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三十一話 賢者とウサギと不吉なフラグ

 だ、誰にも質問されなかったでござる……ちょっと残念。

 これにて、裏設定への解答、質問コーナーは一時終了となりまする。気をつけてくださいね。

 ではでは、本編開始!!


 追記:えーりん誤字ってるー!? ご指摘ありがとうございます!!

 迷いの竹林の奥深くに、その屋敷『永遠亭』はある。

 うっそうと生い茂る竹林につつまれた、雰囲気のある和風な大屋敷。中にはお姫様でも居そうな大きさである。


「ふう……到着っと」

「ご主人さま~疲れてる~?」

「うん。やっぱり飛ぶのは苦手みたい……」


 身体が小傘とはいえ、中身は参真である。霊力の質が特に変わるわけでもないので、参真は諏訪子様に教えてもらった飛行法で飛んでいた。燃費が悪いわけではないのだが、強くイメージを練り続けなければならないので、少々気疲れしてしまう。


「じゃあついでに、回復薬も作ってもらおうよ!」

「小傘ちゃん。僕たちお金持ってないのに、そりゃまずいよ……」


 残念ながら、参真たちはほとんどお金を持っていない。現代のお金も多少は持っているが、雀の涙ほどしかなく、こちらでも流通していないとのことだ。


「諏訪子様は大丈夫って言ってたけど……本当かなぁ?」


 昨日の就寝前に、参真がそのことを聞くと、「大丈夫! 珍しい症状だから、喜々として見てくれるって!!」とは言われたが、どうにも不安は拭いきれない。ただ、建物の前で悶々としていても、事態は好転しないだろう。意を決して、参真はその戸を叩いた。



 ***



「すみません。永遠亭はここですか?」


 澄んだ女性の声が、戸の奥から聞こえた。

 迷いの竹林に住まいがあるにも関わらず、この屋敷にはたまに人が来る。来るのは主に病人ばかりだが、彼女は健康そのもののようだ。


「はい。そうですよ~患者さんですか?」


 いつも通りの対応で、ウドンゲは玄関を開ける。そこには人の良さそうな、瞳の色の違う少女と、辺りをキョロキョロと物珍しそうに眺める青年がいた。


「ええ……永琳先生でしたっけ? その人でないと、治せないらしいのですが……」

「? 使いの方ですか? どういう症状が出てました?」


 長いこと永遠亭で、永琳の助手を務めてきた彼女は、医者としての場数もそれなりにくぐっている。ウドンゲから見て……いや、誰が見てもこの二人は健康体そのものだろう。となると、この二人は使いだろうと思い、患者の容態を訪ねたのだが、


「それが、病気ではないのですが……笑わないで聞いてもらえます? 実は……」

「ご主人さまと身体が入れ替わっちゃったんだよう……」

「……はい?」


 突然、無茶苦茶なことを言いだす。いきなり何を言っているのだろうか? この二人は?

 呆れたウドンゲは、彼女たちに帰るように促すことにした。


「ひやかしならまた今度にしてください」

「ほ、本当ですよ! 証明するのは難しいのですけど……」


 必死に喰いついてくる少女。彼女たちの話を信じるなら、今こうして縋ってくるのは、「彼」ということになるが……


(精神が入れ替わる……か。それなら、私の能力の応用で見えるかしら?)


 ウドンゲは『狂気を操る程度の能力』を持っている。早い話が、相手の精神に干渉するタイプの能力だ。上手く使えば、精神の状態ぐらいなら視れるかもしれない。


(……!! これは……本当に逆になってる!?)


 そうしてピントを調節すると……少女の中には男性の精神が、青年には女性の心が入ってしまっていた。さらに僅かではあるが、肉体と精神の拒絶反応のようなモノが視える。


「ちょ、ちょっと先生を呼んできます! 上がって待ってて下さいね」


 こんな症状は診たこともない。彼女たちの言うとおり、師匠でなければこれを治すことなど出来ないだろう。畳の空き部屋に案内した後、大急ぎでウドンゲは駆けていく。


「師匠! ちょっと患者さんが来たんですけど……手は空いてます?」


 私室で薬の調合を行っていた、ウドンゲの師匠『八意 永琳』がゆっくりとこちらを向いた。


「今ちょうど空いたところよ~ で、どんな患者?」

「……心が入れ替わってしまっているみたいです」


 師匠に問われ、ウドンゲは歯切れ悪く症状を告げる。先ほどの彼女……もとい、彼もこんな心情だったのだろう。こんなこと、普通に信じてもらえるはずがない。


「なにそれ……ウドンゲ、あなたふざけてるの?」


 案の定、師匠は胡散臭いと言わんばかりに、こちらを半睨みしてきた。


「……やっぱり、そうなりますよね……でも本当みたいです。私の能力を応用して、二人の状態を見ましたから」

「……あなた頭良いわね。それなら本当なんでしょう。二人を診察室に通してもらえる?」


 細かい説明もなしに、一瞬でどういうことかを理解する師匠。月の賢者の異名は伊達ではない。……これで目を爛々と輝かせていなければ、完璧だったのだが。


「これだけで伝わる師匠の方が頭良いですよ……呼んできますね」


 呆れ半分に呟き、もう一度、二人の元へ歩いていく。

 


 この出来事が……後のウドンゲの不幸につながることを、誰も知らない。


 補足説明すると、永琳はウドンゲの説明受けた時点で、「入れ替わりは本当」「交換しているから患者は二人いる」ということまでわかってます。パネェ。

 そして……タイトル通りに不吉なフラグが立ちましたよ……(ウドンゲに)

 でわでわ、次回をお楽しみに~

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