五十四話 見える悪意 見えざる悪意
うう、スランプ入ったか? ちょっと更新ペースを下げまする……
アイデアが天から降ってくるのを待つしかないんやな……
暗欝としたままの表情で、彼は俯いたまま小さく震える。
「急にどうしたってのさ? さとり様から聞いたけど、『自然か不自然かを見分ける程度の能力』のせいで、酷い目にあったんだろう? 心を読める、さとり様と同じように」
しかし、お燐にはその理由を理解できない。さとり様に、『彼がどうして幻想入りしたか』の経緯を聞いているし、近いモノを見ていると、さとり様本人も言っていた。
「ええ、でも『だからこそ』僕はさとりさんの気持ちが、わからないんですよ……一応確認しておきますけど、さとりさんの能力は、『直接心を読む』能力ですよね?」
「??? あたいはそうだと思ってるよ? で、参真は不自然かどうかを見ることで、相手の心情を読んで――」
「違うよ。僕は直接、相手の心を見てはいないんだ」
「え?」
お燐の言葉を遮って、青年が静かに語りだす。
「僕が見分けられるのは、人の場合、普段と違う動きや行動を認識できる。嘘をついたりする時は、どうしても不自然な動きが混じるから、僕はそれを見分けられるわけだ。
でも……人が不自然な動きをすることって、『嘘をつく時』だけとは限らないよね?」
「そりゃあ……そうだろうね。気分が悪かったりしても、不自然に――っつ!?」
そこまで自分で言って、ようやくお燐は二人の違いに気がついた。
「気がついた? 今はちょっと事情が変わったんだけど……当時は『自然体』しか定義できなかったからね。気分が悪かろうが、嘘をついていようが――視え方は変わらなかったんだ。
だから、本当に悪意があったかどうか? ちょっとしたイタズラ心でやっているのかを、見分けることが出来なかった」
思いだすように、懐かしむように、
「あの時の僕は……向こうで批判された僕は『不自然に見える人間が、全員僕のことを批判している』ように見えた。今にして思えば、全く関係なかったのかもしれないけど……それを見分ける手段を、僕は持っていなかった。
さとりさんの能力だったら、心を直接感じ取るわけだから、こんなことは起こらない。たぶんあの人は、『人の心がわからない』って恐怖は、上手く理解できないんじゃないかな」
彼は傷口から、溜めこんでいた毒を吐き出していく。
「どっちがより不幸なんだろうね? 『直接負の感情を読みとってしまう』のと『不自然しかわからず、悪いことを想像する余地がある』のと……」
じっとお燐を見つめて、彼はそんなことを言う。
……もしかしたら青年は、答えが欲しいのかもしれない。
「あたいにゃ、わからにゃいよ。悪いけど、あたいは二人じゃにゃいから……」
目を逸らしながらも、お燐は本音を言うしかなかった。こんな話をした後で、嘘がつけるはずがない。
「あはは……そうだよね……ごめん」
儚げに笑って――それが誰が見ても作った笑顔と分かる笑顔浮かべて、彼は天井を見上げる。
……それからしばらく、二人は何も話さずに部屋にいた。
……やばい。シリアス過ぎてヤバイ。
当初はもう少しどんちゃん騒ぎやる予定だったのですが、地霊入ってからシリアスしかしてねー(汗
どどどどうしよう!?