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三十九話 ウドンゲの受難

 気がつけば三十九話! 次回から再び、謎解き質問おkになります

 はたして、作者に挑む勇者は現れるのか……!!


 追記:修正はなしといったな……あれは嘘だ……


「ちょっと永琳! どうしたのよ……急に」

「ふふふ……ちょっと面白い薬ができましてね……」


 ゲテモノマットサイエンティスト……ではなく、『月の賢者』に連れられて、輝夜は彼女の手術室へと歩いて行った。そこには……


「ししょー!! 何をするつもりですか!?」


 拘束されたウドンゲが、じたばたともがく。どうやらまた彼女が実験体らしい。


「ささ、姫様……とりあえずこの薬を飲んでみてくださいな」


 彼女から差し出された錠剤を見つめ、輝夜は一つため息をついた。


「はぁ……どうせ断っても、無理矢理飲ませるんでしょう?」

「察しが良いですね姫様♪ ぐぐっと飲んでください」


 おずおずと飲み込んだが、特に身体に異常はない。……一体どういう薬なのだろうか?


「そしてウドンゲ……貴方にはこれを飲んでもらうわよ♪」


 そうして、ウドンゲにも似たような薬を手渡す。


「ま、まさか……それを飲んだら入れ替わる!?」

「フフフ……その通りよ!! どう? ウドンゲ……姫様と入れ替わってみたくないかしら?」

「是非っ……!!」


 喜々として、ウドンゲも薬をのみ込んだ。そんなことを知るよしもない輝夜は、慌てて制止しようとするも、永琳が阻んでしまい、薬はウドンゲの体内へ……


「ちょ、ちょっと! そんなこと聞いてないわよ!? なんでそんな薬……!」

「これでしばらく姫様になれる! やったー!!」


 歓声を上げるウドンゲ、悲鳴を漏らす輝夜。

 しかし……永琳だけは、冷やかな目線で二人を見つめていて……月の兎に、残酷な一撃が加えられた。


「馬鹿な子ねぇ……せっかく貴方を捕まえたのに、そんなご褒美をあげる訳ないでしょう?」

「え!? ど、どういうことですか師匠! 嘘をついたんですか!?!?」


 そういえば……ウドンゲが薬を飲んだのに、輝夜の身体に異常はない。今、どういうことになっているのかを、把握できているのは永琳だけだ。


「いいえ……嘘はついていないわ。けれども『ウドンゲがその薬を飲んだら入れ替わる』とは言ったけど、誰も『姫様と』なんて言ってないわよ? 『姫様と入れ替わってみたい?』とは聞いたけどね」

「そんなのずるいじゃないですかぁ~!!」


 ヒーン!! と彼女は悲鳴を上げるが、もう薬は飲み込んでしまった。解毒する手段もないだろう。


「え? じゃあ私が飲んだのは……」

「ただの栄養剤です。姫様へのドッキリと、ウドンゲを上げてから落とすためですね♪」


 してやったりと、にっこり微笑む永琳。一方、先ほどの発言を聞いたウドンゲは、顔が真っ青になっていた。


「お、落とすって……」

「ふふ……貴方には『実験動物(モルモット)』になってもらうわ」


 にこやかな表情のまま、いつの間に呼びだしたのか、小さなモルモットが一匹、チウチウと鳴いている。まさか……・


「そ、そんな! 他人と入れ替わる薬じゃないんですか!?」

「全く同じ現象を繰り返しても、面白くないじゃない? だから、ちょっと趣向を変えて、全く別の動物と精神が入れ替わるようにしたわ。ネズミになった感想、教えてね?」


 そして、永琳が合図をすると……手のひらのモルモットは、細かく砕かれた錠剤を飲み込んでしまった。


「い、いやああああぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ……」


 彼女が悲鳴を上げるも……徐々に声は掠れていき、やがてウドンゲとモルモットは、意識を失ってしまった。


「上手くいきました……フフフ、あとが楽しみです。ところで姫様、先ほどの人間は、いかがなさいました?」

「え? ああ……ちょっと弾幕ゴッコをしたわ。なかなか楽しめたわね……そうよ永琳! ちょっとやってほしいことがあったのよ!!」

「珍しいですね? 一体何事です?」


 永琳に言われて、輝夜は彼との弾幕ゴッコのことを思い出した。

 頼みごとは永琳の専門分野ではないが、天才の彼女なら問題ないだろう。


「『迷いの竹林』の竹に、花を咲かせてほしいのよ。地味だったけど……気に入ったわ。できる?」

「あ~それは無理です。絶対に」


 あっさりと、彼女の従者は否定する。ぶっきらぼう過ぎる返答に、輝夜は少し不機嫌になりながらつっかかる。


「どうしてよ!! ありとあらゆる薬を作れる貴方なら、楽勝でしょ?」

「ええ……そうですね。『竹の花を咲かせる薬』自体は作れますが……それをやると、『迷いの竹林』が全滅します。そうなるといざという時に、月からの追手を巻けなくなりますのでダメです」

「……どういうこと?」

「竹と呼ばれている植物の習性ですよ。あの種は一度花を咲かせると……地下に張り巡らせている根っこも含めて、全部枯れてしまうんです。なので……花を咲かせると、その年で竹林そのものが消滅します。実は花が咲かないように、薬で抑制しているんですよ?」


 それは……初耳だ。

 だが、それが事実ならあの時、青年のスペルカードで竹林が崩壊したのも頷ける。

 あの竹林は……役目を終えて、枯れたのだ。


「しかし、唐突にどうしてそんなことを? 確かに竹の花は珍しいですが……地味ですよ?」

「知ってるわ。けど……もう一度、見たかったのよ」


 そうして輝夜は、すう、と息を吸い込んで――気分を変えた後、もう一度永琳にお願いをすることにした。


「ねぇ、永琳……もう一ついい? ちょっと肌艶をよくしたいわ。久々に……『かぐや姫』らしくなりたくなったの。いい?」

「かしこまりました姫様……仰せのままに」


 今度は恭しく(こうべ)を垂れ、彼女に一礼。薬棚から小瓶を取り出し、輝夜へと手渡した。


「これを飲めば、たちまちうら若き乙女の髪艶、肌艶を取り戻せますわ。副作用はないので、安心してお使いください」

「ありがと。それじゃあ、あの小市民に……ちゃんとした『かぐや姫』を見せてあげなきゃね」


 薬瓶を受け取り、輝夜は衣類を溜めこんだ蔵へと向かう。中に簡単に着れるように加工した、『かぐや姫の時の衣装』があったはずだ。


(目にものを見せてくれるわ……待ってなさい!)


 青年の驚く顔を想像しながら……彼女は廊下を駆けていった。






 彼女が走り去った後――






「……人払いは終わったわ。そこで見てないで出てきたらどう?」


 誰もいないはずの空間に、永琳は静かに呟く。

 すると、彼女の向いた方向に、目玉だらけの空間が開くと――

 そこから一人、金髪と紫の服を着た女性が……険しい顔つきで、現れた


 スペルカード解説

 幻視「先代の記憶―六十年の生涯」

 なんと四枚目にして耐久スペル。

 とはいえ、これは迷いの竹林でしか使えないスペカとなっております。

 このスペルは、「迷いの竹林を媒体に、『迷いの竹林』の一世代前の生涯を再現する」というもの。竹の部分にあたり判定あり。

 そのため、ここでないと使えません。また、参真がとっさに思いついたのと、再現するという性質上、弾幕密度が甘いという欠点も抱えています。具体的には、姫様がみとれていなければ、余裕で取得できたレベル。


 竹の生態についても解説しておきましょう。

 竹と呼ばれる植物は、品種によってかかる時間が異なりますが、一般的には六十年に一回花を咲かせます。

 そして、一回でも花を咲かせ、種を作ると枯れてしまいます。

 で、竹というものは、周辺の竹と根を通じて巨大なネットワークを地下に敷いていて、これが竹林形成のカギにもなりますが……このネットワークを通じて、一斉に枯れるので、竹林が消えてしまうのです。

 昔の人は、不吉の象徴のようにも見えたそうな……




 そしてとうとうゆかりん登場フラグ

 ようやく、物語は佳境へ……動き出すのだろうか?

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