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八十一・五話 赤と白の主人公

視点が違うので外伝扱いですが、実質本編になります。

 彼女――博麗の巫女。博麗霊夢が動き出したのは、ほんの数時間前のことだ。

 うっとおしくなってきた神霊にうんざりし、神社を飛び立って向かった先は、以前異変を起こした西行寺 幽々子――の元ではなく、最近できた商売敵の住む寺、命蓮寺。

 そう、初めは冥界に行く気マンマンだったのだが、何故だか急に向かう気が失せた。なんとなくで周囲の妖精や妖怪を蹴散らしつつ、気がつけば命蓮寺へとたどり着いていた。

 そして、そこは目的地に間違いなかった。明らかに神霊が集まっている箇所がある。ここで間違いないと、根拠もなしに確信があった。

 あとは、普段通りの異変解決の流れであった。時々出てくる人外と弾幕を撃ちあい、当然のように勝利をもぎ取る。流されるまま奥へ奥へと進み――そうして、最深部に辿りついた。


「やっとここまで来れたわ! 覚悟しなさい――異変の元凶!!」


 この場にいる三人を打ち倒し、異変を収拾する。それが博麗の巫女の役目であり、霊夢の義務だ。最も、当の本人は難しく考えておらず、そのほとんどを勘で行ってしまうのだが。


「……小傘ちゃん! 下がっ――」

「やだ!」

「!?」


 見覚えのない男が、かつて異変で吹き飛ばした妖怪……唐傘妖怪を庇うような動作を見せたのだが、妖怪本人がそれを拒む。彼らがどういう仲なのかは知らないが、そんなことはどうでもいい。


「面倒くさいわね! 二人まとめてふっ飛ばしてあげるわ!!」


 二人の実力を合わせても、後ろにいる大ボスほどではないと、霊夢の勘が告げている。ならば、一人ずづ相手にするよりも、こちらの方が手っ取り早い。お祓い棒を構え、すぐさま弾幕ゴッコの準備に入る。


「っ――!?」


 反射的に男が跳ね、少女は傘を振りかざす。振り回されるそれからは、無数の水滴のような弾幕が迫って来ていた。男を引かせるための援護のつもりだろう。


「ご主人さま! この人は容赦ないから本気だしてね!? 話しても無駄だから!!」

「悪かったわね! そういう役目なのよ!!」


 見覚えのある弾幕を捌きながら、彼女の防衛網を抜けようと、男へ距離を詰める。そのまま懐に手を伸ばし、札をいくつか投げつけた。


「うおっ!」


 鋭く放たれたそれを、おっかなびっくりで男は避ける。彼は、瞳に闘志がまるで籠ってないけれども、博麗霊夢は遠慮などしない。そのまま針状の霊弾を打ち出し、追撃。


「痛たたたたたた!? き、奇祭『まつぼっくり合戦!!』」

「……は?」


 袖で弾丸を受けながら、男は奇妙な名前のスペルカードを宣言してきた。

 正面に緑色の板が出現し、霊夢と青年の間を遮る。そして――


「死 ぬ が よ い !」

「上から来るぞ! 気をつけろぉ!!」


 背後から、片や鬼の形相で剛速球を、片や、山なりに飛ぶ弾丸――よくみるとまつぼっくりのようだ――を投げつけてくる、姿形がそっくりな、小さな双子がいた。


「何よこいつら!? 邪魔よ!!」


 スペルカードで出てきたそいつらを、霊夢は全力で叩き潰す。誘導弾を織り交ぜた弾幕は、ただ召喚されただけの二人組に、あっさりと命中。だが、そいつらは痛みを感じていないのか、こちらが何をしても表情を変えない。が、スペルカードルールに対応した攻撃なら、いずれ限界が来るだろう。四方八方から迫りくる弾幕をいなしつつ、謎の二人組に撃ちこみ続けていると……


「わ、私もやる! えいっ!!」

(まつぼっくり)ならいくらでもあるよ! それそれ!!」


 板の向こう側から、男と妖怪もまつぼっくりを投げつけてくる。……外からみたら、完全に子供の遊びにしか見えない光景だ。けれども、博麗の巫女はそんな空気を無視。ストイックに攻め続けた。

 やがて、限界が来たのだろう。突如現れた子供たちは、


「オォノォォォレェェェェエエエ!」

「ウボァ!!」


 実にユニークな断末魔を上げて、陽炎のように消えていった。

残るは本丸と、それを守る緑の城壁のみ。

 ……このまま正面から撃ちあっても、霊夢は負ける気がしない。が、奥にもう一人『親玉』がいるのを思い出した彼女は少々、思考を巡らせたあと――早期決着が望ましいと判断。とっておきの札を懐から取り出し、叫んだ。


「これで終わりよ! 霊符『夢想封印』!」

 威力と誘導性を兼ね備えた光弾が、霊夢をとり囲むように出現した。

 放たれるまつぼっくりを打ち消しながら、光弾は男たちの方へと向かっていく。

 たちまち、盾を木端微塵に破壊してしまい、その奥で悠々と絵を描いていた子供に直撃する。盾ですっぽり隠れていたから気がつなかったが、霊夢は攻撃をやめない。やめるべきではないと、自身の直感が告げている。現に、少年は悲鳴を上げなかったし、さっきの二人のように消えてしまったから、似たような存在だったのだろう。

 そのまま光弾は、妖怪と人間のペアに一直線。盾があるから安心していたのか、ほとんど動きを見せない彼らだったが――最後の最後で、男が妖怪をあさっての方向に突き飛ばした。

 近場の敵に向かっていくようセットされた光弾は、そのまま男へと吸い込まれ――爆発。


「ぐぶっ……!」

「ご主人さまっ!!」


 青年が鈍い悲鳴を洩らし、少女が叫んで駆け寄る。これで彼らは戦闘できないだろう。


「ふん。肩慣らしにもならないわね。さ、次はあんたの番よ!」


 睨みつけたその先の人物こそ、この異変が起きた原因となる人物で間違いない。

 理由や背景は知らないし、特に理由もないが――霊夢は彼女を打ち倒すべく、札をいくつも構えた。


霊夢さんは容赦のない状態で登場。鬼巫女ってこんな感じですかね?

実力差も圧倒的。ワンボムで参真君は落とされてます。博麗の巫女は強い……


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