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百十一話 愛しき従者に口づけを

甘くってこうですか、わかりません!

「さて、そろそろ寝ようかな」

 

 フランの絵も無事に描き終え、そろそろ眠るには良い時間だ。

 先ほどのフランの行動には驚いたが、しかしその後は何事もなく絵描きを続行。レミリアの予言通りに、フランの絵を描いた。

 これで、紅魔館の住人すべてを描き終えたことになる。パチュリーと小悪魔は、実験の合間を縫って描かせてもらった。美鈴は眠っている所を無許可でこっそり。咲夜さんはモデルになる時間がなかったので、仕事中の所を描いた。

 余談だが、この絵が証拠になってしまい、美鈴の給料カットが決定してしまった。その最中に参真は遭遇していなかったが、あとで美鈴との弾幕ゴッコに付き合わされる羽目になったのは、言うまでもない。


「はぅ……」

「ん? 小傘ちゃんどうしたの?」


 初めてベットに一緒に入った時のように、顔を完熟トマトのように赤くした小傘がいた。もう館でお世話になってからずいぶん経っているし、参真としては慣れてきたのだが……


「もう……本当ご主人さまは鈍いんだから」

「うん。それは認めるけど……どうしたのさ急に」

「……布団に入ってから話すね」

「なんで拗ねてるの?」


 どうやら、参真の反応が気に入らなかったようだ。少々目線を逸らして、先にベットにもぐり込む。参真も続いて毛布の中に入り込んだ。すると、小傘は青年を抱きしめてきた。ふわりと甘い香りが、参真の鼻腔をつく。


「あのねご主人さま。今日の出来事……見たよ」

「えっ!? あれ小傘ちゃんだったの!? てっきり咲夜さんかレミリアさん辺りだと……」

「それでね……その、すごく嫌だったの」


 嫌、とはどういう意味だろうか? 参真には小傘の言葉の意図がいまいち汲み取れない。だがそれは、続きの言葉で一蹴される。


「それで、わかったの。私は……フランって子に負けないぐらい。ううん。絶対負けないくらい……ご主人さまが、好きです」

「…………えっと……それは……」

「恋してるって、こういうことを言うのかな? 初めてだから、よくわかんないけど……」


 本日二度目の告白に、参真は動揺した。ただ、その衝撃はフランの比ではない。何せずっと一緒にいてくれた従者からの告白だ。積み重ねてきた日々の、重みが違う。参真は返答に詰まった。


「ぼ、僕は恋とか、そういうことはよくわからない……」

「知ってる。だから、ちゃんと言わないと伝わらないと思って」

「だ、だよねー……」


 参真がそういうことに疎いことなど、百も承知の上で今回の告白に臨んだのだろう。何が彼女を動かしたかは明白だ。今日の出来事を見て、焦ったのかもしれない。

 ならば――ここでしっかり答えられなければ、男が廃るというもの。参真も覚悟を決めた。


「僕は……君のことを大切に思ってる。そばにいてくれることはありがたいし……これからも一緒にいてほしい。これが、恋愛感情かどうかはわからないけど、特別な感情を抱いているのは確か思うよ」

「そっか……ご主人さまも、よくわかってないんだね」

「ごめん。こんな拙い返事で」

「そんな所も含めて、好きなんだと思う。不器用だけど、ご主人さまは優しい人だから」


 きゅ、と小傘が参真にしがみつく。参真も同じように小傘の腰に手をまわして、腕に力を込めた。


「だから……その……ちゅ、チューを……しよ?」

「う、うん……」


 その言葉を聞いた瞬間、心臓が高鳴る。フランの時はそんな余裕もなく唐突にされてしまったが、今回は心構えをする時間がある。柄にもなく緊張しながら、小傘と参真は、目を閉じた。


「んっ……んちゅ……」


 恐ろしいほどのぎこちなさで、二人は触れるような口づけをした。

 傍から見たら、恐ろしくぎこちないキスだったに違いない。幸いにも、以前と異なり目撃者などいない。


「これからも……これからもよろしくね。ご主人さま」

「ん……僕も、少し頑張るよ。小傘ちゃんの気持ちに、近づけるように」

「え、えへへ……」


 照れたように、小傘が笑う。

 そのまま二人はベットのなかで、穏やかに談笑しながら、いつの間にか眠りについていたのだった。


という訳で、作者の苦手な恋愛描写ですよー

とびきり甘いのは、書けないんやな……

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