表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/131

七十一話 変わる妖怪、変わらぬ人間

更新遅れた~! 申し訳ねぇ……!!

「うえーい。神霊ばっかで、何にも面白いことがないんだぜ~」


 時を同じくして、白黒の服装でホウキに跨る、いかにも『魔女』の格好をした少女が、退屈そうに墓場の上を飛んでいく。

 時々、まとわりつくように妖精がやってきて、弾幕をバラまいていたが、彼女――霧雨魔理沙には通じない。軽く身をひねって撃ち返しながら、何事もなかったかのように奥地に歩を進める。

 下を見ていても墓場ばかりで、ひどく退屈していた彼女の耳に、弾幕の喧騒が響く。遠くに視線をやると、空中にいくつも弾幕の花火が打ちあがっていた。


「……お? ドンパチやってるな?」


 好奇心のままに、ふらふらとそちらに近寄る。異変の匂いにつられて奥地に行こうとすると――目の前を茄子色の物体が通り過ぎた。ちょうど弾幕ゴッコをしている方からである。


「む、お前は確か……」

「あ、あなたは……ねぇ、ご主人さまがどこにいるか知らない?」


 急に飛び出してきた彼女は、魔理沙と目を合わせるとすぐ、余裕のない表情で訊ねてきた。もちろん魔理沙は、そんなことは知らない……と言うより、主人がいたこと自体初耳である。


「知らん」

「……グスン。そ、そんなこと言わずに、心あたりだけでも……」

「私は急いでるんだ。邪魔するなら退治していくZE☆」


 いつもの調子で、魔理沙は弾幕ゴッコの準備に入るが、向こうは……多々良小傘はあまり乗り気ではないらしい。目に涙を浮かべて、魔理沙にすがってきたが、一顧だにしない。

 唐傘妖怪相手に時間をとるのが面倒になった白黒魔法使いは、さくっと終わらせるために八卦炉を懐から取り出して叫ぶ。


「恋符『マスタースパーク』!!」


 先手必勝と言わんばかりに、魔理沙は開戦と同時、にスペルカードを使用した。いきなり強襲されるとは思っていなかったのか、小傘は極太の光線を前に動けない。


「あ……」


 ぼんやりと、小さく一言漏らして、彼女のいた場所が光条に包まれ――周辺をもろとも吹き飛ばしていった。更地になった周辺を、魔理沙は満足げに眺める。それは幾度もなく繰り返された、幻想郷での光景であり、障害が排除された後は見向きもしない。


「さーて、今度の異変はどんな奴が起こしたんだろな?」


 荒々しく作られた道の上を、魔理沙はもう一度箒に跨って、さっきまで誰かが弾幕を放っていた方へと向かっていった。



***



「あ……」


 私の視線は、魔理沙から放たれた光線に釘付けになった。

 身体が竦むとか、そういうのじゃなくて……なんでそういうことになってるのか、今の私には、わからなかった。こうなることを、全然予測できなかった。

 話し合って、何も知らなくて残念とか、意外な手掛かりとかが見つかって。

 穏やかな時間が過ぎて――そんな風に平和に終わると思ってた。

 幻想郷では変な話だよね? 妖怪を退治するのに、魔理沙(にんげん)は躊躇なんてしないのに……


(昔の私なら……普通に弾幕ゴッコしてたのかなぁ……?)


 光に呑まれそうになってるのに、私はそんなことを考えて、諦めるように目を瞑る。正面から戦っても無理なのに、今から動いて避けれる訳ないもんね……


「小傘ちゃん……っ!!」


 あはは……やっぱり怖いのかな? ご主人さまの声が、ずいぶんとはっきり聞こえるよ……どこ行ったのかなぁ……早く会いたいな……


「ッ!!」


 どん! と何かにぶつかり、私の身体は空中に放り出されて……目を閉じてたから、ちょっとよくわからないけど、ごろごろとどこかに転がった……気がする。

 あれ? 熱くない? 光線に焼かれたなら、もっと痛くて熱いはずだよね……? 

それに、飛ばされたのも、マスタースパークの方向じゃないような……?


「良かった……! 無事でよかった……!!」


 きゅ、とちょっと痛いぐらいの力で抱きしめられる。私も同じように、その人の首と腰に手をまわした。

 それはすごく懐かしくて……私の生きてた時間だと、ちょっとのはずなのに変な話だけど、ほんとにすごく懐かしくて、


「ひっく……うえ……ぇぇぇ……」


 いろいろな思いとか、考えとか、生まれては混ざって言葉にできない。


「ごめん……ごめんね小傘ちゃん……」


 しばらく会えないと思ってた、大事な人がそこにいる――

 それだけで私は、胸がいっぱいだった。


……なんだが、番外っぽい感じだなぁ……主人公視点がないし。最後に出てきてるし本筋のお話なので番外じゃあないですよ~


魔理沙も何気に初登場。しかしこの配役であるw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ