二十二話 神との対決
待 た せ た な ! !
一週間も経ってないのに、なんだか久々更新に感じる不思議。
普段より長いし、初戦闘描写ありだよ! すっごく拙いよ!? ぬる~く見ていってね!!
PV五万、ユニーク五千人キター! ありがとーございます!!
追記:最後の方がちょっと気に入らないので修正しました
「なるほど……だいたいの事情は分かった。つまりお前さんは自分の力の正体と、それを使いこなして空を飛んだり、弾幕ゴッコができるようにしたい訳だね? わざわざこんな山奥までご苦労なことだ」
「全くだよ。ここまでよく襲われなかったねぇ……妖精にちょっかいかけられたり、大変だったんじゃない?」
参真の事情を知って、諏訪子と神奈子は呆れかえっていた。
大まかな事情は聖たちの紹介状に書いてあったが、それにしてもよくやると思う。ここから命蓮寺までは距離があり、飛べないとなると山道の登ってくることになる。荷物も持ち歩いていることも考えると、かなりの苦行だったはずだが……
「隠行術を教えてもらってたので大丈夫でした。妖精にも会いましたけど……特に何もされませんでしたよ?」
「へ? イタズラとか、食べ物せがまれたりしなかったのかい?」
「普通に話して終わりでしたけど……」
どういうことだろうか? (幻想郷の)常識的に考えて、妖精に出会ってなにもない方がおかしい。思わず諏訪子は、神奈子と顔を見合わせた。
「そうだったね~私もたまにちょっかいかけられるけど、ご主人さまと一緒にいると、別に何もされなかったよ? 普段とは大違いで、ちょっとびっくりしちゃった」
彼と同行していた付喪神もそれに同調する。二人とも嘘をついていた様子はない。彼の力に関係があるのだろうか?
「まあ、それはともかく……どうする? 諏訪子が調べないといけないから、あたしと戦るのが早いかねぇ?」
「そうだねぇ……じゃあ参真くん、ちょっと神奈子と弾幕ゴッコしてもらえるかい? 私が君の様子を見て、どんなものか探ってあげるからさ」
ここで云々言っているより、実際に見た方が早いだろう。だが、青年は顔をしかめ、 自信なさげに呟いた。
「うう……お手柔らかにお願いしますよ? 決して強い人間じゃないですからね?」
「あっはっは! 大丈夫! 死にゃ~しないよ!!」
豪快に青年の肩を叩く神奈子。……少々強く叩き過ぎて、「オウフ」と青年が悲鳴を上げていたが、気がついていないようだ……彼を少し休ませてから、四人は境内へ移動していった。
***
守矢神社前にて――外来の青年と、神奈子は向かい合っていた――
既に半分戦闘態勢に入っている神奈子からは、力を溜めているのか、先ほどまでの軽い雰囲気はどこへやら……彼女から後光が差しているように感じられた。すさまじいカリスマを纏って、神たる彼女は参真と対話する。
「参真はスペカ持ってるのかい? とりあえずそっちの枚数に合わせるが?」
「いえ……大雑把にしか霊力を使えないので、作れてないんですよ……」
口調は変わっていないものの、その重圧たるや、神奈子と話すことを躊躇わせるだけのものがある。正直なところ、同じ相手とは思えなかった。
「ならば、仕方あるまい……三枚ほど使わせてもらおう。外から来たりし人の子よ……どこまでやれるか、見せてみろ!!」
彼女から力が溢れる。神の力……さながら神力といったところだろうか? あまりにも膨大な力の放出に戸惑う参真。まだ撃ちあってもいないのに、正直勝てる気がしなかった。
「やるだけ……やらせてもらいます!!」
そんな弱音はおくびにも出さず、参真も構える。地面に霊力を送り――周辺から霊力を集めた、が……
(いつもより集まりが悪い!? なんで!?)
理由は不明だが、思ったより霊力が流れてこない。建物や自然の少ない所では、集まりにくい感じがしたが、寺や神社ならそんなことは一度もなかった。不測の事態に焦りながらも、なげなしの霊力で弾幕を撃てるように練り上げる。
その様子を見ていた諏訪子は瞠目する。……そんなに珍しいことなのだろうか? 参真としては、これ以外の力の使い方を知らないので、どういうものかはわからないのだが。
「へぇ~実際見てみるまで信じられなかったけど……本当に外から霊力を集められるんだねぇ~ それじゃあ……はじめっ!!」
「ご主人さま~ がんばって~!!」
小傘が応援し、諏訪子が号令をかける。同時に神奈子が、中空へと舞い上がり、見上げるような形で彼女と対峙し、参真は能力を発動させた。
(どうする……? とりあえず、『弾幕以外』にしておこう)
自然に見えるものを『弾幕以外』に指定し、攻撃に備える。この時点では、まだ視界に何の変化もないが――
「行かせてもらおう!!」
掛け声と共に、弾幕が迫る。
速度、量共に、今まで経験してきた中でも桁違いの弾幕量だ。聖さんたちは手加減してくれていたようだが、この神社の神様は、容赦するつもりはないらしい。
(落ち着け……! 回避は今まで通りでも大丈夫なはずだ……!!)
走り回ることしかできないが、それでもかわすことは出来る。なぜなら……彼の眼は――すべての弾幕を、『不自然なモノ』として認識している。違和感のあるソレの、軌道を読むことは難しいことではない。
「ほほぅ……地に足がついた状態でかわし切るか……ではこれならどうだ?『神祭 エクスパンデッド・オンバシラ』!!」
「っつ!?」
スペルの宣言。同時に上空から巨大な柱が現れ、上空から降り注ぐ。神奈子からも弾幕が迫り、とっさに攻撃を一時中断、回避に専念する。
(早めにスペルを使ってくれるのはありがたいけど……! ホントに一枚目!?)
参真としては、『相手がスペルカードを使いきるまで待つ』という勝ち方も意識しながら戦っていく必要があるのだが……それにしても、一枚目から難易度が高い。怒涛の勢いでオンバシラが地面に突き刺さり、土煙がむあっと上がる。直撃したら、痛いでは済まなそうだ……
「ほらほら! ちんたらしてると潰れるよ!?」
「ヤル気マンマン過ぎますよっ……!」
怒号の如く衝撃が走り、弾幕も大量に迫ってくる。いくつかは頬を掠め、小さな傷跡をいくつも作った。それでも……参真はひたすらに避ける。避け続ける。
「どうしたどうした! ちょっとはそっちから攻めてきたらどうだい!?」
「死ねと!?」
精神的にも、能力的にも、反撃する余裕など存在しない。ひたすらに彼は気合い避けを続け――
「!? 時間切れか!!」
神奈子の一枚目のスペルを、破った。
(今っ!)
彼女にとっては予想外だったらしく、僅かに硬直する。その隙を……参真は逃さない。
「っつ!?」
散弾状に弾幕を精製、相手の行動を制限するように発射する。威力はまちまちだが……とりあえず当てることを意識し、二射、三射と連発。散弾のいくつかは命中し、微かに神奈子に傷を作らせた。
彼女は呆然と、被弾した部位を見つめ……急に笑い始めた……
「どうやら、見くびっていたようだね……少し本気出してやろう……」
ひどく愉快な様子から一転、一気に神力が跳ね上がる。さらに、しめ縄が変形し――そこから無数の弾幕が、複数の角度から迫ってきた。
(これは……無理か……)
一応、弾幕をくぐる道筋は見えている。しかし――それは中空で――幻想郷の住民なら楽に行けるだろうが、参真にはそこに行くことが出来ない。いけたとしても――いずれ「詰んで」しまうのが理解できていた。弾道を読める故の絶望である。
(悔しいな……避け方はイメージ出来るのに――)
彼は回避を諦め――思考を、「ダメージを減らす」ことへとシフト。両腕に霊力を集中し、即席の防壁を作成。正面に腕を交差させ、衝撃に備えた。
直後、着弾。
同時に、焼けるような痛みが全身を駆け巡る。食らったのは腕だけのはずだが、練り上げらげた神力の弾幕は、身体にもダメージをもたらした。
二発、三発と、弾幕を受けるたび、身体が悲鳴を上げていく。
膝は折れ、気力は限界。たったの数発で、参真は追い込まれていた。
「さすが……神様ですね……」
実力のケタが違うと、彼は思い知らされた。防御に徹していてこのザマである。先ほどの攻撃しながらの状態だったら、一発で力尽きかねない。
「ふん……お前さんも、そのなげなしの霊力でよく持った方さ」
既に、いくつか弾幕が向かって来ている。これはもう、避けようがないことがわかっており、体力を考えても、この一撃で終わりだろう。
「本音を言えば、一枚目で終わらせるつもりだったが……存外にあんたは避けていた。手加減していたとはいえ、誇っても良いぞ? 人間」
「それはどうも……介抱お願いね? 小傘ちゃん」
刹那……迫りくる極光が、参真を照らしだし――
轟音と共に、彼の意識はそこで途切れた。
参真君は、神奈子様にはとてもとても勝てません。スペル三枚なのに、一枚しか破れずにやられてますからね。力も安定していませんが――その理由も次回明らかにっ!! 独自設定全開になりそうな予感っ……!!