六十八話 現世への降下
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幽々子の助言を軽く耳に入れた参真は、真っ直ぐに命蓮寺を目指していた。
位置関係はわからなかったが、今回の異変は空中に浮かぶ奇妙で無害な霊――『神霊』が大量に発生する異変らしいので、それの集まる場所を目指せば近い位置までいける。
命蓮寺付近までたどり着けば、辺りの地形は把握しているし問題ない。ただ、既にいくつか障害が発生していた。
「……っつ!」
まず一つ、冥界は空中のため彼の能力が大きく制限されてしまうこと。
冥界が桜に覆われているおかげて、地底に比べれば幾分マシだが、それでも本来の力とは程遠い。
機動力も攻撃力も大きく削がれ、精度も欠いているのか、あっちらこっちらとフラついていて、非常に危なっかしい。おまけに――
「「「「「ヒャッハー!! 人間は消毒ダー!!」」」」」
通りすがりの妖精が、世紀末的な雄叫びを上げながら弾幕を放つ。
異変中は妖精が活性化するらしく、普段は参真に友好的な妖精も、積極的に攻撃してきた。
「はぁっ……く……!」
ぐちゃぐちゃに空を引っ掻き回すように、身をよじって辛うじて参真は避け、そのまま脇を通り過ぎた。危なっかしい曲芸飛行を続けながら、彼は神霊を頼りに地上へ降りていく。
「逃げるな~! ちゃんと戦え~!」
「ひきょーものー!」
背中から罵声が飛んできたが、振り返りもせずただ前進あるのみ。妖精相手にすら、今の参真に勝ち目はない。
「っ……!」
ほぼ垂直に落ちながら、強引に駆け抜けると、ようやく地上が見えてきた。
「ここは……小傘ちゃんを拾った場所かな」
幾分か運が良かったらしく、命蓮寺も視認できる位置へと来れた。が――気が抜けてしまったのだろう、直後、後頭部に妖精の弾幕が炸裂した。
「ぐは……っ!!」
平行感覚が狂い、視界が白黒に染まる。ただでさえ安定していない彼は、一気に地表へと落ちていく……
けれども、彼は悲鳴を上げない。余計なことは考えずに、今できる最善を尽くそうと、地面からの重力を軽減する。
「う……うおおぉぉぉぉおおお!?」
正面に迫る大地に手を伸ばし、なんとか胸と頭を打たないように、衝撃を分散させた。当然両腕だけでは無理なので、接地と同時に身体を転がし、全身を使って勢いを殺す。
衣服も身体も傷だらけになったが、骨は折らずに済んだようだ。痛む身体と苦痛を押し殺して、彼はその場から立ちあがる。
「はあっ……! 今……行くよ……!」
必死の思いで――彼は気力と気合いで足を運び、再び命蓮寺の門をくぐった。
まだ二面道中なのに、ズタボロな主人公。
冥界からなら仕方ないな。
なお、異変中は参真君でも妖精から攻撃されます。マヨヒガにつくまでの間、妖精に襲撃されてたのもこれが原因です。