二十七話 カワイイは正義!
……勢いで話をつくったらこうなりました。
洒落にならないキャラ崩壊があります。……心の準備はよろしいか?
追記:こっちもえーりん誤字ってたか……修正でゴザル!!
小傘と参真の身体が入れ替わってから、数時間が過ぎた。
あの後、元に戻れないかと何度か頭をぶつけあったものの……追突するのがわかっているせいで、お互いどうしても、激突直前で勢いを殺してしまう。埒が明かなくなってきた所に、言い出しっぺの早苗が、
「やっぱりここは、いろいろな出来事を乗り越えてからでないと、元に戻れないって展開ですよ! ドラマだとだいたい一カ月ぐらいかなー?」
などと言い出したものだから、二人の絶望が加速した。
「どうにかならないんですか!?」
「どうにかしてよぅ……」
懇願してくる二人だが、諏訪子たちにはどうにもならない。精神を入れ替えるなど専門外だ……しかも、この状態はあまりよろしくなかったりする。
「でも、早苗の言う期間を待ってるのもマズイんだよね……人間の身体に妖怪の魂が入っちゃってる。どんな悪影響が出てくるかわかったもんじゃない」
「ええ!? ぷるぷる、こがさはわるいようかいじゃないよう……」
参真の身体で、訴えてきている小傘。潤んだ瞳に上目使い……その視線が、不意に神奈子の視線と絡み合い――
「ぐはっ……!」
その刹那、盛大に鼻血を吹き出しながら、神奈子は仰向けにノックアウト。
なぜこうなったのか……よく考えてみて欲しい。彼女は神だ、しかも、気の遠くなるような年月を過ごした神だ。故に、人の願いを聞き届け、慈しむ心――母性を強く持っている。
さらには……先ほどまでマジメな口調で話していた青年が、いきなり無邪気で無防備な姿を晒して来た。この行動は、現世での「ギャップ萌え」に相当するっ! 想像して見て欲しい! 今まで、礼儀正しくしていて好感のもてる異性が、困った子犬、あるいは子猫のような表情で迫ってきたら……!! 貴方は、それに耐えることができるだろうか?
そう! この瞬間神奈子は、小傘の行動に母性をくすぐられ、その上に「マジメ人間のギャップ萌え」を食らったのである。精神が参真でないとわかっていても、見た目は参真だ。頭で理解していても、心が追いついていなかった……
諏訪子と早苗は、大慌てで神奈子に駆け寄る。早苗は神奈子の手を握ると……
「ああ、早苗……宇宙が見えるよ……これが『萌え』か……向こうの世界で、もっと知っておきたかったな……」
どこか遠くを見つめている様子で、呟く神奈子。焦点が定まらず、精神は遥かコスモの果てへと旅立ちつつある。なんとか引きとめようと、諏訪子は必死に呼びかけた。
「神奈子!? しっかりしてよ! 神奈子がそっちの世界にいったら、この神社にまともなのが私しかいなくなっちゃう!!」
さりげなく毒を吐きつつ、神奈子を引き戻そうとした時に――
「神奈子様っ……! ようやく理解なされたのですね――!!」
常識を投げ捨てた巫女が、神奈子の魂をさらって行ってしまった。二人はお互いにサムスアップし、その拳同士を、相手の前に突き出してこつく。
(((だめだこいつら……早く何とかしないと……)))
遠目で見ていた入れ替わり組と諏訪子は、既に手遅れな二人を放っておくことにし、話を続ける。
「ゴホン! とりあえず話を戻すけど、君にそのつもりがなくても、その状態自体がマズイのさ。人間が妖怪の身体に入る分には、たぶん問題ないんだけど……」
「た、多分!?」
「私たちも、こんな現象は見たことがないんだよ……だからはっきりとしたことは言えない。いえないけど……例えば、憑いた相手に全く手を出すつもりがなくても、人間が亡霊に取り憑かれたらよくないだろう? たぶんこれに近いんじゃないかな?」
自信はないが、大きく的を外してはいないはずだ。危険なことになる前に、何とかして精神を元に戻す必要がある。
「ちょ、ちょっと……僕たちは大丈夫なんですよね!? 今は諏訪子さんだけが頼りなんですよ!?」
がしっ、と諏訪子の肩を掴み、不安げに揺さぶる参真 (見た目小傘)。きっと神奈子と早苗の態度が、参真たちの不安を煽ってしまったのだろう。
「うん。そうだね……ホントにゴメン。あとで二人にきつ~く言っとくから」
「そ、それで私たちはどうすれば……」
こういったことは、諏訪子の専門ではない。しかし……なんとか出来そうな所は知っている。
「永琳のところに行くのがいいかな? 彼女はありとあらゆる薬を作れる医者だから、精神をどうこうする薬も作れると思う。でも、今からはやめておいた方がいい。遠いし、迷いの竹林ってのがあって、人を惑わす竹林があるから」
「「そんなぁ……」」
つまりは、今日一日入れ替わったままが、確定ということである。げんなりと頭を垂れる二人に……
「よいではないか……今日はここに泊っていくといい。君のような純真無垢な子が、夜中に出歩くなど危険極まりない」
「神奈子様……鼻血が垂れてなければ完璧でしたっ……!!」
「これは鼻血などではないっ! 愛だっ……!! 私の中にある狂おしい感情が、鼻から零れ出てきているだけに過ぎない!」
終わってしまっている二人が堂々と演説するが、どう考えても逆効果。かといって泊まる当てもない二人は、この申し出を受ける以外に手はない。かくして……波乱の夜が、始まろうとしていた。
神奈子様ファンの皆さま……申し訳ございませんでした!!!
まさかのカリスマブレイク。しかも萌えに目覚めるってなんぞ!? いや、やったの自分なんですけど、キャラが勝手に動き出して、作者の表現力のままに書いたらこうなった。マジでどうしてこうなった……