七十二話 再会
ずいぶんと久しぶりですが、再投稿していきます。
皆さま、どうぞよろしくお願いしますね!
「ご主人さまぁ……あいたかったようぅ……」
「……うん。本当、また会えてよかった」
「で、でもなんでここに?」
至近距離でオッドアイの少女が、泣き腫らした目のまま首を傾げた。当然の疑問に、参真は一から十まで、すべてを包み隠さず少女に打ち明けた。
八雲紫によって、地底に放りこまれたこと。
そこで一悶着あったものの、なんとか無事に地上に出れたこと。
八雲紫と戦い、敗れ、冥界でお世話になったこと。
そして……西行寺幽々子に異変の調査を依頼され、報酬として、小傘との再会を要求したこと……
「あれ? でも今、私と会ってるよね?」
「……幽々子さんが八雲紫に頼むという形だったから、あの人……いや亡霊だっけ? 彼女は多分、小傘
ちゃんの居場所を知らなかったんじゃないかな? そしたら、こうしてばったり再会してしまったと」
少女の最もらしい疑問に、参真は苦笑いしながら答える。おそらく幽々子本人も、この展開は予想外だったのではないだろうか。
「これからどうするの? もう異変にかかわらなくてもいいよね……?」
じっ、と上目遣いで、参真を引きとめようとする彼女。小傘の心遣いは痛いほどよくわかったが、彼はそこで退かなかった。
「……いや、僕のいけるところまで行くよ。『異変を解決しなかった』とういう理由で、また引き離されたくないし」
既に、西行寺幽々子を主と呼んだ少女を、参真は退かせてしまっている。今ここで、『自分がこの異変を解決する意味がなくなりました』で降りたら、彼女のメンツは丸つぶれだ。
(あとで何をされるかわかったもんじゃない)
あの真っすぐで直情そうな剣士が、有無を言わさず自分に切りかかる光景が目に浮かぶ。彼女が行動を起こさなくとも、背後にいる妖怪が面倒事を引き起こすのは必然に思えた。
「ねぇ、私もついて来ていい? 待ってるだけなんてやだ……」
半分泣きだしそうになりながら、服の裾を握って訴えてくる。
本音から言うと、あまりついて来て欲しくはない。先ほどのように危険な目に遭う可能性は、異変の元凶に近づくほと多くなるだろうから。
「……わかった、でも無理はしないでね? それと、最近何か変わったことはなかった?」
そんな思いとは真逆の返答を、青年は小傘に返す。多分断っても、無理矢理彼女はついてくるだろう。今の少女の瞳と言葉には、それだけ切実な思いが込められている。
「あるよ。あるけど……できれば争わないで欲しいな――……」
「ははは、僕はそういうタイプじゃないよ……」
ついでに、何か手掛かりがないか尋ねると、どうやら彼女は何か知っているらしい。参真も神霊は見えているので、おおむね異変の場所はわかるが、出来るだけ戦闘を避けたいという思考の彼には、こうした情報は重要だった。
「だ、だよね! みんなすぐ荒事に走るからちょっと心配だったの」
「確かに色々あったけど、基本は変わってないから安心して……その人は説得できそう?」
「わかんない……とにかく話してみないと……」
とりあえず行こうと、小傘に告げようとしたその時だった。
轟音と衝撃が周辺を包み、と同時に空の一部が七色に染まる。
「これは……さっきの?」
「あっ……あっちは……」
少女が光の方を――神霊が集まっている方向に顔を向けている。横顔で見えた表情はあまりいい様子ではなかった。
「急ごうか。アレをまともに食らったら、妖怪でもまずいよね?」
小さく小傘か頷いたのを確認して、参真は先ほとの光の方へと歩いていく。
再会を果たした二人は、その余韻に浸る間もなく、異変解決へと向かっていった……
久々に書いたら、上手く書けなくなって過ぎワロス……
しばらくペースが戻らないでしょうが、ゆっくり待って頂けると嬉しいです。