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七十七・五話 死からの目覚め

番外入れると、八十七話もあるそうです。

一気に読むと大変だから、ゆっくり読んでいってね!

「……なんじゃこりゃあぁ!?」


 蘇我 屠自古が目を覚ました第一声は、悲鳴に近い叫びであった。

 自らに呪いをかけ、次に目を開けた時には、新たな姿で自身が復活している……はずだった。

 ところが結果はどうだ? フヨフヨと身体は宙に浮き、足は白いモヤがかかっていて、意識していなければ実体化も出来ない。これではまるで――


「まるで幽霊じゃないか……術が不完全だったと……?」


 近くで眠っている太子様や、物部は無事のようでちゃんと肉体のある形にはなっていた。どうやら自分だけ失敗したらしい。


「なぜ自分だけ――って布都ぉ!?」


 布都の身体には、自分が用意した復活のための器が――粉々に砕かれたのだろう。それらしき粉末が、至るところに附着していた。


「んぅ~よく寝たぞぉ。ん? どうした屠自古?」

「どうしたもこうしたもあるかっ! 自分が復活できなかったのは、貴様のしわざだな!?」


 怒りが沸点に達し、同時にぴしゃりと雷が落ちる。強烈な電流に呑まれ、布都は畏れ慄いた。


「い、いやそのこれは……うっかり勘違いで……」

「この……大馬鹿野郎っ!!」


 勘違いで済まされることではない。本当なら今頃、肉体を得て蘇ることができたはずなのだ。それがどうして自分だけ、足もなく亡霊の姿でなければならないのか。

 怒鳴り声と共に、雷を纏わせた拳を布都の顔面にお見舞いする。直撃と同時に電撃が布都を襲い、ドゴォ! と鈍い音を立てて憎い憎い布都は倒れた。


「フン。今は太子様の復活を待つ同士だから、これぐらいでカンベンしてやる!」

「す、すまぬ屠自古ぉ……」


 痺れて動けないのか、復活に成功した彼女は、その場で情けない声を上げた。仮にも尸解仙になったのだがら、もう少し威厳を持ってほしいものであると屠自古は内心思ったが、最も、もし布都がそんな態度だったら、仕打ちはこの程度では済まさなかっただろう。


「まあいい。我らが先に復活したということは、この霊廟に侵入者がいるということだ。とっとと露払いに行くぞ」

「か、身体が痺れて動けぬ……」

「ああそうかい。んじゃ先にいってるよ」


 頼りない布都はほっといて、屠自古は速足でその場を去る。幽霊になったおかげで、仙術などを使わずとも、壁などをすり抜けることができた。


(……案外便利かもしれないな。この身体は)


 一応歳は取らないし、食事もとる必要もない。さらには、身体がないおかげで傷ついたりすることもないだろう。かといって、布都に感謝してやる道理はないが。


(早速誰かいるな? 一人は妖怪、もう一人は……なんだこいつ?)


 ここに入ってきたのは二人組。一人は傘をさしていることから、からかさ妖怪だと判断。こちらは大したことがない。

 いや、もう一人も、大きな力はもっていなさそうなのだ。しかし、尸解仙とは別だが、仙人のような気配がする。――この、「ような」というのが曲者で、状態が安定せず理解ができない。太子に復活を持ちかけた仙人(?)も、死体の従者を連れていたし、敵なのかの判断ができなかった。

 その訳のわからない男が、この霊廟を足場にするまでは。


(プチっ)


 自分と太子様の寝床を足場にされ、イラつき気味だった屠自古は、この二人を敵だと判断。

 半眼で睨みつけながら――屠自古は、侵入者二人と対峙する道を選んだ。


 次回は戦闘なります。神霊廟編では、初めてちゃんとした戦闘になるのかな? なるといいなぁ……いや書くの私なんですけどね?

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