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五十五話 自画像との対話

 お待たせしました~最新話DE☆SU☆YO!!


 ……の割には微妙な出来ですがorz

 その日の夜――青年は未だに、眠りにつくことが出来なかった。

 さとりたちに話をしたせいだろうか? 昔の出来事や、向こうの世界のことを思い出してしまっていた。


(はは……ホームシックってこんな感じなのかな? 家を出た時は、特に何も感じなかったのに――)


 彼女たちに自分の人生を話す (といっても、さとりが勝手に読んだだけなのだが)ことによって、参真は初めて、己の人生と向き合った。

 ……今にして思えば、自分は少々異常だったような気がする。何せ今までは――自分のことを考えたことなどなかったのだ。


“絵さえ描ければそれでいい”


 西本 参真の信念にして、絶対。このためだけに生きていたのだと、彼ははっきり言うことができる。それが何より楽しいと感じられたし、疑問に思ったことも、間違っているとも思わない。思わないが――


(……もう少し、近くの他人(ひと)のことを考えた方がいいよね。僕は)


 環境の影響も少なからずあるだろうが、あまり参真は周りの人間のことを、考えていないような節がある。彼にとって、絵のことを優先するのが当然だった。


(一番おかしいのは……他人に言われるまで気がついていなかったとこだよね)


 病人になり、絵を描く気力を失い、お燐やさとりと対話することによって、生まれて初めて、彼は自分自身を見つめる機会を得た。

 そうして振り返った自身の姿は――ずいぶんと歪な生き方だったと、改めて思う。あの環境をなんとも思わなかったのもおかしいし、外にあるモノを『被写体』としか見れなかった自分もおかしい。


(……おかげで幻想入りしても、あんまり動揺していなかったのかな?)


 時に常識と言うモノは、人の思考の枷となる。

 参真が普通の人間だったら……初めて文と出会った時点で、パニックを引き起こしていてもおかしくない。異界に迷い込んで、慌てふためかない常識人がいるのなら見てみたいものだ。

 ……それがなかったということは、自分は少なくても、常識人ではないのだろう。おそらく――幻想入りする前から。


(兄さんたちにも、迷惑かけたよね……きっと小傘ちゃんにも)


 拾ってくれたという理由だけで、こちらに来てからずっと一緒にいてくれた少女。

 兄たちとは、一つ屋根の下で暮らしていたのだけあり、きっと参真のことをわかっていたのだと思う。けれども小傘とは、赤の他人から始まった関係だった。

 こんな自分に呆れもせずに、よくついてきてくれたと思う。


(今度会えたら……もう少し小傘ちゃんのことを考えないとね……)


 彼女がどこにいるのかはわからない。でももう一度、自分と共にいてくれるなら――

 


 ――今度は彼女を、大事にしよう。

 

 

 胸の内にそっと、彼は小さく誓いを立てた。


 参真が、自分のおかしな所に気がつくお話。

 ……結局シリアス風味だよ! でも過去話の後だから仕方ないね!!


 シリアスはもうちょっとだけ続くんじゃ……たぶん。

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