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七十八話 静寂に響くは雷光

 キャーイクサーン!! ……ってこれは違うキャラですね

 こういう状態のことを、一触即発というのだろう。妙に冴えた頭が、焦りも何もなく冷静に解析した。

 目の前の幽霊は怒り心頭の様子で、とてもじゃないが話し合いになりそうにない。戦闘は避けられないだろう。ちらと小傘に目線で合図を送り、彼女は一つこくりと頭を縦に振った。


「「「……」」」


 沈黙。ただただ沈黙。

 誰も身体を動かさない。動かせない。それが開戦の合図になってしまうから。

 風と神霊だけが自由に彼らの間を行き来する。その中に一つ、巨大な神霊がフワフワと近くを漂いはじめた。三人のことなどお構いなしに、その神霊は参真と幽霊の間を通ろうとする。

 そして――二人の視界が遮られた瞬間に、青年は動いた。


「小傘ちゃん!」


 まずは合流が優先だ。自分は空中での行動が大きく制限されてしまう。ならば、空を自由に動ける彼女と共に行動しておきたい。

 駆け寄ろうと走ったその時だった。小傘との間に大量よ矢のような弾幕が飛び交い、進路を阻む。


「どこに行く気だ?」

「……っ」


 動きを読まれた。向こうも神霊で弾幕を隠し、あらかじめ合流できないように罠を張っていたのだろう。……正面から突撃しておけば、相手は無防備だったかもしれない。


「我らが霊廟を足蹴にした罪……償って貰うぞ! 雷矢『ガコウジンサイクロン』!!」


 高々とスペルカードを発動させると、幽霊の背後から稲妻が全方位に向かって放たれた。

 高速でジグザグに動きながら、無数の稲妻が彼に迫る。


「う、うおっ……あれ?」


 と、途中まで参真に迫ってきていたはずの雷は、唐突に進路を小傘の方へと変えた。

 ……彼女の手には傘が握られていて――それで参真も気がついた。


「小傘ちゃん! 傘しまって!!」

「へ……? あばばばばばばばばばばばばっ!!」


『高いところに雷は落ちる』『金属は電気を誘引する』


……古い唐傘だから、金属を使っているかはわからないが、雷が落ちている中で傘をさしていれば、稲妻を自ら引き寄せてしまう。昔から言われている常識だ。


「大丈夫!?」

「ふぇ、ふぁいふぉうふ……びびび……」


 直撃を受けてしまった小傘は、からだがしびれてうごけない。なんとか傘もしまえてはいるが、もう戦えそうにはなかった。


(喰らったら一発でアウトか……!)


 彼女は痺れる程度で済んでいるが、自分は人間だ。正面から受けたら、黒コゲにされてしまう。だが、長距離から有効弾を与えられるようなスペルカードを、参真は保有していない。

 近距離まで寄ろうにも、それには空を飛んでいく必要がある。だが、それでは被弾リスクが高まるし、何よりスペルカードを発動できない。まともに撃つ手がない中、参真は小傘を見て、何かを思い出そうとしていた。


(雷……法則……なんだろ、何か引っかかる……っ!!)


 それこそ稲妻のように、参真は思い出した。

 そうだ、雷には――正確に言えば電気だが、まだ法則は残っている。兄が教えてくれた、事故の実例だ。それを使えば、雷の直撃を受けても軽傷で済む。そして参真のスペルカードの中には……たったの一枚だが、実行できるスペルカードが存在していた。


(外せない。チャンスは一回限りだ!)


 降り注ぐ雷光を避けながら。青年はただひたすら好機を待った。


 参真君の言っている実例は、作者の知ってるモデルケースがあります。確か何かの番組で、九死に一生スペシャルか何かだったかな? ともかくそういう番組でしったものです。裏付けも取れたので、使用することにします。

 まぁ、小説なんで、多少は誇張が入るかもしれませんが、そこはご愛嬌ということでw

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