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一話 迷い込んだ絵師

はじめまして!

あるいはまたお会いしましたねでしょうか? 作者です

二次創作初の投稿になります。

原作は紅魔郷しかやったことがありません。足りない知識は他の二次創作作品や、wikiで補完しています

こんな小説だが、大丈夫か?

大丈夫だ、問題ないという方は、ゆっくりよんでいってね!!


 追記:現在は、ほぼ全作品購入していますw 

「あやややや……今日はやらかしてしました……」


 妖怪の山の中腹で、射命丸 文 はぼやいていた。

 鴉天狗であり、記者でもある彼女は、日々話題を探して幻想郷中を駆け回っているのだが……今朝は寝坊してしまい、目を覚ました時はもうかなり太陽が高い位置にきてしまっていたのである。朝からげんなりとしつつ、空をふわふわと飛んでいると、たまたま哨戒任務中の犬走 椛に見つかってしまい、


「たまには手伝ってください!!」


 と言われてしまい、渋々妖怪の山を一日中見回るハメになったのだ。


「これはなかなか……苦痛ですねぇ……」


 何せ、当たり一面似たような景色が続くのだ、文は迷うことなどありはしないが、代り映えのしない景色を見ながら、永遠と飛びつつける作業は精神にそれなりに負担をかける。幻想郷を所狭しと駆け巡るのが日課の彼女にとっては、ますますつらいことだった。

だが、それももうすぐ終わる。日は傾き、夕焼けが山岳部を包み始めていた。


「今日は厄日でしたねぇ……何かネタを取り逃していなければいいのですが」


 ぼそぼそと呟きながら、何気なく視線を下に向けると……そこには人影があった。


「あやや? おかしいですねぇ……」


 この山には守矢神社という場所があり、そこに参拝にくる人間はいるため、人がいること自体は珍しくはない。しかし、この場所は守矢神社からはかけ離れている。道に迷ったのだろうか?


「ネタになるかは微妙ですが……まあ、何もないよりはマシですかね」


 ゆっくりと、彼女は人影の背後から降下する。近付くにつれ、その輪郭がはっきりしてきた。

 体つきからしておそらく男性。肌は若々しく張りがあり、短く切りそろえられた髪に、青い作務衣を着ている。横には、確か河童が愛用していた「リュック」と呼ばれていたものが置かれており、肝心の彼は、座り込んで何かを書いているようだ。

 少々珍しいといえばそうだが、異常というほどではない彼の容姿に、内心文はがっかりしながらも……任務を引き受けている身のため、彼に声をかけようと近づいていく。彼は夢中になっているのか、すぐ後ろまで来たのに気が付いていない。


「あの~もしもし? ここで何をしているのですか?」

「え……?」


 話しかけると、彼は間抜けな声を一つ発し、熱心に動かしていた指の動きを止める。


「す、すいません。気がつきませんでした。絵を描いていたのですが……私有地でしたか?」


 そういうと、彼は今まで描いていた物を文に見せる。どうやら、妖怪の山の一部を描いていたらしい。


「あやや……これはなかなか見事なものですね」


 彼女が素直に感想を言えるほど、その絵の完成度は高かった。黒系統の色のみで描かれたものにも関わらず――いや、だからこそだろうか――見た者に静かな印象を与え、それでいながら味わい深い。


「これでも途中ですよ。えっと……早めに立ち去った方がいいですかね?」

「あ、はい。そうですね。もうすぐ夜になりますし、人里に帰った方がいいでしょう」

「わかりました。荒く仕上げちゃいますね」


 言うや否や、彼は素早く作業に取り掛かる。先端の尖った六角形の棒を――鉛筆をいくつも取りだし。先ほどの絵にいくつもの線が書き込まれていった。その様子を文は半ば茫然としながら眺めていると……不意に彼が首を傾げた。


「あの、度々すいません。人里って……どこですか?」

「え?」


 声だけのやり取りが続く。だが、今の発言の意図はよくわからない。


「どこって……人里は人里ですよ?」


 そう、人里の存在は妖怪にしろ、人間にしろ、この世界の常識である。


「おかしいな? こっち方面には、人なんていなかったはずなんだけど……そういえば、山の雰囲気も普

段と違うような気がする。もしかして迷った? でも小屋から2キロも離れてないはずだし……どういうことだろう?」

 

 ぶつぶつと呟きながら、青年は首を捻る。どうも、彼は納得していないらしい。聞きなれない単語もあったが、話の内容からして、それほど遠出したつもりではなかったのだろう。


「この付近に小屋などありませんよ? 勘違いではありませんか?」

「そんなはずは……あれ? 君、背中のそれは……?」


 彼が反論しようとして、不意に文に問いかける。今まで気がついていなかったのか、ひどく驚いている様子だ。


「見ての通り羽ですよ? 妖怪の山では、鴉天狗など特に珍しくもないとは思いますが?」

「よ、妖怪の山? 鴉…天狗……? え、ええっと……ごめん。少し状況を整理してもいいかな? 君が嘘を言っていないのはわかるんだけど……」


 大したことを言ったつもりもないのに、彼はひどく混乱している様子だった。それを見てようやく、文は何かがおかしいことに気がつく。

 微妙に噛み合わない会話、通じない常識、聞きなれない単語に、珍しい道具。

 服装がこちらの住人と大して変わらなかったせいで、彼女はその可能性を考えることができなくなっていた。

 文は、予想を確信に変えるために、ある質問を投げかける。


「あの……あなた、『幻想郷』という地名を知っていますか?」

「……初耳です。この辺りをそう呼ぶんですかね?」


 今の回答で、ほぼ確定だ。彼は、幻想郷の外から来た人間――俗に言う「外来人」だろう。これはネタにするには十分だ。最後の最後で、幸運がめぐってきたらしい。


「まあ、間違ってはいませんが……いやはや、私も記者として鈍りましたかね? 大雑把に言いますと、今あなたがいるこの場所は、あなたのいた世界から隔離された世界なのですよ」


 彼の目が大きく見開かれる。しばし何か考え込むような動作の後。再び独りごとを言い始めた。


「隔離された世界? そうか……だから空気が違って、方向感覚もちょっとおかしくなっていたのか……この子が不自然に見えたのも、人間として見てたからで――」


 てっきり頭ごなしに否定されるかとも思っていたのだが、どうも彼は今の状態を受け入れるつもりらしい。そのことについて、射命丸は質問した。


「あやや? 疑わないのですか? 外の世界の人間にとって、私たちのような存在は受け入れがたいものというのを聞いているのですが」


 彼以外にも、文は何人か外来人に遭遇したことはある。けれども、ほとんどの外来人は、「そんな話信じられない」の1点張りで、立ち去られてしまうことがほとんどだ。そして、翌日ぐらいには妖怪に喰われてしまっている。


「うーん。なんて言えばいいのかな? 確かに向こうの世界ではそうなんだけど……僕は、小さいころから絵を描き続けていたんだけど、そうしている内に、そこにあるモノが、自然か不自然かを見分けられるようになってて……何が言いたいかというと、嘘をつくなら、どこかしら不自然な動作があるはずだけど、君にはそれが全くないんだよね。他にも、「人間」として君を見ると不自然に見えるんだけど、「妖怪」として見るとしっくりくる。他のモノも色々分別して見ると、君の言っていることの裏付けになってる。だから……」

「つまり、あなたは『自然か不自然かを見分ける程度の能力』を持っていて、能力によって得られた情報が、私の言っていることと合致すると、そういうことですね?」


 長々しい青年の説明を遮って、文は彼の言葉を要約する。しばしの沈黙の後、彼はこくりとうなずいた。


「なるほど……ということはあなたは今晩宿なしですね」


 目を輝かせながら、文はいう。このまま彼に宿を提供すると申し出て、たっぷりと取材をするつもりだったのだが……男の返答は意外なものだった。


「もう慣れっこですよ。実は僕、1週間ぐらいなら外でも出歩けるような装備を持ち歩きながら、絵を描いて回っているんです。でもここは私有地でしたっけ? どっちにしろ下山しなきゃだめか……」

「あやや!? これは意外……でも外はいろいろ危険ですし、私の家で良ければ泊めて差し上げますよ?」

「そうかもしれませんが、初対面の人のお世話になるのもちょっと……あなたにも迷惑がかかりますし、外で泊まれますから大丈夫ですよ」


 気持ちだけ、受け取っておきますといい、彼は妖怪の山を降りる方向へと向かっていく。


(本当に、危ないんだけどなぁ……)


 やんわりと断られた手前、無理に押すのもよろしくない。後々の取材に応じてもらえなくなるかもしれないからである。しかし、彼のことが心配なのも本心だった。

 夜は妖怪の時間だ。彼が襲われなければいいのだが……


(まあ、これで食べられてしまうような方なら、記事にする価値もないですかね?)


 不吉なことを考えながらも……もし無事に再開できたら、今度こそ彼を取材しようと文は思い、とりあえずは手元にある情報をまとめてから、彼女もその場を後にした。


最後まで読んでいただき、ありがとうございますm(__)m

感想、アドバイスなど、どしどしお願いします。何分初めてですので……

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