表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/131

STAGE 0 宵闇の中で

 さて諸君。始めまして。

 残念ながら、まえがきは私が乗っ取らせて頂いた。

 聡明な読者諸君なら、この回が何を意味するかを理解してくれると思う。

 そうだとも。参真に隠された裏設定や、ばらまかれて放置された伏線――それを回収する時が来たのだ。

 そして、この物語が、「どこに」続くかも――ああ、それに関しては作者がバラす予定だったか。私が言うのは余計だな。

 前置きはこれぐらいにして……まずは見てもらおうか

 彼は、英雄だった。

 いや、自分だけではない。ここにいる者たちのごく一部ではあるが、元の世界では名の知れた人物たちであった。

 それが――無名のある一人の男の支配下にもう入ってしまっている。彼女から役割を果たすため、自分には補正が与えられていたのだが、それでも彼には敵わない。


「さすがは『紅蓮の戦神』……ここまでよくぞ持ちこたえた。その精神力は称賛に値する」

「……ここに堕ちてから正気を保ち続けている貴殿に言われても、嫌味にしか聞こえぬ」

「まぁ……確かに。だが、いい加減楽になれ」

「断る!」


 武士としての意地か、あるいは彼女との約束を果たすためか。『紅蓮の戦神』と呼ばれた男は、キリ、と相手を睨む。


「思い出せ……お前とて、我らが同朋であることには変わりはない。私はいつでも、貴様を受け入れるつもりなのだがな?」

「……それは、八雲殿との盟約に反する。貴殿は彼女への復讐を望んでいるのだからな!」

「私ではない。我々が……だ。私個人としては、彼女に感謝してやってもいいぐらいの立場なのだが……あの女の行ったことを考えれば、当然の帰結だと思うのだがね?」


 同意を求める男の視線を、鋭い視線で追い返した。

 やれやれとため息をついて、その男はしぶしぶといった様子で告げた。


「ならば仕方あるまい。英雄殿、あなたには無理にでも従ってもらう」


 その瞬間だった。彼女に与えられた補正が消えていき、精神があの男とつながっていくのを感じたのは。


「馬鹿な……」

「境界の力など、当の昔に解析済みだ。我々に境界操作は通じない。さぁ――思い出せ」

「っ――」


 憎悪が、精神に流れ込む。いや、流れ込んでいるだけではない。昔抱いた感情が噴出してきているのだ。外と内側から精神を揉まれ、ついに『紅蓮の戦神』は膝を折る


(申し訳ない……八雲殿……)


 そのまま彼の精神は、闇に沈んでいった……







「手こずらせられたが、ようやく堕ちた……いや、本来の姿に戻ったと言うべきか。さぁ――諸君! 我らが同朋よ! 冥府の川を渡り損ねた我らは、今ルピコン川を渡る! 待っていろ八雲紫……貴様が拒んだ幻想が、偽りの楽園を吹き飛ばしてくれるわ!! 姿は……古の魔狼をかたどるとしよう。境界の結界も、我々の前では無力……あとは、この忌まわしいもう一つを破壊するだけ――ふ……ふふふ……ふははははは! 何だもう壊れているではないか!! なんという僥倖! 私の宿命も、彼らと混ざることで解消されたかね?」


 男は、嗤った。心の底から、嗤った。そして姿を、漆黒の狼へと姿を変え――結界にヒビを入れる。

 幻想郷始まって以来の厄災が、すぐそこまで迫っていた。

 はいどうもー作者でーす。

 さてさて、「裏設定公開してねーじゃねーか!」というツッコミの声が聞こえますが、それはこの小説では明かされません。作者の次作、「東方越境記」にて明かされます。

 ええ、もうお気づきでしょうが、越境記は初めから続きのつもりで書いていました。まさか、一作目を書いている途中で、二作目を書き始めているとは思うまい……という作者のイタズラ心です。誰にも気がつかれていないようで良かった。(実は、越境記で参真君出るの? の質問が来た時ひやりとしましたが)

 せっかくですから、もうひとつヒントを。次回主人公の「真次」ですが……既に名前は「ふらりと歩いて幻想入り」でも出ています。どこにいるかはお楽しみ。

 それでは皆様、皆さまの気が向けばですが、「東方越境記」にてお会いしましょう!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ