三十四話 竹林の死闘 Ⅰ
さあさあ! 姫様との対決ですよ!
一回で終わりそうにないので、番号を振りました。
え? 何故ローマ字? タイトルで察してくださいな……
「よろしい! ならば弾幕ゴッコよ!! それでケリをつけてあげる!! ちょっと外に出なさい!!」
「いいでしょう……それが幻想郷のルールなら……!!」
険悪な空気をたっぷり振り撒いて、二人は室内から、外の竹林へと移動した。
……なりゆきで弾幕ゴッコをすることになってしまったが、今さら引くつもりもない。後ろからついてきてる小傘が、訳も分からずおろおろしていたが……説明するのがさすがに面倒だ。「下がってて」とだけ告げて、彼女を引かせる。
「……ふん。その連れてる妖怪は戦わせないの?」
静かに飛び立ちながら彼女が聞いてきたが、参真は首を振った。
「あくまでこれは、アナタと僕で決着をつけるべきことです。小傘ちゃんには悪いけど……手を出さないで」
「う、うん……怪我しないでね、ご主人さま! ファイト!!」
陽気な掛け声が、参真の背中を押す。それだけで力が湧いてくるような気がした。
「スペカは……そうね、5枚でいいかしら?」
「……いいですよ。やりましょう」
実は参真は、この枚数のスペルカードを思いついていない。それだけの枚数を使えるだけの霊力はあるものの、色々あって作り忘れていた。が、二枚ほど既に作成してある。あとは、戦闘中に作り上げるしかないだろう……
少ない枚数を指定するという手も考えたが、それだと弱く思われるかもしれない。この時点で、すでに戦いは始まっているのだ。できるだけ実力を隠しておきたい。
身体をこわばらせ、臨戦態勢にはいる参真。かぐや姫を名乗る彼女も構え、これでいつでも始められる。だが……そのまま硬直したまま、しばし二人は睨みあって動かなかった。
「……? あなた、飛べないのかしら?」
彼女は、こちらが飛ぶのを待っていたらしい。意外と律儀な人だ……
「いいえ、これが僕の戦い方なので問題ないです」
「ふうん……ならいいわ、始めましょう!」
宣言と共に竹林上空から、赤と青の弾幕が迫る。始めは彼女を覆う様に動いた後……交差しながらこちらへと降下してきた。さらに、自分のいる場所めがけての弾幕も飛んでくる。
弾幕が地面を抉り、土ぼこりが舞う。衣服に何発か掠ったが、あえて自身の能力、『自然か不自然を見分ける程度の能力』は使わなかった。
この能力は、力の消耗具合はそうでもないが、霊力を集めながらや、飛行しながらだと負担が大きい。加えて、今回の戦いはスペルカードを五枚指定している。長期戦になることを予測して、体力を温存しておいた方がいいだろう。幸い、様子見で撃っているものなのか、見切るのに苦労するレベルではない。
「そろそろ行くわよ! 難題『龍の顎の玉 五色の弾丸』!」
一枚目のスペル宣言。果たしてその内容は――
(レーザー! それだけじゃなく、後ろからばら撒き弾!! そしてスペル名……『龍の首の玉』のことか――!)
色とりどりの弾幕に魅了されることなく、回避行動を続ける。だが……このままでは火力負けするのが
目に見えていた。こちらが放つ弾幕の何倍の密度で、光弾が迫ってきている。
さらに状況が悪いことに、向こうは空を飛んでいるのだ。こちらより回避行動のとれる範囲は広いと言わざるを得ない。
ならば、やることは一つだ。こちらもスペルカードを使用し、相手のスペルに対抗するのみ。
そして彼は、イメージと霊力を練り上げ――
初めて己のスペルカードを発動させた――!
「成長『グローリーウッド』!」
ついに主人公が初スペル発動!
……話が始まってから三十四話もかかってるよ、この主人公。
どんなスペルかは続きをお楽しみに! 構成としては、スペル合戦になる予定でござい。
あと、主人公は「かぐや姫」のお話を結構覚えています。財宝の名前まで覚えているぐらいには。
好きな物語だった分、ショックも大きかったってことです。