十一話 ゆうべは、おたのしみでしたね?
今回は全力で遊んでます。話としては進んでませんねぇ……
でも、説明会多かったからたまにはいいよね! 主人公出番少ないけど!!
……すいません衝動のまま書いたらこうなりました。どうしてこうなった……
「ぐ……ゲホッ! つ、辛かった……」
聖から解放された参真は、まだ息を荒くしている。相当強く首を絞められたようだ。
「あやや、大丈夫ですか? 取材は少し落ち着いてからにしたほうがいいですねぇ」
本当は今すぐ取材したいが、一応他にもネタになりそうなものはある。ならば、あらかじめ予約をしておいて彼を休ませ、その間に別のネタ探しをしたほうがよさそうと思ったからだ。言葉とは裏腹に、彼の身を案じているかというと、そうでもない。
「そうしてもらえると、助かります。……ちょっと文さんが不自然なのが気になりますが」
「あやややや!? 気のせいですよ~!! それではまた後ほど~!!」
彼の能力をすっかり忘れていた文は、慌ててその場を去ることにした。「自然か不自然かを見分ける程度の能力」は、嘘や隠し事が通じないらしい。地霊の主並みに、取材態度には気をつけなければ……と肝に銘じ、踵を返した先には……
「あ~おいしかった……ごはんに合いすぎてついつい食べ過ぎてしまった……これじゃあ、ご主人のことをいえないよ」
「全くですよ。なんでいつも、私ばっかり食いしん坊扱いされるのですか。ナズーリンもけっこう大食いなのに……」
その腹を妊婦のように膨らませた、星とナズーリンが寝転がっていた。思わず噴き出しそうになって……何とか堪える。とりあえずは、ボケをかましつつ取材に入った。
「あややや! ご出産はいつですかねお二人とも。その時は『文々。新聞』にてぜひ特集を……」
「「しないよ!!」」
全く同じタイミングで返答する二人。上司と部下の関係だが、非常に良い関係を築けているようだ。
「またまた~お相手は誰ですか? まさか参真さんですか? ん?」
「いやいや、この速度でお腹が大きくなったら病気だよ。ねぇご主人……って顔が赤いよ!?」
「……ハッ!? いやこれは違……!? 別に破廉恥なことを想像した訳では……っ!!」
勝手に自爆し、仄かに赤かった頬をますます紅くして首を振る星。とりあえずオイシイ表情なので、手持ちのカメラでパシャリと一枚撮っておく。「あっ!!」と驚いた時にはもう遅い。先ほどの表情はもう、フィルムの中に収められている。
「そ、そのカメラを渡しなさい!! ……って!?」
慌てて星がそれを奪おうと、駆け出そうとした時だった。何もないのに彼女は躓き、前のめりに倒れ――
「へぶぅー!!?」
ぽっこりと膨らんだ腹に、衝撃がすべて伝わる。彼女は、毘沙門天の弟子とは思えぬ奇声を上げ……そのまま動かなくなった。
「ご、ご主人~!! 大丈夫!?」
鈍い足取りでゆっくりと、小さな従者が彼女の上体を起こし支える。星の瞳はもう光が消えかけていて、手を伸ばすのもやっとのようだ。
「ナズーリン……私は最後まで……ダメな主でしたね……」
「な、何言ってるのさ!? 傷は浅いよ!!」
「いえ……私はもう、ここまでのようです……後は……任せましたよ……ガクッ」
最後にそう言い残して……彼女の体から力が抜けた。
「ご主人? ……ご主人ってば! 目を開けてよ!! 星!!」
半泣きになりながら、何度も何度も体をゆするナズーリン。それに反して、星は目を覚ます気配がなかった。
いつの間にか茶番の外に放り出された文は、茫然とその光景を眺める。
(……どうしてこうなったんでしょうねぇ? まあいいか。これはこれでネタにしましょう!!)
二、三回と角度を変えながら激写したが、主思いの妖怪は気が付いていないようで、おかげでいい写真が撮れた。……リアクションが大げさ過ぎるような気もしたが、酒が回っているせいだということにしておこう。
(さて……そろそろいい時間ですかね。参真さん、覚悟していただきますよ~!!)
十分すぎるほどネタは仕入れたが、それで引っ込まないのが記者魂。先ほどのトラブルから回復したであろう主賓に向けて、文は意気揚々と進んでいった。
次回はついに、主人公のデータがある程度明らかになります。
え? 全部じゃないのかって? それやっちゃつまらないでしょ~! オイシイところは後半にとっとかなきゃ~
あと、今回星が動揺したのは、参真クンに気があるのではなく、純粋にえっちぃこと想像したからです。仏教ってなんか、禁欲してるイメージがあったので、そこから、
普段禁欲→お酒が入ってハイに→文が話題を振る→日ごろ抑えているから妄想爆発→ポシュー!! という妄想でしたとさ。大丈夫かこの作者。