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二十一話 守矢神社へ……

テスト? そんなものはなかった

「はあ……はあ……まだつかないのか……」

「ご主人さま~大丈夫~?」


 妖怪の山――守矢神社参拝道道中――

出発から、向こうの時間で六時間ぐらいだろうか? 相当距離があったらしく、参真たちは、未だ目的地につけていなかった。手荷物もそれなりにあり、長距離を歩きっぱなしというのはつらい。彼は山歩きに慣れている方だが、それでもさすがに限度があった。

 一方の小傘は……流石妖怪というべきか、全く堪えていない様子で、参真のあとについてきている。


「一応はね。ところで小傘ちゃん、いつの間に呼び方を『ご主人さま』に変えたのさ……僕はそんな大したことしてないって何度言えば……」

「ううん! ご主人さまは大切なご主人さまだよう!! だからご主人さまって呼ばせて~」


 無垢な瞳で見つめながら、彼に迫る小傘。……これは諦めてくれそうにないと感じた青年は、そっと話題をすり替える。


「もしかしてナズーリンの影響?」

「ほぇ!? なんで分かったの!? ご主人さま~あったまいい~!」

「そりゃ、ご主人って呼び方してたからね……それ以外考えられないというか……」

「なるほろ~」


 のんきに会話をしながら、山道を進んでいく。それからさらに少し進んでいくと、鳥居と石段が目に入った。


「ふう……ようやく到着か……そういえば、どんなカミサマなんだろ? 小傘ちゃんは知ってる?」


 石段に足をかけながら、何気なく小傘に聞いてみる。参真はあまり守矢神社の情報を得られていないので、ちょっとしたものでもいいから、特徴か何かをつかんでおきたかった。


「う~ん。異変を起こして、博麗の巫女にやっつけられたってことと、結構強いってこととぐらいかなぁ……実力は幻想郷でも上位の方らしいよ? ご主人さまと二人掛かりでもたぶん片方も倒せないと思う」

「片方? というと、『諏訪子』って神様とは別にもう一人いるのか……失礼のないようにしなくちゃね。怒らせたら大変なことになりそうだ……」


 戦々恐々と、石段を登っていく。隣でフワフワと浮いている小傘が、ちょっと羨ましく感じられたが、参真は飛ぶことができない。


「ほんとに飛べるって便利だなぁ……」

「ここで修行して、ご主人さまも飛べるようになるといいね!」

「うん……っと着いたかな。これはこれは、立派なものだね……ちょっと書いてから……」

「その前に挨拶しなくちゃご主人さま!」


 せっせと荷物から道具を取り出し、絵を描こうとしたら速攻で止められ、ちょっとげんなりする参真。しかし小傘の言うことも最もであり、敷地に入った以上、持ち主……というよりは祀り主に一言入れるのが筋ではある。一応、人はほとんどいないが、間違えても失礼かもしれないと思い……参真は能力を発動することにした。

 自然に見える定義を『この神社に祀られてる神様』に指定。途端――世界の視え方が変化していく。参真にとってはもう慣れた光景だが、他者がこの景色を認識できたら、さぞ驚くだろう。今まで特に何も感じなかった、森、神社、地面――ありとあらゆるものが、強い違和感を持って自分の視界に迫るのだから。


(こういう使い方だと、長く使えないんだよね……)


 不自然な物を見続けていて、いい気分になる人間はいない。それが広範囲に渡るのだから、参真の精神に負荷が掛かってしまう。ちゃっちゃと見つけて、能力を解除しよう。辺りを手早く見渡し、自然に映る物を探していると……それはすぐに見つかった。見つかったのだが……


(あれ本当に神様なのかなぁ……?)


 青年が見たものは……おいしそうに饅頭を頬張る、濃い藍色の髪を持ち、背中に奇妙な輪っかを背負った女性と……その隣で悔しそうに、パタパタと手を振り回している金髪の幼子が映っていた。……自分の能力で外れたことはないから、ほぼ間違いないのだが、それにしても『これが神様だ』とは信じがたい。


「あの~すいません~? 貴方たちは、ここの神様でしょうか……?」


 恐る恐る近づき、聞いてみる。すると、全くこちらに気がついていなかったらしく、藍髪の女性は慌てて佇まいを正し――


「いかにも――して、守矢神社に何用かな? 青年」


 威厳たっぷりに、こちらに問いかけてくる。なるほど、これが神の持つ威圧感か――彼女が空気を変えたのは間違いない。どうやら、本当に神様のようだ。最も――


「えっと……口にアンコがついてるよ~?」

「!? し、失礼したっ!!」


 所どころ汚れている口周りのせいで、声色以外に全く威厳が感じられない。小傘に指摘され、神様(?)は胸のあたりにつけていた鏡で顔を見ながら、汚れをふき取る。その様子を見た先ほどの幼女が、腹を抱えて笑いこけていた。


「ゴホン――では改めて、守矢神社に……」

「神奈子! さすがにそれは無理があるよ! ぷっ……くくくくく」


 仕切り直そうとしたところに、笑い声混じりに幼女に止められる。それで観念したのか……


「うう、みっともない所を見せてしまったな……参拝かい? すこしばかりの信仰心を感じるが……」


 さっきまでのオーラはどこへやら、急に彼女はフランクな態度に変わっていた。


「いえ……参拝という訳ではないのですが、諏訪子様という神様に相談がありまして。こちらが紹介状になります」

「ふぅん? ちょっと見せてごらん?」


 ヒョイと手の内から、聖たちに書いてもらった紹介状を幼女が取り上げる。小傘の話や、自分の能力でこの幼女が「自然」に見えることから、彼女も神様なのだろうが……どう見ても年下にしか見えない。


「ほむほむ……命蓮寺じゃ彼の力がわからない? しかも外来人? ああ、この前天狗の新聞に載ってた

やつか……なるほどね。確かにこれは、幻想郷じゃ私が適任だねぇ」


 文面を見て、感心したように彼女が頷く。そして両腕を広げ、くるくると舞いながら――


「ようこそ参真くん。守矢の二神は君を歓迎するよ。私は『洩矢 諏訪子』で、こっちのアンコつけてたのが『八坂 神奈子』だ。よろしく」


 恭しく、言霊を紡ぐ。その荘厳な雰囲気を受けて……ようやく参真も、彼女が『神』であることを認識した。


「じゃあ僕も改めて……外来の絵描き。西本 参真と申します。こっちの子が――」

「ご主人さまの唐傘、その付喪神の 多々良 小傘だよ~」

「うむ……苦しゅうない。とりあえず、中で話を聞こうじゃないか」

「神奈子。もうそのキャラ無理があるって」


 ぐぬぬ……と神奈子が悔しげに呻く。初対面にして、神の威厳が怪しくなってきたが、他に頼れる相手もいない参真は、少々不安になりながらも、二人のあとについていき、守矢神社の中へと進んだ。


さぁ、もうすぐ主人公の力の正体がわかります。

そして、それが終わったあたりから、戦闘もやってみようかなーと。

すごく拙いものになるとは思いますが、ぬる~い目で見てってね~

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