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十三・五話 紅き瞳は何を見る?

更新ができないと言ったな……あれは嘘だ

 幻想郷にある霧の湖。その先に深紅の館、紅魔館がある。

 悪魔の棲む館と言われるそれは、外観が真っ赤に染まっており、威圧感満載の創りになっている。

 その館のメイド長、十六夜 咲夜は、主にのために『あるもの』を届けに廊下を歩いていた。


「お嬢様、『文々。新聞』をお持ち致しました」

「ふむ……御苦労さま」


 見た目は遥かに、咲夜より幼く見えるこの館の主、レミリア・スカーレットは満足げに呟いた。


「今日の記事はどうだった? 最近は大したものがなかったけど……」

「はい、どうやら外来人の方が来たようです。相当酒に強いようで……一面記事になっていました」


 この新聞は、咲夜としてはあまり評価は高くない。堅実な情報源としては怪しいものと考えている。しかし主にとって、そんなことはどうでもいいということを、以前咲夜は主から聞いていた。

 彼女……レミリア・スカーレットは、『新聞を読む』という習慣がなかったらしい。もちろん、それがどういうものかは知っていたが、人類の天敵である種族、『吸血鬼』である以上、住所を教える訳にもいかず……故に、新聞自体が珍しいものだったそうだ。興味をもった彼女は、幻想郷に入ってすぐ購読を開始。読み始めたころは、途中で新聞の形を崩してしまい、上手く読めていなかった主を、咲夜が指導することになったのも、今ではいい思い出である。


「ふぅん……『絵師』ね……面白そうじゃない。ちょっと運命を操作して……!?」

「……如何なされました?」

「ふふふ……咲夜。こいつ、本当に面白いわ。理由はよくわからないけど……この人間の運命を操作できない」


 主はどうやら、『運命を操る程度の能力』を使おうとしたらしい。しかし、何故かそれができないようだ。その割には――いや、だからこそだろうか? 永遠に紅い幼き月は、ひどく愉快そうに嗤っていた。


「まぁ、いいわ。こいつは珍しいものを探して、幻想郷中を回ってる。その内ここにも来るだろうし、あまりに遅いようなら……美鈴あたりを使いに出して、彼を招こうかしら」


 主はそのうち、彼をここに置くつもりらしい。ならば、自分のとるべき行動は――


「――では、来賓用の備品を確認して参ります」


 いずれ来たる来客への準備。必要な物の、補充と備蓄だ。


「……本当にあなたは優秀だわ。出来るだけ彼を長く留めて置けるように。お願いね」

「畏まりました」


 主の称賛を受け、恭しく頭を下げる。

 そして完全で瀟洒な従者は、静かに行動を開始した。


 紅魔館、咲夜さん視点のお話。

 紅魔館はだいぶ先になる予定ですが、フラグだけ先に立てておこうかと。本筋とは逸れるので、十三・五話としました

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