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三十六話 竹林の死闘 Ⅲ

 どんどん行くよー!!

「奇祭『まつぼっくり合戦』!」

「……は?」


 いきなり宣言された、奇妙キテレツなスペル名に、間抜けな声を一つ零す。

 何が起こるかと思いきや、彼の隣に小さな子供が一人現れただけ……


「死ねぇええぇぇええぇえぇえ!!」

「!?」


 と思いきや、背後からすさまじい掛け声と共に、何かが投てきされた。

 風を切って頬をかすめたそれは……スペルにあった通りの「まつぼっくり」である。

 振り向くと宙には、先ほどの子供より少し大きな子供が二人、まつぼっくりを手にしていた。うち一人は、鬼のような形相で「消えてなくなれ!」とか、「殺してやる!!」などと、物騒なことを言いながら、輝夜目がけて剛速球を連打し続けている。

 反面、隣にいる子供は消極的で、明後日の方にまつぼっくりを投げている。ただ、この二人は瓜二つの顔つきをしていた。双子だろうか?


「怪我人出さないために、顔面狙いはだめだぜ!」


 ゆっくりと山なりに飛んでいくそれは、輝夜には到底当たりそうにないが……二人目の彼が投げたまつぼっくりからは、小型の弾幕がばら撒かれている。おそらく、彼はばら撒き弾担当だろう。


「ええい! うっとうしい!!」


 彼らに攻撃を加えようと、こちらも光弾をお返ししたが……普通にすり抜けてしまった。幻像のような存在らしく、全く手ごたえがない。

 仕方ないので、青年本体を狙う。隣の子供もきっと、偶像でしかないだろう。ところが、隣の子供が緑の板を持ってきて、弾幕を遮ってしまった。


「ソリシールドはありだよね兄さん! ふふふ……これでゆっくり絵が描けるよ!!」


 ニコニコしながら、小さな子供が板を支える。その後ろから本体の青年が、やはりまつぼっくりを投げつけてきたが、これもあさっての方向に飛んでいく。

 しかし、同じタイプの弾幕を使ってくるとは思えない……しばらく注視していると、軌道を変え、輝夜の方へと飛んできた。


(一回よそに飛んでから追尾してくる弾幕!? このスペル……名前はアレだけど、普通にガチじゃない!!)


 三方向から、全く別々の弾幕が襲ってくる上に、本体は防壁つき……厄介なことこの上ないスペルカードだ。とっととスペルを破るべく、三枚目を使用する。


「難題『火鼠の皮衣 -焦れぬ心-』!」

「うわっち!?」


 緑の壁を打ち破り、彼本体に弾幕をぶち込む。ついでに散らばっていたまつぼっくりも燃やしつくし、空間をすっきりさせた。


(さぁ……次は何をしてくるのかしら?)


 さっきから、彼はユニークなスペルばかり使ってきている。

 次のスペルカードは、一体どんなものになるのだろうか? たったの二枚だが……ずいぶんと自分を愉しませてくれた。


(早く次のを使わないと……黒こげよ?)


 彼を炎で覆いながらも……輝夜は彼の弾幕を楽しみにしていた。

 まるて子供が、誰かが手品を繰り出すのを待つように……


 スペル解説

 

 奇祭「まつぼっくり合戦」

 まるで雪合戦のように、四人が二組に分かれて、まつぼっくりを相手に投げまくるスペル

 元ネタは作者の体験からだったりしますw

 作者は、一回引っ越して、あまり雪のふらない地域に行ったことがあるのですが、そこで行われていた「奇祭」ですね。雪の代わりに、落ちたまつぼっくりで雪合戦モドキを行います。本気で投げるのと、顔面狙い禁止のクリーンなルールでした。

 出てきた子供は誰かって? ……いやぁ、それを言っちゃあ面白くないでしょう? 気になった方は、よく読み返してみてくださいな……

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