五話 弾幕ゴッコと能力
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よーし、パパ張り切って早め多めに投稿しちゃうぞー!!
また誤字ってる……だからあれほど見直せと(ry
先ほどの騒動がようやく収まり、五人は落ち着きを取り戻していた。
あのあと、参真と呼ばれた人間も巻き込んでチルノたちは暴走し、ミスティアと彼は質問攻めに遭うことになった。参真は笑って流していたが、ミスティアはむきになって否定したせいで逆に追及され、今はぐったりとしている。申し訳ないと思い、リグルは彼女たちに謝った。
「二人ともごめん。みすちー だいじょーぶ?」
「大丈夫じゃないわよ…… こんなことならこっちに来るときに、『固いからみすちーって呼んで』なんて言わなければよかったわ」
二人の話によると、今朝まで彼は「ミスティア」と呼んでいたらしいのだが、飛んでこちらに来る間に呼び方を変えたらしい。その結果、一騒動起こることになってしまった。
しかし、悪いことばかりかというとそうでもなかった。なぜなら、すばやく彼の事情を知ることができたのである。
彼が「西本 参真」という人間であり、外来人であること、
昨日、ミスティアの歌声に誘われて、彼女は食べようとしたがやめたということ、
その代わりに、ミスティアの友達――リグル、チルノ、ルーミアの絵を描くということと、そのために彼はここに来たということ。
ちなみにこの話の直後、ルーミアが「あなたは食べてもいい人類?」と参真に直接聞いていた。これには彼も苦笑い。「食べられないためにここにきたんだけどなぁ」と困ったように答え、残りの三人からは「話聞いてた!?」と激しいツッコミの嵐をもらうことになる。そのあと、みんなの自己紹介をすませ、今リグルは参真に絵を描いてもらっているところである。
「まあまあ、ちょっとした思い違いなんてよくあることだよ。うーん……やっぱり腕が落ちてるなあ」
「今の状態でも十分すぎると思うけど?」
どうやらもう絵が描きあがったらしい。その出来を見て参真は唸っているが、隣で見ているミスティアはこれでいいと言っている。リグルも気になりのぞいてみると……確かに良い出来だと思った。少なくても、リグルにこのレベルの絵を描くことはできない。
「うん。私はこれでいいよ。あと二人描かなきゃいけないんだし」
「そう? なんだか悪いね」
本当に申し訳なさそうに、彼はその絵を差し出す。……どうやら本気で、上手く描けてないと思っているようだ。参真からリグルが描かれた絵を受け取り、その際に、気になっていたことがあったので聞いてみることにした。
「それにしても、変わった道具だよね。外の世界の物なの?」
彼が使っているのは、六角形の先端のとがった棒に、やや大きめの紙が鉄の輪にくくりつけられているようなもの。それに、絵を描いている紙の下に、何か青い物を挟んでいるのが見えた。
「そうだよ。これは鉛筆って言うんだけど……知らないってことは、補充できないのか……これ全部消耗品なんだよね」
「香霖堂にならあるかもよ? 外の世界の物も結構置いてあるから」
「なら安心かな。……チルノちゃんとルーミアちゃんは?」
彼に言われて気がついたが、いつの間にか二人がいなくなっている。そういえばだいぶ前から話に参加していなかった。辺りを探そうとして、リグルたちはすぐに二人を見つけることとなる。彼女たちは空に上がり――お互いに構えたかと思った次の瞬間には、手のひらから光弾を放ち始め――色とりどりの光が、真昼の空を彩っていた。
「ちょっとちょっと! なんで弾幕ごっこしてるの!? 二人ともストーップ!!」
ミスティアが叫ぶが、チルノたちには届かない。弾幕の密度が増すばかりで、参真のことなど忘れてしまっている。その彼はと言うと……
「えっと……どういうこと? 弾幕ごっこって??」
完全に今の状況がつかめておらず、慌ててはいないものの混乱しているようだったが……こっそり以前リグルを書いた道具を手に持っているあたり、この状態の二人の絵を描くつもりらしい。とりあえず、リグルは彼に説明することにした。
「細かい説明は省くけど、幻想郷での決闘方法だよ。霊力とか妖力とか、そういった力を弾幕にして戦うの」
「ず、ずいぶん物騒だね……」
「むしろ逆。基本殺しはご法度だし、負けた相手を殺しちゃいけないってルールがあるから、『モメごとになったときの平和的な解決方法』って感じかな。参真もできるようになったほうがいいかもね。自分の身を守れるようになるし、襲われても弾幕勝負に持ち込めばなんとかなることが多いから。あと、ちょっと複雑なのがスペルカードルールかな」
ちゃんと答えられてるの見ると、一応話は聞いているらしい。が、彼の手はすさまじい勢いで閃き、白紙にいくつもの軌跡を刻んでいる。爛々と煌めく瞳は、どこかチルノのような無邪気な感じがした。
「夜符『ナイトバード』!」
「雪符『ダイアモンドブリザード』!!」
「う、うおおぉおおおぉぉ!!?!?」
ちょうど話題にでたスペルカードを二人が使用すると同時に、参真はさらに加速する。弾幕勝負は美しさも求められるものだからだろうか……絵描きの彼にとって、何か感じられるものがあるらしい。高揚や興奮を通り越しているような勢いだ。
「す、すごいっ!? どんどん描ける!! いい絵が描けるっ!!!」
「参真落ち着いて!! スペルカードルールも説明するから!!」
異様な気配で、描き続ける彼を落ち着かせようと話しかけたが……止まる様子がない。
「……この興奮を抑える? いいや無理だよ!! そんなことをしても損なだけ! 向こうにいたら絶対に見れない世界がそこにあるんだ!! ここで逃してなるものかああぁあぁぁぁ!!」
むしろ、情熱という炎に油を注いでしまったかもしれない。これはもう、自分には止められないと彼女は悟った……というよりは、諦めた。
しかし、情熱的なその瞳とは真逆に、指先は繊細に閃く。まるで絵を描く妖怪のように――あっという間に描き上げてしまった。
「これだよこれ! こういうのを描きたかったんだ!! いやぁ、久々だから忘れてたよ。時には、勢いと情熱が必要だね」
会心の出来と言わんばかりに、満面の笑みを浮かべてゆっくりと一つ、彼は首を縦に振った。
「……説明してもいい?」
水を差すのは悪いと思いながらも、ここで説明しないと彼の身に関わる。親切心から、控え目にリグルは聞いた。
「あ、はい。こんなに興奮したのはひさしぶりだったから、つい抑えられなかったんだ……ごめんね?」
きちんと謝ってきた……自覚はしていたらしい。改めて説明を続けることにする。
「それで、スペルカードルールなんだけど、必殺技みたいなもので……お互いに得意な技を決めておいて、使うときにああやって宣言するの。あらかじめ決闘前に枚数を決めておくんだけど、その枚数分のスペルを出し切って、相手が負けを認めてなかったらこっちの負け。勝ち負けに関しては、このルールか、相手が負けを認めるか、もう戦えない状態になるかぐらいね」
「負けを認めるって、普通にもう戦えないってことなんじゃ?」
「それもあるけど、弾幕勝負は見た目の美しさも競う勝負で……魅せるタイプの弾幕で、相手を精神的に負けさせるのもありだよ。あ、チルノが二枚目使った」
「氷符『アイシクルフォール』!!」
再び弾幕が空を駆け巡る中、ルーミアはあろうことかチルノの至近距離まで接近していく。
「そのスペルは正面アンチ……うわー!?」
かわしきる自信があったのかもしれないが、ルーミアはあえなく被弾し、地面へと落ちていく。
「ふふふ……甘いわよ! アンチなのはイージーまでなんだから!!」
胸をフン! と張るチルノ。弾幕勝負は彼女の勝ちのようだ。
「いやーいいもの見せてもらったよ~ おかげでいい絵が描けた!!」
地上に降りてきたチルノに、無邪気に向かっていく参真。……どことなく、他の幻想郷の住人と同じ匂いがするのは気のせいだろうか? 外来人らしくない言動が多い気がする。一方、ミスティアはというと、落ちてきていたルーミアを看病していた。大した怪我をしていなかったらしく、すぐにみんなと合流する。
そのあとは、和やかで楽しい時間だった。絵は描き終えていたので、参真も一緒に四人と遊ぶこととなった。それだと彼が不利になるかとも思ったが……存外に参真は体力があり、運動神経は微妙だったものの、直感や洞察力に関しては、妖怪に匹敵するのではないのだろうか? 参真もそれを理解しているのか、自分の弱点を補助しつつ、強みを生かす動きをしてくるので、普通に手ごわい。
「ねぇ、参真って能力持ち?」
昼ごはんの時間に、疑問に思ったミスティアが彼に聞いてみる。
「能力? ……ああ、天狗の娘がいってたやつか。あるよ。『自然か不自然かを見分ける程度の能力』と呼べばいいのかな」
すると、あっさりと彼は自身に能力があることを認めた。リグルも気になり、彼に質問する。
「具体的にはどんな感じ?」
「そうだね……ある一つのものを『定義』として決めると、それに対して、自然か不自然かを見分けられるんだ。例えば、今ここで『種族 人間』を定義にすると、ミスティアたちはもちろん、周りにある植物も不自然に見える。『種族 妖精』にすれば、チルノは自然に見えるけど、あとはみんな違うように感じられるかな。絵を描くのにはすごく便利な能力だよ。自分の絵が不自然かどうかがすぐにわかるし、集中して何かを見たい時は、見たいもの以外を自然に見えるようにすればいい」
「普通、逆じゃないの? アタイなら自然に見えるようにするね!!」
「僕も、能力に気がついたときにはそうしたんだけど……違和感のあるものの方が、細かく観察するには
向いているんだ。自然に見えると、そのまま流しちゃうことがあるからね。ちなみに、何も指定していないと、定義が『今、自然体であるもの』に自動でなるみたい」
「そーなのかー だから参真は霊力があるのかー」
「え? いやいや、そんなもの持ってないよ?」
基本、能力持ちは霊力などを持っていることが多い。それは能力の起動に必要なことが多いからであって……参真も例外ではないはずだ。
「たぶん持ってるよ。使う機会がなかったから、気がつかなかっただけじゃない?」
「まさか……苦行とかはしてないはずだよ。山籠りはしたけど」
「信じられないなら、能力で見分ければいいじゃない! それに気がつくなんて、やっぱりアタイって天才ね!!」
「おお~やっぱりチルノは頭がいいのだ~」
珍しく、的を射たことをいうチルノ。参真は納得し、自分を見るために湖のほとりへと足を運ぶ。
「ところでさ、二人はどうして弾幕ゴッコをしていたの?」
彼がいない間に、ミスティアがルーミアたちに問いかける。リグルとしても、気になっていたところ
だ。
「えっとね……私がちょっと間違えて、みすちーに迷惑かけたでしょ? ルーミアがそのことを言ってきたんだけど、」
「私も彼氏の意味がわからなかったのだー」
「そうそう! それで、どっちが頭いいのか決めるために弾幕勝負になったの!! 結果は見ての通り! アタイったら天才で最強ね!!」
((そんなことで弾幕勝負になったのね……))
もっと大掛かりなことではないかと二人は心配していたが、深刻なことではなかったようだ。そもそも、頭の良さは弾幕勝負で決めていいものなのだろうか? そこを疑問に思えない時点で、二人の頭はあまり良くないと言えるのかもしれない。
「もりあがってるね……僕はなんか、いろいろありすぎて疲れてきたよ……」
と、どことなく疲労感を漂わせながら参真が帰ってきた。結果はどう? とみんなで押し掛けると。「あった」とだけ。どうやら、未だに信じられない様子らしい。
ないよりいいじゃない! とみなで励ますと、少しづつ参真も元気を取り戻していった。こういうところをみると、やはり彼は外来人なのだなと、リグルは思う。
「みなさん……仲がいいですね……そこの方、良ければお話を聞かせてもらってもいいですか?」
突然、誰かから声をかけられた。リグルも聞き覚えのない声だが、誰かの知り合いだろうか? 皆が皆、顔を見合わせる。どうやら誰も知らない人が来たらしい。
五人はそっと、声の主へと意識を向ける。そこには――
金髪の髪をなびかせる、法衣を纏った女性が立っていた。
弾幕勝負の設定、こんな感じでしたよね?
間違ってたら、ご指摘おねがいします~
ちなみに、アイシクルフォール時のルーミアは作者の実話ですww
イージーやったあとノーマルで、「ヒャッハー! 正面アンチd(ピチューン!!) なん……だと……?」ってなりましたorz