二十話 旅立ち
ちょっと急展開かも?
切り替えの上手いやりかたが知りたいです……
参真が命蓮寺に来てから、二週間が経とうとしていた。
あれ以降、彼は霊力制御の訓練をひたすらに続け……今では、一輪と同等クラスの弾幕を、撃ち続けることすら出来るようになっていた。が、相変わらず空を飛ぶのはからっきしで、飛ぶと霊力が一気に枯渇してしまう。以前よりはマシになったとはいえ、三十秒ぐらいが限界で、しかも飛んでる間は弾幕を一切発射できない。弾幕ゴッコにおいて、これは致命的過ぎる欠点だった。
「本当に、二人で大丈夫なのですか?」
命蓮寺の前で参真と小傘を見送るのは、聖、ぬえ、村紗、一輪(と、雲山)。ナズーリンと星は……例によって宝塔を落としてしまったらしく、探しに出て行ってしまっていた。
「はい。隠行術も使えるようになってるので大丈夫です。それに、この力の仕組みも知りたいですから」
心配そうに声をかける聖に、参真がしっかりと答える。本当なら、一緒にいって護衛したいぐらいの気持ちなのだろうが……参真としては、いつまでも彼女たちに甘えている訳にはいかない。そのための旅立ちでもある。
きっかけは、二日前に遡る。あれ以降さらに聖や星、参真も一緒になって、力の仕組みを解明しようとしていたのだが……何一つヒントも得られないまま、時間だけが過ぎていってしまった。どうしたものかと考えていた矢先に――偶然彼の力を見た、命蓮寺に遊びに来ていた妖怪が、こんなことを言ってきたのだ。
曰く、「守矢神社の神様の雰囲気に似ている」とのこと。詳しく話を続けていくと、その神社にいる神、「洩矢 諏訪子」は、『坤を創造する程度の能力』を持っており、大地に関わる物を自在に創造できる能力らしい。
もちろん、参真はそんな能力を使役できる訳ではない。だから、始めは大したことのないように思っていたが、全く関係ないかと言うと――そうでもない。
聖たちだけで理解できていることは、あの現象が「大地」から彼に霊力を供給しているということのみ。彼女たちではそこまでしか分からなかったが、大地と深く関わりのある諏訪子なら、何が起こっているのかを解明できるかもしれない……
こうして参真は、守矢神社へと向かうことになった。
「……本当に気をつけてね? 紹介状は持った?」
「えっと……大丈夫です。お供え物? の漬物もあります……あ、余ったやつはそっちで食べちゃってください。持ち運べないですし、腐らせてももったいないですから……地下室も好きに使ってくださいな。本当に、今までありがとうございました! このお礼は……」
「お礼なんていいですよ。元はといえば、私たちが家を壊してしまったのだし……またいつでも遊びに来てくれればいいわ。雲山も、『達者でな』ですって」
「そうそう。たまに顔見せに来てくれるとうれしいかな~」
「小傘も元気でね~今度来た時は、『平安京を恐怖に陥れるための48の方法』をすべて伝授……」
「「「しなくていいから!!」」」
小傘のことが気に入ったらしいぬえは、相変わらず驚かしかたを教えようとしていた。参真が修業していて、彼女は暇になったときは、しょっちゅう小傘にかまっていたらしい。
「そ、そんなに方法があるんだ……」
「ふふふ……大妖怪ぬえに不可能はないのでーす!」
「さっすがぬえ先輩!! 私には出来ないことを平然とやってのける!! そこに痺れるぅ! 憧れるぅ!!」
「それほどでもない」
にしてもこの二人、ノリノリである。
「ハハハ……それじゃあ、そろそろ行きますね」
「どうかご無事で……」
四人に見送られながら、参真と小傘は歩きだす。彼らの姿が見えなくなるまで――聖たちはずっと、そこにいた。
ここで伏線のようなものを回収するためのフラグが経ちました。彼の霊力源についてですね。なぜこんなややこいことしたかって? それは、もう少し話を進めてからお話しましょう。
それと……これだけではなく、今後の展開もかなり決めてあります。ぶっちゃけると、もうエンディングあたりのプロットも練れてますね。たまに謎電波受信して、小傘回みたいなノリと勢いだけのシナリオもあるかもですが…… の割には文章が短いって? ハハ、文章力と集中力不足でございorz
勘の良い方なら……これがどういう意味か、わかりますね? フフフフフ……