三十話 レッツゴー☆永遠亭!
チキショー! 更新速度が落ちてやがる!!
おまけに話が進まねぇ……こんな調子で大丈(ry
小傘と参真の入れ替わりから、一日が経過した。
相変わらず暴走する風祝と、やたらとニヤつく軍神。早朝から来る二人の波状攻撃に、参真と諏訪子はごっそりと精神力を削られていた。
「昨日の神奈子はどこに行っちゃったの!?」
などと、諏訪子は潤んだ瞳で訴えていたが……今度はそれを見た早苗の方がダウン。本人は、「こんなカワイイ幼女を見て鼻血を噴かない方がおかしい」などと、参真たちにはさっぱり理解できない言葉を、三十分ほど熱弁し続けた。
ちなみに、これに神奈子が便乗するかと思いきや……
「うーん。早苗の感覚はさっぱりわからないねぇ……一回派手に戦争したからか? どうにもそっち方面の感情を、諏訪子には抱けないな」
意外なことに、冷めた反応だった。早苗と違い、付き合いが長いからかもしれない。
「じゃあ、僕にも変な視線を向けないでください!」
「だ・が・断・る」
さらりと返され、テンションがひたすらに下降していく参真。傍目で見ていた小傘はというと、入れ替わってから、全く二人の視線に気が付いていない様子。
(いくらなんでも、無防備過ぎない!?)
見かたによっては、純粋とも言えるかもしれないが……昨日の風呂のことといい、小傘には少々、他人のことを気にしてほしいものである。『自分を拾った』という理由だけで参真についてきたりしてたのも、あまりよろしくないように思えた。
(僕が悪い人間だったら、どうする気だったんだろう?)
もちろん、参真はそういうつもりはないが、もしものことを考えてしまう。今度、小傘を教育してやる必要があるかもしれない。
「ご主人さま~早く出かける準備しよ! 長く入れ替わってると、よくないんでしょ? ケロちゃん!!」
当の本人は、相変わらずマイペースを貫いていた。参真の心情など、知るよしもない。何気に諏訪子様をケロちゃんと呼んでたりと、彼女は彼女でやりたい放題だ……といっても、諏訪子様も疲れているらしく、特に腹を立てることもなく答える。
「そーそー。永遠亭に行って、薬を作ってもらうといいよ。あの薬師なら、精神を入れ替える薬ぐらい、カカッとやってのけるだろう。こういう言い方はアレだけど、ウチの二人にも悪い影響が出てるし……早めにここを出るのが、お互いのためだよ」
「……ですよね。本当にごめんなさい」
思わず頭を下げる参真。事故とはいえ、神奈子と早苗が暴走した原因は、間違いなく入れ替わりにある。目的も果たした今、このまま守矢神社に居座っても利点はない。諏訪子様と参真の心労が溜まるだけだろう……
「「えぇ~!?」」
心の底から、残念そうな抗議の声が二人分ほど聞こえてきたが、もちろん参真と小傘はこれを無視。がっちり諏訪子様が二人を抑え、おかげで一時間も経たずに、出立の準備が整った。
守矢神社の石段の上に立つ小傘と参真を、送り出しに出る三人。そして二人は、永遠亭へ行くためにふわりと宙に浮いた。
「いやぁ、ごめんね……こんな見送りしか出来なくて……」
諏訪子の両サイドには、デカイたんこぶをこさえた神奈子と早苗がいて、半分涙目になりながら手を振っていた。……どうやらまたお仕置きされたらしい。
「あははははは……お、お世話になりました……」
苦笑いしながら、参真は無難な言葉を選ぶ。それ以外に、この状況への対処法がわからなかった。
「さよーならー!! またいつかー!!」
満面の笑みを浮かべたまま、大きく手を振りながら小傘が叫ぶ。
本当に彼女は悩みとは無縁だ。ただ無邪気に、彼女自身の思うがままに感情を発露してた。
それは妖怪故の純粋さか、あるいは、小傘本人の持っている気質なのか――
参真には、そこまではわからない。いくら自然と不自然を見分けようとしたところで、「小傘らしい」ように見えるだけでは、この瞳には、自然のようにしか映らない。
けれども、彼女が一緒に居てくれることに、安堵している自分がいるのも確かだった。
(ずっと独りだったからかな……)
兄弟も、家族も、どことなくぎこちない関係だったし、極端に絵ばかり書き続けたせいで、友人と呼べる存在もいなかった。
こうして誰かと一緒に居ることに慣れてはいないが……この日々を楽しく思える。
「? ご主人さま? どーしたの?」
「ん。なんでもないよ」
気にかけてくれる彼女が、とても心強く感じられる。身体が入れ替わってしまったのは、とんだハプニングだったけれど、入れ替わった相手が、彼女で良かったかもしれない。おかげで、あまり変なことを意識せずに済んだのだから。
「ならいいやー。早く永遠亭にいきましょう!」
「……うん。身体を元に戻さないとね」
上空から目星をつけ、二人は幻想郷の空を飛んでいく。位置と方向は、だいたい諏訪子様に教えてもらっているので問題なかった。地上から行くには骨が折れるらしいので、空路をとっている。
ようやく入れ替わりを終わらせられることを期待しながら、小傘と参真は永遠亭へと飛んでいった。
最近参真クンの心理描写多いなぁ……ま、主人公だし仕方ないね。
そして運命の質問or解答タイム開始! 次回投稿までだよー! 書きこむのはお早めに!!
時間の判定するタイミングですが、次回投稿した時間より前に書かれているものは受け付けまする。遅れたのはダメですよ! 現実は非常ナノデス!!