、参真君はよく気絶します。弱いから仕方ないね。

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